代表戦で足首を痛めたタミー・エイブラハムはローマの攻撃の要どころか、モウリーニョサッカーの根幹に位置している。スペシャルワンがタミー不在で戦えるのを証明したのはプレシーズンの話で、ショムロドフ、マジョラルといったストライカーよりも、チェルシー時代から馴染みの若者を明らかに優遇しているように見える。
ユヴェントス戦は、そのタミーを欠く恐れがある。ローマに戻って来た際、空港に詰め掛けた記者に対して「ユヴェントス戦はプレー出来ると思う」と答え、その翌日には「プレーしたい」に変わり、とうとう最後は「プレーできるように願う」と希望的観測を述べるに留まっている。
未だに足首の腫れと痛みが引かないのだ。
タミーは満足にチームトレーニングに参加しておらず、チームメイトが帰った後も治療を続けている。おそらくピッチに立てるくらいには回復するかもしれないが、気になるのはそこでスペシャルワンが、タミーを強行出場させるのか、それとも対ユヴェントス戦術訓練を施してきたショムロドフ、マジョラルを信用するのかどうか。こういった話にローマの現地メディアは敏感だ。非常に繊細なタイミングで前日会見は開かれた。
明日タミーはプレーしますか?
モウリーニョ「明日まで様子を見ることになる。今日は少しだけトレーニングに参加できたが、明日の状態を確認して、ピッチかベンチかまたはスタンドを決める。ただ、日に日に良くはなっているから、トリノへは連れていくつもりだ」
もう1人、代表から戻ってくるマティアス・ヴィニャのコンディションも気がかりです。
モウリーニョ「ヴィニャは大丈夫だ。問題はない」
ユヴェントスは再びタイトルレースに戻る事が出来ると考えますか?
モウリーニョ「それは私ではなく、マックス(アッレグリ)に対する質問だ。しかし、私の見解を求めるのであれば、その答えはイエスだろう。常にタイトルを狙い、全ての試合に勝とうとする良いチームであり、11人のトッププレイヤーだけでなく、優れた監督が指揮する20人の優秀なグループだ。スクデット候補に違いない」
ヴィジャールは構想外なのでしょうか?2人の間に問題はありますか?
モウリーニョ「私たちは23人のフィールドプレイヤーとゴールキーパーのグループだ。なぜ彼の話になるのか理解できない。なぜ他の選手ではなく彼なのか?」
昨シーズンは主力でありながら今シーズンほとんど出番がありません。
モウリーニョ「だが、それがヴィジャールの戦力外の理由にはならない。30分前にトリゴリアを出ていく姿を見て誤った結論に達したのかもしれない(※監督の会見を見ずに選手が帰る事は珍しい) 彼はベンチスタートになるが、常に頑張ってトレーニングに取り組み、私のサッカーを理解しようとしている。昨シーズンは5バックだったので、彼にとってやり易い環境だったし、中盤で求められるものも今とは違う。しかし、私は彼の仕事に満足しているし、プレーチャンスは必ずやってくる。それは明日かもしれない」
明日はセリエAで最も成功を収めた2人の監督が戦います。それをresultsatisti(結果至上主義者)とgiochisti(パフォーマンス至上主義者)の対決と呼ぶ声もあります。その意見に同意しますか?
モウリーニョ「おかしな論調だな。結果至上主義とは、何かを勝ち取った監督のはずで、何も勝ち取ってない人間をそう呼ぶ事はできない。つまりresultsatistiは否定的な意味ではないだろう。マックスと私は何かしらを勝ち取った監督で、それはポジティブな事であり、その結果そう呼んでもらえて感謝している。そしてもうひとつ、明日はマックス対ジョゼではなく、ユヴェントス対ローマだ。過去にマンチェスターユナイテッド対ユヴェントスがあり、さらに昔はインテル対カリアリだった。試合の最初と終わりには挨拶を交わすし、リスペクトの気持ちを持っている。かつてニヨンで開かれたUEFAの会議でも何度か深い話をした。お互い連絡を取り合う仲ではないので、その点では素晴らしい友情があるとは言わないが、これまでも良い関係を築き、人としても好きな人物だよ。また対戦できて嬉しい。そもそも彼のような監督は現場を長く離れてはいけないね」
ニューカッスルのサポーターがあなたの監督就任に期待していますが?
モウリーニョ「ニューカッスルについては何も言うことはない。かつて彼らの歴史上最も重要な人物、サー・ボビー・ロブソンと仕事をご一緒したことで、クラブサポーターや都市と精神的な絆が生まれたが、それ以上の事は何も無い。私はローマに満足だし、このプロジェクトに100パーセント集中している」
昨シーズン、ローマとユヴェントスの間には16ポイントのギャップがありました。今シーズンそれを埋めることは可能でしょうか?
モウリーニョ「ユヴェントスはチャンピオンズリーグに勝とうとしていて、ローマはカンファレンスリーグに勝とうとしている。ユヴェントスは10年で9回リーグタイトルを手にして、ローマは10年で0回。2年間ほかの監督が率いたとはいえ、ユヴェントスは長らくマックスと連携を取ってきた。3ヶ月前に就任したクラブとは違う。国際的なクオリティ、経験を持つユヴェントスと、これから学んでいく14人の若手のいるローマでは様々な違いがあるが、試合が始まればピッチの上では11対11である事を最後の1秒まで忘れてはいけない」
あなたはこのようなビッグマッチに慣れていますが、ローマはそうではありません。
モウリーニョ「私たちは明日にこだわるのではなく、自分たちの為、未来の為に準備したい。トリノでチームの哲学とは異なる戦いはしたくない。私たちは勝つためにトリノへ行くが、仮に勝てなくても、それは自分がやり方を変えたからではなく、ユヴェントスが強かったからであって欲しいのだ。それにはまずクラブの歴史、格、明日の可能性などを忘れ去る必要があるだろう」
〈了〉
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