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チアゴ・ピントGM、再びローマを窮地から救う

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ローマはビッグクラブだ。
それはぼくがロマニスタだから言うのではなく、我々が忠誠を誓うクラブが常にグローバリゼーションの道を歩み続けているからである。しかし、『ビッグ』であり続けることがクラブ運営を圧迫し続けたこともぼくたちロマニスタは知っている。だから、ぼくたちはいまひとつ素直にローマが『ビッグ』だとは思えない。

名だたるビッグクラブと肩を並べて競争しなければいけない存在でありながら、実際には毎年のようにチームの弱体化を強いられるジレンマを味わっている、その理由のひとつがFFP(ファイナンシャルフェアプレー)だ。

2012年8月にアメリカ人、ジム・パロッタが会長に就任すると、ローマは、おらが町のクラブからの脱却を目指す。しかし、その中長期的なプロジェクトはFFPによって継続性を失ってしまった。例えるならば、ショッピングモールを建てようと海外で広大な土地を購入したら、突然地中からFFPという不発弾が無数に掘り起こされて、建設が進まないまま資金が尽きて断念したようなもの。

この時期、ローマはUEFAとの和解条約のため毎年実に多くの主力を売却した。マルキーニョス、エリック・ラメラ、アントニオ・リュディガー、モハメド・サラー、アリソン・・・ヨーロッパサッカーファンならば、誰もが知るであろう彼らを売ることで命を繋いできた。

そして、今年に入りローマは再びFFPにより、選手移籍が制限されてしまったとぼくたちロマニスタは知ることになる。それはかつてのパロッタ期のような主力大量放出を意味していた。

しかし、誰を高値で売却できるのだろうか?ディバラを除けば、タミー・エイブラハム?ロジェル・イバニェス?あとはもういない。そもそも絶対的な主力を売却することは、タレント軍団を率いることに長けたモウリーニョ監督の持ち味を殺すことと同義だった。

しかし、その絶体絶命の危機をチアゴ・ピントGMは救ったのである。6月30日のシーズン最終日までに3000万ユーロのキャピタルゲインを作り出す必要があったローマだが、いったいどのように回避したのだろうか。

ピントGMはセリエA最終節が終わると、すぐにメルカートの中継地であるミラノに飛び、複雑なミッションに取り組んだ。そして、『パラメトロ・ゼロ(=自由移籍)』でアワールとエンディカの獲得を手早く決めると、次の瞬間には、クリスタンテ、スモーリング、ベロッティとの契約延長で来季の基盤を固めていよいよFFPに向き合う。彼が6月に何度自宅のベッドで寝たのか、家族と会えたのかは不明だ。おそらくはほとんどトリゴリアとミラノを往復して過ごしたのではなかろうか。

まずはプロヴィデンスをハルトベルグに、タヒロヴィッチをアヤックスに売却した。この二人はプリマから誕生したローマの未来だったが、今は未来よりも目の前の現実に向き合う時間だった。その対価として、総額1150万ユーロをローマは得る。まるで現代の錬金術だ。
そして、ミッソーリ、ヴォルパートという昨シーズン、トップチームに定着した選手も1000万ユーロでサッスオーロに移籍させた。サッスオーロは近年ローマから買い上げた選手をチームの主軸に据えていることから、ローマの若手を獲得することに好意的で、選手もサッスオーロで活躍して故郷のクラブに戻る夢を見ている。

この移籍を最も喜んでいるのは、サッスオーロのカルネヴァッリCEOだ。国内外から熱視線を集めるフラッテージの帰還を望むローマについて尋ねられると、「昨夏はお互いの希望額に開きがあったが、今はかなり近づいているよ」とコメントした。市場価格4000万ユーロのフラッテージだが、ミッソーリとヴォルパートを貸し出したことで、競合クラブよりもはるかに良い条件で首都に呼び戻すことが可能となった。彼がローマに帰還した場合、背番号はデ・ロッシがつけていた16番になるだろう。

一度は売却されたローマっ子が、サッスオーロを中継してキャプテンマークを腕に巻いているというペッレグリーニの美しい物語は、プリマヴェーラの若者にとって憧れのルートなのである。
閑話休題。
チアゴ・ピントGMは22-23シーズン最終日に、カルレス・ペレスをセルタに売却することで、FFPの和解協定に沿って売り上げを作り出した。しかも誰一人主力を売却することなく。

これにより、ローマは当初からははるかに減額された罰則金を支払うことに合意した。

今のローマにはわくわくしかない。2年目の選手たちがどのようにチームにフィットしていくのか。また新戦力がチームにどのような色味を加えるのか。ぼくたちはヨーロッパリーグ決勝の朝を忘れない。再びあの場所に戻り、名実ともにビッグクラブになるのだとぼくは確信している。

<了>

以前footballistaオンライン版に寄稿したテキストです。ぜひ読んでみてください。

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ASローマ速報〜ROMANISMO

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