親善試合のために来日したという表現はぼくたちにとって不適当だった。試合は試合、そしてそれ以外の時間もずっと日本のどこかでローマを感じることができた。ゆえに親善試合の2本目というよりも、ローマウイークのグランドフィナーレとしての意味合いが強い横浜F・マリノスとの一戦だった。
この試合、ローマはほぼ名古屋グランパスと同じメンツで臨んでいる。
YOKOHAMA MARINOS (4-2-3-1): Takaoka; Koike, Iwata, Eduardo, Nagato; Kida, Watanabe; Mizunuma, Nishimura, Yan; Leo Ceara.
ROMA (3-5-2): Svilar; Kumbulla, Smalling, Ibanez; Missori, Tahirovic, Matic, Camara, Celik; El Shaarawy, Abraham
primo tempo
先制は9分、マリノス。ワンタッチの軽妙なパスで左サイドを進行すると、CKから永戸がクロスを上げて、ゴール前で抜け出したエドゥアルドがフリーで合わせた。これをGKスヴィラルが後逸気味に股を抜かれてしまう。
グランパス戦では攻守に効いていたエルシャーラウィをタミーの相棒として前線に据えたローマは、役者不在でビルドアップで苦しむ。ベロッティ、ペッレグリーニ、スピナッツォーラといった主力がコンディション不良でベンチに入らないという事情もあるが、ここは若手選手の奮起に期待したい。しかし、19歳のタヒロヴィッチが筋肉系の問題でボーヴェと交代すると、前半終了直前にさらなる失点。
バックパスを前からハメられたローマはボールを奪われると、西村が遠目から思い切りよくミドルを狙う。これが決まって0-2と点差を引き離された。
直後、右からのクロスにエルシャーラウィが浮かせたシュートを試みるもキーパーにはじかれ、セカンドボールをマティッチがペナルティアークから強烈なシュートを打つが、これも枠を外れて前半が終了した。
secondo tempo
ローマはザニオーロを投入して息を吹き返す。69分に反撃の狼煙。ヴォルパートの芸術的なスルーパスに抜け出したザニオーロが、マークについたDFを手で簡単にいなすと、ボックス内で切り返してシュート。これがGKのニアを抜いてネットを揺らした。超絶個人技だが、ぼくたちロマニスタにとってはサプライズではないゴール。
その後1失点したものの、84分にマリノスGKの組み立てのパスをインターセプトしたイバニェスが、そのまま中央を持ち上がって強烈なシュートを叩き込むと、アディショナルタイムに、チェリクのマイナスの折り返しをヴォルパートを中継して、ショムロドフが押し込んで同点に追いついた。これにはモウリーニョ監督も小さくガッツポーズ。この人はどんな試合でも負けたくないのだ。
試合はそのまま動かずにドローで終えた。
ピッチにカウンターの余白を残したいローマは常に重心を重めに置くが、そこで横浜F・マリノスという独創的で思い切りのよい相手に攻め込まれて得点を許したというのがこの試合の感想だ。
グランパス戦はどちらかというと、ローマに遠征のコンディション不良を感じたが、この試合では、前半緩く入ったツケを払わされた印象で、近年どの国のクラブも組織的かつ分析的なので、その点ではヨーロッパもアジアも昔ほどの差は無いのかもしれない。
個人の感想としては、またとないジャパンツアーの機会だけに、2試合とも鮮烈な勝利を披露することで、ファンを増やせたのではないかという余計なお世話も考えてしまうが、ただ失点してから巻き返して追いつき、あと5分あればもしかしたら…と思わせる余地のある展開は、サッカーとしては最高にスペクタクルを感じる部分であり、そういった意味で、この試合を純粋に楽しんだロマニスタは多かったのではなかろうか。少なくともぼくはそう感じる事ができた。
コメント
マリノス線で久しぶりに観戦しました
やっぱスタジアムで見ると良いですね。
ザニオーロは、シュート練習頑張ってください