ローマがピエトララータ地区に建設を予定しているスタジアムとトヨタ自動車にはさらに多くの可能性がある。
フリードキンズはオーナー就任以来過去2年間、トヨタブランドをローマに連れてこようと交渉を続けていた。フリードキングループはアメリカ最大のトヨタ販売代理店であり、ローマとのグローバルパートナー契約は3年間の契約を延長する可能性がある。
この日本企業の存在は、新スタジアムが完成した際のインフラに大きくかかわるはずだ。トヨタの持つkintoブランドのサービスを我々は利用してスタジアムへ行く。レンタカー、カーシェアリング、相乗り、そういった足に使用できるのはトヨタイタリアの車両だ。そして、現地の交通情報、駐車場情報はトヨタの開発したアプリ『kinto GO』でチェックするだろう。
これまでローマは、ずっと自前のスタジアムを建てようとしてきた。しかし、インフラストラクチャーの問題や、景観を損なうといった議論が、それこそ市長が変わるごとに増え続け、プロジェクトは一歩踏み出すための決め手を欠いたまま、パロッタ会長の退陣により終焉を迎えた。
パロッタからすれば、外国人経営者がイタリアにスタジアムを作るための礎の仕事は果たしたと考えていたのだろうが、フリードキンは就任してすぐに、引き継いだパロッタのプロジェクトの終了を発表した。そして、新しいアメリカ人たちは、一度ケチのついたプロジェクトを研究して、まったく別の切り口で自治体を納得させようと考えた。そのひとつがトヨタとの提携であることは間違いない。
パートナー契約の際に、ローマのピエトロ・ベラルディCEOは「ローマとトヨタはサステナビリティ(持続可能性)に関して価値観と理念を共有する」と語っている。スタジアムに行くためだけに僻地まで線路を引いて、商業施設を建てることで景観を損なうという議論があるならば、目的地までのソフトウェアを提供することは持続可能性の観点から正しい。
フリードキンはさらに次の一手を打とうとしている。
そうしてトヨタ車に乗ったロマニスタたちがたどり着く新スタジアムの名前を『トヨタスタジアム』にしたいと考えているのだ。ローマは、この新しいパートナーとの関係値を高めて、ネーミングライツ権を販売することで、さらなる持続可能性を追求していくだろう。
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