【前回までのあらすじ】酷い敗戦から一夜明け、とりあえず順位については考えないというところまでメンタルを持っていった如月。精神的な余裕が生まれたことで、周囲を見渡すと、週末のダービーから10月いっぱいまで、ナポリ、ユヴェントス、ミランといった強豪と対戦することが判った。ここを乗り切る、というよりもしっかり勝ち切る事が重要だ。手の中のダイスを転がして如月は言う。フィオレンティーナ、サンプドリアといった低迷していたチームが明らかにまぐれとは言い難い得点をしているのを観ると、セリエAに楽な対戦はないとハッキリ判る。10月をしっかり勝ち切って様子を見てみようってな具合。
ユヴェントスは現在降格圏にいるが(ローマの事で憂鬱過ぎて先程知りました)、本当に降格するなんて誰も思っていない。そもそも綾瀬はるかがコロナ陽性で、更にはワクチン接種を受けていなくて、それが理由でこのご時世「綾瀬はるか終わりだな」という批判的な声もあるだろう。しかし、本当に終わりだと思っているならば、そいつの相場観は確実に狂っている。つまり、何も変わらない。どんな問題が勃発したとしても、ぼくたちは日々朝のアラームに苛み、目玉焼きとトーストの焼き加減の黄金率を追求する。時間をかけてサックスブルーのオックスフォードシャツにアイロンして、今こうしている間もツンドラの永久凍土が溶けているなんて一瞬だって考えない。そして夜になれば、ドライマティーニをステアせずシェイクで飲み、何度目かのゴロワーズ・カポラルに火をつける。その世界では、綾瀬はるかは変わらずにCMの女王で、ユヴェントスは降格などしないのだ。もちろん。
ということで、ローマはローマでマイペースで行くしかないですねーという話なのですが、そんなファンの心を察してか、ペッレグリーニ主将がSNSで「変わらぬ熱意と正しいアティチュードで木曜日から再出発しよう!」とメッセージを発信しています。
木曜日と言うのはセリエA第5節ウディネーゼ戦のことで、このタイミングで正直当たりたくない相手ではある。2シーズン前にフォンセカローマの攻略法を編み出したのはミランのステファノ・ピオーリとルカ・ゴッティのウディネーゼだと思っていて、中盤を制圧する彼らの強いプレスのスタイルがローマから質を奪い去った。そもそも今季のウディネーゼに、ぼくは不気味な迫力を感じている。3節終了時点で全ての試合でポゼッション50%を割っていながら(平均44.3%)、1試合平均549回とボールタッチはまずまず多い。ポゼッションしていないのはポジショナルなチームか押されているチームに見られる傾向ではあるものの、まだ負けていないことを考えると、そこでこのボールタッチの多さこそが不気味な迫力の理由だ。つまり、ゲームコントロールのできる試合巧者の数字と考えて良いだろう。
また、ローマの敗戦でフォーカスされたのはザニオーロの迷走だ。彼の本職はトレクァルティスタ(トップ下)で、当時ディフランチェスコ監督がペッレグリーニとザニオーロで競走させずに、ザニオーロにサイドハーフを提案したことで現在右サイドが彼の定位置になっているが、モウリーニョになって、新たに加えられたオーダーに応えることができずにいる。モウリーニョは記者会見で何度かザニオーロについて、まだ学ぶ必要があると語った。もしも、ローマがザニオーロを軸としたチームならば学ぶのは周囲の方だろう。しかし、2年の離脱のあとその序列は変化した。今やローマはペッレグリーニのものであり、タミー・エイブラハムのものである。周囲を活かすための攻守の献身性を持たなければ現状のチームでカルレス・ペレスがスターターになるはずだ。
参考までにザニオーロとペレスのスタッツを見ていただきたい。
Player | 出場分/先発 | シュート数 | SCA | GCA |
Nicolò Zaniolo | 188/3 | 3 | 4 | 0 |
Carles Pérez | 125/1 | 6 | 12 | 1 |
SCA=シュート直前2つのプレーに関与した回数 | ||||
GCA=ゴール直前2つのプレーに関与した回数 |
SCA,GCAについては下の動画を参照して下さい。
この表を見ると、先発出場が1度きりで、総出場時間でも劣っているペレスの方が圧倒的にローマのシュートチャンスに絡んでいることが判る。またボールを運んだ距離、ドリブル試行数、ボールタッチもペレスに軍配が上がり、更にはターゲット回数(味方からボールを受けた回数)までペレスの方が優秀なスタッツときている。とにかく今が正念場なのは間違いない。
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