モウリーニョの就任プレゼンテーション、この記念すべき一日をローマはミケランジェロが設計したカンピドーリョ広場の近くにある美術館でスタートした。新監督が登壇する館内のレストランからは幾つかの史跡とテヴェレ川が展望できる。その左岸にあるのがテスタッチョで、我々のローマはかつてここから始まった。フリードキンズは、このクラブの源流とも呼べる場所で、新しい時代の始まりを世界に向けて発信したのである。
*会見前に会場付近から都市を眺めるモウリーニョ。もはや何かを成し遂げた男の背中である笑
13:10 開場となり記者が着席し始めた。プレスは決められた席に座り、プレゼンテーション用に作成されたドキュメンタリーフィルムが流された。注:この動画はローマのFacebookでも同時配信されている。
13:30 オリンピコのローマ戦公式DJのマッテオ・ヴェスパシアーニのアナウンスでモウリーニョ監督が登場。この一連のミッションの立役者である同じポルトガル人のピントGMの話から始まった。
*ジャーナリストの拍手で控室から会場に入る巨匠
ピント「私の(拙い)イタリア語で失礼します。本日は私たちにとってとても幸せな一日となりました。今日がクラブメンタリティを変える第一歩であることは誰もが理解していることと思います。新シーズン、そして3年後には多くの良い変化がローマがもたらされることを願っています。ジョゼ・モウリーニョについては、今更説明する必要はないでしょう。この場を借りて、ダンとライアン(フリードキンズ)には監督を連れてくる機会を与えてくれたこと、監督にはローマを受け入れてくれたこと、そしてロマニスタのみなさんにはポジティブなエネルギーを与えてくれたことに感謝したいと思います」
カメラはこれから話し始めるモウリーニョをアップで捉えた。このライブ放送の視聴者数は20分前は世界で5千人程度だったが、この時点で既に1万6千人を超えていた。
モウリーニョ「まず何よりもファンのみなさんに感謝したい。就任が発表されてからの彼らの反応は本当に素晴らしいものだった。みなさんの熱意はすぐに伝わったよ。私はまだ何も成し遂げていないから、これには素直に恩義を感じた。素晴らしい歓迎だった。だから、まず最初にロマニスタたちに感謝したいと思う。そしてオーナーであるフリードキンファミリー、チアゴ・ピントなどその他にも感謝しなければならない人たちがいる。ただ、ファンのみなさんの反応は本当に素晴らしく、非常に印象的だった。どうせ似たような質問が来るのだから最初に答えておこう。なぜ私たちが会見でこの場所を選んだのか。それはマルクス・アウレリスの銅像があるからだ。彼はかつてこう言った。「Nulla viene dal nulla, nulla ritorna dal nulla」(何もないところからは何も生まれず、何もないところに戻ることもできない)これは私がダンとライアンと最初に話したときととても似ている。会長たちが何を望んでいるかを私は知っている。過去の遺産を忘れずに未来を作りたいのだ。サッカーには時間的猶予が与えられることがない。でもローマではそれが存在する。オーナーが望んでいるのは、今日勝利して明日崩壊することではない。彼らは継続可能な仕組みを作りたいのだ。(過去の遺産だけでなく)将来に向けた遺産を残したいんだよ。そして、それが私がここにいる理由だ」
*Marcus Aurelius, in the Piazza Campidoglio
モウリーニョ「さて、いよいよ仕事の開始だ。私はスタッフと一緒に、ここにいる全員と共に働く。全員だ。トリゴリアに来て、正直『仲間』の概念が変化した。ローマの仕事をしたいと考える人は全員私たちの仲間なんだよ。クラブとこの都市の絆は明らかで、象徴、クラブカラー、名前、都市…ローマという言葉は世界ではクラブと同じ意味を持つ。私たちは休暇でここに来たわけではない。観光客としてではなく、仕事のためにここにいる」
この街にはローマ専門のラジオ局が少なくとも5つは存在します。そのプレッシャーはあなたにどのような影響を与えますか?24時間サッカーについて盛り上がるこの都市で働くことに興奮していますか?(注:この質問中、室内が暗いと感じた監督は席を立ち、窓に貼られた遮光シートを剥がしに行った)
モウリーニョ「プレッシャーね。どうやって調べたのかは判らないが、ローマに来てもう3回も電話番号を変える羽目になったよ。いったいどうやって調べたんだ?というのは冗談として(笑)イタリアで監督をしてから他の場所に行くとサッカーの話ばかりしている場所が恋しくなる。とはいえ、クラブ内では私にはやるべき仕事がある。君たちジャーナリストにだって君たちの仕事がある。お互いそれぞれの仕事があるはずだ。私が仕事をしている時、私はあまりいい奴でないことを誰もが知っているね。それは君たちジャーナリストにとって喜ばしいことではないだろう。私は自分のクラブを守る。それは、クラブ内部のことは可能な限り内部で留めるということだ。スタッフ全員が同じように考えている。それでも私はあなた方の仕事を尊重している」
あなたもピントGMもメンタリティを変えようと話しています。特にあなたはトリゴリアのDNAを変えることを求められていると思いますが、どのようにそれを実現しようと考えているのでしょう?
モウリーニョ「グループを知ることから始めたい。その中身が判らない状態では物事は変わらないからね。もちろん譲れない基本原則もあるだろう。今日はこれからトレーニング初日を迎える。選手たちは、私たちがどのような仕事をしていくのかを理解する必要がある。私の仕事はとてもシンプルだ。つまり、100%の力を発揮するということだ。それは選手だけではなく、クラブの中にいる私たち一人一人に言えることでもある。トリゴリアで隔離生活を送ったことで、私はトレーニングセンターで人々と話をすることが出来た。そこで感じたのは、みんなで協力して一緒に仕事をしたいという願望だった。それには感銘を覚えたね」
連日の報道であなたが様々な選手をローマにつれてくるために話をしているというニュースが報道されています。ドンナルンマ、セルヒオ・ラモス…彼らを惹きつけるためにはカリスマ性が重要ですか?
モウリーニョ「いや、誰とも話はしていないよ。チアゴとだけ話をしている。君たちがどう思うかは自由だが、それが事実ってわけだ。チアゴと話して、オーナーと話をして、クラブ内の様々な人達とも話をしたけれど選手に関しては誰とも話をしていない」
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