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【マッチレビュー&新パジェッレ】セリエA第25節:フィオレンティーナ(A)

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ACF Fiorentina Wednesday, 3. March 2021 AS Roma
1:2
goals
0 : 1 Leonardo Spinazzola 48. / right-footed shot  (Gianluca Mancini)
1 : 1 Leonardo Spinazzola 60. / own goal
1 : 2 Amadou Diawara 88. / right-footed shot  (Rick Karsdorp)

ホームでミランに負けた後のこの試合でローマは負けるわけにはいかなかった。一部メディアは今週再びアレッレグリ監督の招へいについて語り、彼の代理人が「マックス(アッレグリのニックネーム)の気を引くオファーは届いていない」と声明を発表した。マラドーナが死去した直後のサンパオロでローマは惨殺された。翌日にヴィオラの英雄ダヴィデ・アストーリの命日を控えたアルテミオ・フランキでは何が起こるのか。アストーリがフィオレンティーナに力を貸すのではないか、そんな予感がした。

primotempo

試合は、得点の動かない前半こそ旨味といったものが凝縮されていた。ヴィオラ最初のオンターゲットシュートは28分、リベリーからヴラホヴィッチ。パウが上手く防ぐも逆サイドから他の選手がフリーで詰めている危険な攻撃だった。

ペースを掴んだリベリーが再三SBイゴールとのコンビネーションでローマの左サイド攻略を試みる。一方マッチアップするブルーノ・ペレスは攻略されかかっていることに気が付かず、タスクであるプレッシングもコンタクトを避けたディレイ目的の消極的なもの。

secondotempo

先制はローマ48分。相手ボックス右でボールを後ろに戻すと、ヴィオラのバックラインはラインを上げる。その瞬間、入れ替わるようにレオ・スピナッツォーラが割って入り、ピンポイントでマンチーニからのクロスが入ってきた。これをダイレクト、対角線左ファーに流し込んだ。試合後、スピナッツォーラはこう語った。

スピナッツォーラ「なぜ飛び込んだのか?あいつならきっとぼくを見つけてくれると思っていてね(笑)」

ふたりは古くはペルージャ、そしてアタランタと、同じチームでプレーしてきた親友同士だ。お互いに絶対的な信頼関係があったのだろう。しかし、60分にはそのスピナッツォーラのオウンゴールでタイスコアに戻る。その後ローマはほぼ敵陣で攻撃を続けるも崩し切るに至らない。

再度ゲームが動いたのが87分。バイタルでディアワラが右のカルスドルプに大きく展開。そのままヴィオラの選手8人が密集するボックス内にスルスルと入り、カルスドルプからのグラウンダーのセンタリングを0距離射撃で刺した。直後上げられるオフサイドフラッグに頭を抱えるディアワラ。気持ちを切り替えろ、と手を叩くフォンセカ監督をカメラが捉えた。

だが、ここでVARの審議が入った。審議が終われば試合はアディショナルタイムに入るだろう。ここで決められなければ負けに等しい取りこぼしに、また数日間のティフォージからのプレッシャーが待っている。だが、ゴールインならば逃げ切れるかもしれない。

時計が試合開始から90分を告げる前に、インカムでVARからの連絡を確認したカルヴァレーゼ審判はフィオレンティーナのゴールを指差す。得点を認めたのだ。そして、これが両チーム最後のシュートとなった。

追加タイム5分を乗り切り、敵地でどうにか重要な3ポイントを手に入れた。上位陣に勝てない呪いのかけられたローマに取りこぼしは致命的だ。まだまだCL圏内に向けたデッドヒートは続く。もう少しぼくたちは楽しめる。つまらん夜はもうやめだ。

参考資料:プレス比

先日プレマッチレビューでも触れましたが、フィオレンティーナはディフェンダーに攻撃参加を期待する戦い方ゆえに、プレスなどディフェンダーの基本的な仕事がローマよりも足りていないのではないかという仮説を立ててこの試合を観戦しました。

冒頭で書いた通り、実際に観戦するとこの試合は前半に両チームの旨味が沁みだしたグッドゲームでしたが、ポゼッション位置などの各スタッツでは、中盤からファイナルサードにかけてローマに押し込まれています(これは今回のテキストでは割愛しますが)、なので仮説に対する証明とはならなかったのですが、それでも押し込まれている状況で、プレッシングでは以下のような開きがありました。

観戦者にフィオレンティーナは引いていたというインプレッションがあるのに、実際はアプローチできていない。ローマの得点はどれもそういった相手の特性を利用した形。しかしながら、印象としてはディアワラでギリ勝ったという内容でもある。試合そのものはローマがペースを崩さずにコントロールできていたと考えていいでしょう。そこに個のタレント性、フェノーメノが加われば上位チームにも勝てるのになーというのはスタッツではなくぼくのぼやき。

 

パジェッレ(採点者:くわしん)

ローマ速報に新しい仲間が入りました。今回から新たな採点者、くわしんさんを迎えてパジェッレをお送りしたいと思います。自己紹介をして頂きましたので、みなさんよろしくお願いします。またドルオタです・・・

はじめまして、くわしんと申します。

ローマとの出会いは、小学生の頃にバティストゥータに憧れ、丁度その時ローマに中田がやって来た為にローマに触れる機会が多くなったからです。好きな選手は現役ならジェコです!思い出の試合は2012年にオリンピコで観戦したコッパ・イタリア決勝でのラツィオへの敗戦ですね…。

大学時代にF1のコースエンジニアを目指してイタリアに留学しておりました。一応イタリアにおける高卒認定的な資格を持っております(コースエンジニアにはなりませんでしたw)

ロマ速の一員になれて正直緊張しておりますが、多くの読者の方に楽しんで頂ける様に頑張ります。ちなみに好きな選手のタイプは稲場愛香みたいなタイプです!

Pau Lopez 6.0

早い飛び出しとシュートセーブでピンチを防いだことは及第点に値するか。ただ、未だにフィードの精度には疑問が残る場面が散見され、余程のピンチを救い続けない限りこれ以上の点数をつけにくい。

Mancini 6.5

多くの場面でKumbullaよりも高い位置でのプレスと攻撃参加が見られ、アシストと言う形で結実。外側ではBruno Peresと、内側ではDiawaraと挟み込む形で、Riberyに大きな仕事をさせなかった。

Cristante 6.0

エリア内での仕事を淡々とこなしていた。敵の前線からのプレッシングに臆せず、後方から短いパスをつなぎリズムを作る起点となる役目を果たした。

Kumbulla 6.0

Manciniとは対照的に攻めっ気のない安定した守備を見せたが、その安心感でSpinazzolaの守備負担を軽減していた。折角の復帰も累積警告で自節の出場がかなわないのは残念。

Bruno Peres 6.0

彼が比較的丁寧に守備をしたことで、Manciniが積極的に前に出る機会が多くなった。「ピッチ外での彼の愚行(マスク無しパーティ)と同じくらい、彼の裏からのクロスは前半魅力的な攻撃手段だった」(IL Romanista)と褒められているのか、貶されているのか分からない弄られ様だが、これも彼の憎めないキャラクターなのだ。

Diawara 7.5

怪我、コロナ、登録不備によるいわれなき批判、Villarの急成長と完全に不遇のシーズンを過ごしてきたが、久しぶりのリーグ戦スターター起用に結果で応えた。普段通りのピュアなアンカーとしての役回りを十分にこなしただけでなく、開始3分頃のシュートの段階から随所に見せる攻撃参加の意思が最後は実を結んだ。

Veretout 6.0

負傷交代するその直前までダイナモとしてこの日もピッチ上での縦の動きを支えていた。サラリーマン的な例えならば、この試合で長期プロジェクトの中心人物が度重なる残業と休日出勤の末に倒れてしまった形。ローマはこの勝利と引き換えに現場のリーダーを失ったが、その影響はどれ程となるか…

Spinazzola 6.5

チーム内で最も一喜一憂の波が激しかった筈だ。彼の左サイドにおける制圧力は相変わらずで、逆に右サイドにスペースを与え大きなチャンスをもたらした。ふわりとしたクロスに対しゾーンの縫い目を駆け抜け、ゴールを見ずに右足を振り抜いたシュートは完全にストライカーのそれで、普段からのゴールに対する姿勢と空間認知能力の高さを知らしめた。しかし、不運な形で逆サイドから生まれたピンチで、それを帳消しにしてしまうオウンゴールを献上。自身初の苦いドッピエッタ後はとても気まずそうにプレーしていたが、Diawaraのゴールで救われた表情を見せたのが印象的だった。

Pellegrini 6.0

効果的なミドルシュートはいくつかあったが、得点には結びつかなかった。ローマはポゼッション重視の試合運びを選んだ為に、ボールを持ってもバックパスが選択肢に入っていたのは勿体ない。

Mkhitaryan 5.0

攻撃時は主にMilenkovicを中心とした、VenutiとPulgarの3人で受け渡す形のマンマークに遭い、窮屈そうな場面を強いられ、結果消えてしまう時間が多かった。疲労もあるのかコンディションも万全には見えなかった。もう少しバイタルエリアが広い場面でプレーしたそうであったが、彼にはその密集すら打開してしまうことを期待してしまう。

Mayoral 5.0

Džekoのようなポストプレーが出来れば、もう少しPellegriniとMkhitaryanに自由にボールを持たせてあげられたかも知れない。1回の最大級のチャンスをものにしていれば評価は大きく異なっていた。

El Shaarawy 5.5

シャドウという起用方法はそもそも彼を最大限生かす使い方が出来ているのか若干疑問が。もう少しスペースのある時に前を向いてプレーしたそうで、羽ならぬ翼(ウイング)を伸ばしたプレーとは言い難かった。

Pedro 5.5

Veretout交代後に不足した運動量を補おうと懸命にボールを追う姿は素直に好感が持てた。更にMayoralへのパスは今日のチームに欠けていた創造性をもたらしてはいた。ただVeretout交代後も高い位置でプレーしたがっていたPellegriniと役割が被り気味になってしまい、十分に活きたとは言い難い。

Smalling 6.0

復帰戦をそつなくこなした印象。他のCBに比べるとロングフィードでボールを前線にはじき返す、または外に出すようなプレーが目立ち、イギリス人らしいラグビー的な敵陣回復を行っていた。後半ドタバタしそうな時間帯に一旦呼吸を整えさせる、ベテランの技の様にも見えた。

Karsdorp 6.5

ターンオーバーによる短い出場時間で、ファーストチョイスが自分であることを示した決勝アシストは最近の成長の証か。グラウンダー寄りのクロスの方がうまい気がする。

Paulo Fonseca 6.0

またしても相手がフレッシュな選手を続々と投入する中、明確な解決策も見いだせず…となるかと思った。La Repubblicaはこれを『ビエルサ的な戦術変更』と書いた。だが、僕には単にDiawaraとVillarの選手としての特性の違いが色濃くポジティブに出ただけの試合にも見えた。

総評

両チームが直近の低調なパフォーマンスでファンからの期待に応えられておらず、シーズンにおけるこの試合の重要性を理解していたと思う。何より両チームにとって思い入れの深いアストーリが見守る試合でもあった。「負けたらヤバイ…」モードの両チームが慎重な試合の入り方をし、、大きなファールや大きなチャンスも数えるばかりに終えた前半とは対照的に、「勝たなきゃヤバイ…」と気付いた両チームがギアを上げた途端にケガ人が続出する後半で、大きな渦に飲み込まれんともがく両チームの状態を体現したかの様な試合であった。ローマにとってこの勝利が所謂「ピュロスの勝利」になるか否かは、Veretoutのケガによる離脱の影響を見てみないと分からないが、少なくない影響であることは彼のこれまでの貢献を考えると明白で、短期間での復帰を望まずにはいられない。

勝利したこの試合で各紙の平均評点がほぼ6.0であることを考えると、この試合をターニングポイントと捉えられるかに関しては、それほど楽観的な物ではないであろう。ポジティブな見立てとしては、前線が狭いスペースでの戦いを余儀なくさせられる中FW陣の多くは苦しんだが、スペースを無理に作ろうとせずに、攻撃時間は左サイドからのカットインを強く印象付けさせ、結果的には右サイドからアーリー気味なクロスに対し長い助走をつけた選手が決めるというパターンを確立した…との見方もあるのかも知れない。

MOM確定と思われるDiawaraは特に攻守のトランジションでの動きが素晴らしく、ドリブルでのカウンターの芽を摘む、両CBと共に敵の2Topを挟み込む、体制を整えてボールを散らすといったアンカーとしてのタスクを危なげなくこなし、最後は攻撃面での活躍で試合をクローズと、間違いなく本人のベストマッチ。個人的には、今シーズンの彼は守備的MFの立ち位置だけでなく、「どこか牧歌的で可愛い若手」というポジションすらVillarに奪われていいたので、腐らずにこの試合を迎えたこと含めて8.0くらいを付けたかったのだが、Pagello初回から贔屓目で点数で飛ばし過ぎる訳にはいかなかった。

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