AC Milan | Sunday, 14. January 2024 | AS Roma |
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3:1
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goals | |
1 : 0 | Yacine Adli 11. / left-footed shot (Tijjani Reijnders) |
2 : 0 | Olivier Giroud 56. / header (Simon Kjær) |
2 : 1 | Leandro Paredes 69. / penalty |
3 : 1 | Theo Hernández 84. / left-footed shot (Olivier Giroud) |
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モウリーニョ監督が就任した2シーズン前からでは考えられないほど、今のローマのサッカーには魔法のようなパスワーク、崩しのバリエーション、個々の輝きによる創造的な瞬間がある。しかし、それでも勝てないのはジレンマだ。いや、2シーズンどころか、この20年ずっと考えてきた。もしもサッカーに芸術点があればローマが勝利できた試合はもっとあったはずだ、と。監督が変わり、時代が変わり、サッカーが変わっても、ローマのサッカーはぼくにとって美しい。ただひとつ問題は、その輝きが90分続かないことなのだ。
primo tempo
この試合はローマが主導権を握る形で始まった。相手陣内まで押し上げるも、攻撃のトリガーであるディバラを左太ももの損傷で欠いた状態では、サイドからクロスを入れるテンプレのような攻撃に終始していた。それでも、満員のサンシーロで勝つにはポゼッションするしかない。
得点が動いたのは11分。一瞬空いた守備の穴をヤシン・アドリに決められて、敵地で早々にビハインドを負った。
各自のコンディションも良くない。スタメンに名を連ねたエルシャーラウィは精彩を欠いていた。アズムンはアジアカップで不在、ペッレグリーニも不甲斐ないプレーで序列を落としている。ペッレに関しては、怪我や戦術というよりも、昨年の女性とのゴシップ記事が影響しているように思う。その中で、チェリクだけが今夜がアピールの場だと、モチベーションの高いプレーをしていた。
失点後、腰が引けてしまい、更なる失点の危ぶまれるローマだったが、チェリクやパレデスがシュートを狙い、スピナッツォーラも――全盛期のアジリティは失ったが、ベテランらしい落ち着いたプレーで攻撃をけん引。スタッツ上ではスコアを除いてほぼイーブンな数字で前半を終える。
secondo tempo
HTでマンチーニOUT、ペッレグリーニIN。クリスタンテが最終ラインに入った。しかし、これにより攻撃に厚みが増す前に守備の崩壊が進み、後半11分にジルーのヘディングで失点してしまう。
GMや監督が変わる時にチームが失速するのは(特にローマでは)良くあることで、先日チアゴ・ピントGMの退任が発表されて、離脱中のスモーリングが中東への無償移籍を願い出たという噂もある。新しいGMのミッションはローマの人件費削減で、その最も効果的な方法が、新しい監督を連れてくることなのであれば、チームがひとつになるのは難しい。
閑話休題。
69分、ペッレグリーニがボックス内で倒されてリゴーレを得ると、キッカーのパレデスが危なげなく決めてローマは息を吹き返す。72分にはペナルティアーク付近からの直接FKをペッレグリーニが蹴るなど、立て続けにカピターノから決定機が生まれた。
79分にチェリクに代えてザレフスキを投入してサイドの活性化を図る。ローマは後半30分からの得点が15ゴールと今季のセリエAで最も多い。その理由のひとつに、この体力的に苦しい時間帯に走れる選手をベンチに置いているからだ。ようやくルカクにボールが供給され始めたが、84分、ジルーのバックヒールの落としを引き取ったテオ・エルナンデスが豪快に振り抜いてネットを揺らした。
カルチョのスカラ座はミラン以外のプリモ・ウォーモを認めるつもりはない。このゴールで勝敗は決した。
感想
守備、とにかく守備である。この試合では相手の多くのクロスがシュートクリエイトに繋がっていて、より大量失点の可能性すらあった。唯一計算できるバックアッパー、エルシャーラウィのスタメン起用がハマらなかったのも痛い。新加入のハイセンはコンスタントに試合に出ているが、ドライローンであることも含めてプレーも特に目を見張るものはなく、将来性を感じられるほどぼくのイマジネーションは豊かではない。
最後にこの試合でローマのアタッカンティが放ったシュートは、エルシャーラウィの1本のみであることも付け加えておきたい。ベロッティ、ルカク共に0本である。今夜のローマには勝利に値するプレーはなかった。そんなチームに芸術点などあるはずもない。
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