アリソン去りし後、モンチがつれてきたオルセンは、戦術の国イタリアのシステムや言葉の壁に苦しみ、最後はベテラン第二キーパーのミランテに置き換えられてしまった。伝統的に外国人キーパーの特色を活かす戦いをしてきたローマにとって、パウ・ロペスの加入は昨シーズンの没落感を払拭する新生ローマのゼロイヤーに相応しい。今日は彼についてお伝えしたいと思う。
Name: |
Pau López パウ・ロペス |
Date of Birth (Age): | Dec 13, 1994 (24) |
Place of Birth: | Spain Girona |
Height: | 1,89 m |
Club: | Real betis |
彼はローマTVのマイクにこう語った。
「ローマに来るのはぼくにとってもうひとつのステップなんです」
24歳のスペイン人は言葉を続ける。
パウ・ロペス「ベティスでとても良い1年を過ごしたけれど、ローマからの誘いを断ることはほとんど不可能だと思う。ぼくはローマでプレーする準備が出来てるし、この歴史的なクラブに来ることができてうれしいんだ。フォンセカ監督はぼくにこう話したよ。野心と勇気のあるチームを求めているってね」
パウは24歳でありながら、すでにリーガで100試合以上の出場経験がある。多くの苦難を乗り越えてきたパウは、イタリアの新しい冒険が簡単ではないと知っている。
パウ・ロペス「例え難しい時期でも、逆境に直面していても、ぼくは自分のやるべきことをして、チームを助けたいと思う」
2007年にエスパニュールの下部組織に入ったパウは、そこで90年代のカメルーンを支えた伝説的ゴールキーパー、トーマス・ヌノコに見出された。「あの子のような選手を指導できて私は本望さ。パウは最高のキーパーに成長しつつあるよ」
2016年にパウはエスパニョールを去りトッテナムに加入した。ポチェッティーノ監督は、かつてエスパニョールで監督を務め、そこでパウの資質を見抜いていたのだ。しかし、英国でのチャレンジは上手くいかずに、2017年の夏にレアルベティスに加入。そこでパウはリーグ33試合に出場、10度の無失点試合に貢献した。
ぼくを含め、多くのロマニスティにとっては、過去の経歴よりも、彼がどのようなプレイヤーなのかが気になるところ。そこで今回ローマ速報では、パウの情報を教えてもらうべく、ベティコの馬丁doramiさんに話を伺った。
ズバリ、パウ・ロペスのプレースタイルは?
長所
パウの特徴はなんと言っても足元の上手さです。パスサッカーを志向するキケ・セティエン前監督が就任直後から彼の獲得を熱望する程で、相手が前からプレスを掛けてきても焦って蹴るようなことは滅多にせず、サイドや前線目掛けてのミドル・ロングパスは高精度。
セティエンがGKからボールを繋いでゴールを目指すサッカーを好む監督だったので、相手を自陣深くまで誘い込んで疑似カウンターを仕掛ける時はハイリスクの中パスを繋いで重要な役割を果たしていました。
短所
弱点は、若さ故かキャッチングでイージーミスをごく稀にやらかすことや相手によっては気持ちが入りすぎるせいかダーティなプレーや振る舞いをしてしまうことでしょうか…
パウ・ロペスはイタリアで成功するか?
エスパニョールにいた頃スパーズへ一年間のローン移籍を経験しており、第三GK扱いだったので出場はなかったようですが、国外クラブに身を置いたことがローマで適応する助けになるかもしれません。他には乾などの外国人選手と積極的にコミュニケーションをとって気を配るシーンを数多く見掛けたので、それを国外のものを抵抗なく受け入れていたとするならば、自身が他国に適応しやすいとも言えるのでは。
ベティコにとってパウの放出はどのような印象を持ったか?
自分としてはベティスの補強の関係からクラブにお金を残して移籍するのなら致し方ないと思っています。控えGKも足元以外ではパウにも劣らない実力者なので監督も変わった今、悪くない取引かと。
パウのプレー以外のエピソードなどございましたら教えてください。
エピソードではないですが、今回の移籍について、ベティス上層部は残留を望んでおり彼の妻もセビリアを離れたくなかったようですが、それでも決断したと語っています。他にも一人前に育ててくれたエスパニョールとは契約交渉で長期間揉めて最終的にフリーでベティスへ加入した経緯なども含め、クラブへの忠誠心はあまり高くないのかもしれません。
最後におまけの質問をしてみました。
トニー・サナブリアはベティコにとってどのような存在なのでしょうか?。またこの夏の売却は有り得ますか?
サナブリアは当時のベティスからすれば久々の大金を費やした補強でした。しかし、怪我も多く期待されていたような成績を収められていません。17-18シーズンは短期間でゴールを量産し本来の力を示すか、という所で怪我により長期離脱。昨季はベティコからブーイングを受け、ジェノアへローン移籍することを選びました。
ジェノアでは最初の数試合だけでその後は期待外れに終わり、20年6月末までのローン契約を解消するか、第三者に同じ契約内容で又貸しする可能性も噂されているようです。 このままだと今夏の売却はまず不可能で、今後不良債権化するのでは、という不安を抱いています。 なので今回の取引で金銭の代わりにサナブリアが含まれているのを見て、ローマにしてやられたなと。
馬丁さんありがとうございました!引き抜いたクラブのファンサイトからの突然の申し出に嫌な顔ひとつせず(逆の立場ならぼくにできたかどうか・・・)、とても判りやすく丁寧に解説して頂いて、本当に感謝しかありません。ぼくは昔から、そしてこれからもセヴィージャよりベティス派です!(これマジで)
話を聞く限り、将来性を見据えた補強というよりも、フォンセカの戦術に沿った補強のような気がしますね。アリソン、シュチェスニー、スコルプスキと、優れた外国人キーパーの系譜を受け継いで、新生ローマの守護神として大成功を収めて欲しい。Forza pau!
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