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サッカーにおけるジャーナリストの役割:ヨハン・クロシェ(元goal.comフランス編集長)

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今回は、元ユーロスポーツ、Goal.comフランス編集長を経て、現在フリーのスポーツジャーナリストのヨハン・クロシェさんのインタビューをご紹介します。ヨハンさんはフランス人でありながら子供の頃からの熱烈なローマファンで、異国のクラブを応援する難しさは、日本のロマニスタにどこか通ずるところがあるでしょう。最近ぼくちょっとしょんぼりしてたじゃないですか。みなさんのアンケートで勇気を貰ったけど、ヨハンさんのインタビュー読んで更にがんばろうと思いました。

――ボンジュール、ヨハン。あなたはフランス人でありながらイタリアサッカー専門のジャーナリストとして活動しています。しかもロマニスタなのだとか?

ヨハン・クロシェ「ええ、私がまだ幼い頃、両親が何度もイタリア旅行に連れて行ってくれて、それですっかりイタリアにハマッたんです。大通りでは偽物のユニフォームが売られていて、フランスのテレビではユヴェントスとインテルしか観ることができなかった。そんな時代でしたから、ローマを知ったのはもう少し後の話になりますね」

――いつ頃でしょうか?

ヨハン・クロシェ「98年のワールドカップ(フランス大会)で、ルイジ・ディ・ビアッジョを観たときです。私はすっかりディ・ビアッジョのプレーに魅了されてしまい、その彼が所属するローマを追いはじめたのがきっかけですね。そうして私は、ジャッロロッソ(赤と黄色)のローマカラーやユニフォーム、スタジアムの虜になっていきました」

――そして、スポーツジャーナリストになった。

ヨハン・クロシェ「ウィ、その通り。広告業界でマーケティングの仕事をしていましたが、スポーツジャーナリストになるチャンスが舞い込んできた。そこで私は、自身の古い夢を思い出し、やるなら今しかないと決心を固めたのです。まずユーロスポーツで働きはじめて、そこでイタリアサッカーについて書くことになりました。いくつかの新聞で、オランダやスカンジナビアのサッカーについて書いたこともあります。その後、フランスのGoal.comの編集長に就任しました。今年6月に編集部は辞めましたけど、現在は、ギヨーム・メイラード・パシーニ(*ユーロスポーツ記者)とのイタリアサッカーのポッドキャスト『カルチョ・エ・ペペ』のプロジェクトに関わっていますよ。定期的にイタリアサッカーにちなんだフランス人ゲストを迎えたりもします。前回はストロートマンのマルセイユ移籍についてたっぷり話しました(笑)」

――あなたはイタリアのサッカーに精通したジャーナリストであり、同時にロマニスタでもあります。この二つに関連性はありますか?

ヨハン・クロシェ「いいえ、それはありませんね。どういう意味か説明しましょう。仰る通り、私はロマニスタですが、それが仕事の妨げにならないという事です。ローマが批判されるべき時には、私はローマを批判する。もちろんお祝いするときはお祝いします。ツイッターのフォロワーは、私がロマニスタであることを知っていますけど、そのせいで読者が私のジャーナリストとしての客観性を疑った事はありません。2011から2013年までユーロスポーツでセリエAの記事を書きましたが、多くの読者は私がユヴェントス、ミラン、インテル、あるいはローマのサポーターだと信じていたのです。それは私が仕事を上手くやったという証明ですね(笑)」

――そろそろジャーナリスト、クロシェへの質問といきましょう。この夏のローマのメルカートについてコメントを頂けますか?

ヨハン・クロシェ「ストロートマンとナインゴランの売却はさすがにヘコみましたよ。ですが、一度私たちはローマの立ち位置を認識すべきです。ローマは創立91年で、その間にスクデットはわずか3回だけ。これは少な過ぎる。だからといって、ユヴェントスのようなメルカート戦略でチーム強化する事はできません。目指すべきはドルトムントのビジネスモデルでしょう。あなたはアリソンに対しての6000万ユーロ+ボーナスのオファーを拒否できますか?選手たちを売却したおかげで多くの新戦力が到着しました。その中で最も大きなギャンブルはパストーレでしょう。私たちは彼の才能を知っていますが、同時にフィジカルが弱く、調子にムラがあることも知っています。一方でクライフェルトを連れてきたのは面白いと思いました。私はアヤックスをずっと見てきたので、クライフェルトが、ペルキュッシオン(コンタクト)、ヴィデス(スピード)、デュエル(マッチアップ)で、非凡なものを持っているのを知っています」

――エンゾンジをどう見ます?

ヨハン・クロシェ「スペインのサッカーに明るくないのですが、エンゾンジについてはたくさんの意見を聞きましたよ。ベルガモ(アタランタ)のプレーは鮮烈でしたよね。技術的にも素晴らしい。ローマは前半酷い入り方でしたが、彼が投入されて蘇生した。デ・ロッシと組んで存在感を出していましたよね。パストーレが10番になれるように、彼もローマでリーダーになることができると思います」

――放出と到着、この夏の大型補強でローマは『イタリア永遠の2位クラブ』というイメージを払拭できますか?

ヨハン・クロシェ「これほど大きく動いた夏がかつてあったかと言えば、無いわけで、そういった意味ではローマが売るだけのクラブではないとアピールできたのかなと思いますが、正直スクデットはユヴェントスでしょう。ローマは2位から4位の間に入りたい。ロマニスタとしてはチャンピオンズで早々に消えるくらいなら、リーグは4位でいい。チャンピオンズを出来るだけ勝ち進んで欲しい」

――ところで、あなたのこの写真覚えてます?
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ヨハン・クロシェ「2017年5月28日オリンピコ。トッティがローマを去った日の私ですね。32年生きてきて、これほど素晴らしいのに悲しい日は初めてでした。ロマニスタとして、サッカーで最も強く心を揺さぶられた瞬間です。チャンピオンズリーグの勝利は感動的ですけど、あれほどじゃない。トッティはクラブとあらゆるものを結ぶ真の象徴でした。90年代にオリンピコで実況をしていたカルロ・ザンパ氏にインタビューしたとき、彼がこう言ったのを覚えています。「君はフランス人で、イタリア系でもない。そんな君がロマニスタであることに敬意を持っている。遠くで暮らしていながら、自分がローマであると感じる人は他にもたくさんいる。ロマニスタには独特の感情があり、それは他のクラブのファンよりも強いのだ」と。この写真は私がスタンドで泣き叫んだ後に撮影されたものです。ザンパさんが仰られたように、オリンピコには様々な国籍の方々が集結していたのですが、私は全員がそこで感じていた気持ちを理解することができました。ちょっぴり悲しかったけど、全てのロマニスタのとても素敵な瞬間だったと思います。トッティは未だにローマ史上最も偉大なカピターノで、私の大好きな選手です。しかもそのトッティはまだローマにいるんですよ!あの日自分が泣いたのも驚きましたね。これまでサッカーで涙を流すなんて一度もなかったものですから」

――グループリーグの組み合わせについてコメントを頂けますか?

ヨハン・クロシェ「昨シーズンのアトレティコ、チェルシーに比べたら比較的楽なグループです。プルゼニとCSKAはローマよりも格下ですが、そこに罠があります。CSKAと対戦した3日後にはアウェイでナポリと戦い、オリンピコでマドリーと戦った4日後にはメアッツァでインテルと対戦します。チームはこの複雑なシークエンスに注意を払わなければなりません。昨シーズンの鍵は間違いなくディフランチェスコ監督のローテーションですが、それは今季もっと難しくなるでしょう。その為の(夏の)大きな補強なのです。今後、より優れた選手の関心を惹くには、チャンピオンズで勝ち進むことが不可欠です。あくまでベスト16進出を最初の目標とすべきですけど、私たちロマニスタはあらゆることが可能であると既に知っていますよね」

――ロナウド不在のレアル・マドリーをどう見ますか?

ヨハン・クロシェ「レアルはロナウドを放出して、ほとんど補強をしなかったので未知な部分が大きい。順位表を見るかぎり、これまで同様に簡単な相手とはいかない。だけど思いだしましょう、昨シーズンのグループリーグで、チェルシーとアトレティコよりも上にいたのはどのクラブだったのかを。勝負はこれから、まだ誰も何も決まっていませんからね」

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