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【元ローマGMインタビュー】チアゴ・ピント「あの日、ローマで初めて自身の限界を感じた」

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今年2月にローマを離れたチアゴ・ピントのインタビューをお届けしたい。彼の言葉からは、ローマへの愛情、そして、実直で真摯に仕事に取り組んでいたことが窺い知れる。ピントもまた、我々と同じ本物のロマニスタなのだ。


ローマを離れて2か月経ちました。今はどのように日常を過ごしているのでしょうか?

ピント「平穏な日々だよ。休暇を取っているんだ。来るべきチャレンジのための充電期間だね」

現在のローマはあなたの目にはどのように見えていますか?

ピント「デ・ロッシ監督にとっても、選手たちにとっても良い結果で満足している。みんな良いパフォーマンスを披露しているし、結果も出ているね。それを見て私は幸せだ。ゼネラルマネージャーの仕事をするためには、完全な調和と整合性が必要であり、モチベーションなどポジティブな気持ちを持ち続けなければならない。それを欠いてこの仕事はできない。ただ、3年ローマで駆け抜けるとある程度の疲労は感じてしまう。だから辞めたことは後悔していないんだ。それに、こうしてローマがうまくやっているのを見るのは嬉しいからね」

新体制の中であなたの仕事が再評価されています。

ピント「試合結果とターンオーバーの人員を見れば、誰もがローマが良いチームだと確信している。ただ、だからといって私が上手くやり遂げ、連れてきた選手がすべてハマっていると言いたいわけじゃない。少なくとも選手に関しては長い目で評価されなければならない」

デ・ロッシ監督があなたにローマに残ってほしいと頼んだという噂は本当でしょうか?

ピント「本当だ。元々彼がここで監督になる前から私たちは良い関係を築いていた。短い間だけど1月中一緒に働く間で、ダニエレは私の仕事の良し悪しはさておき、クラブに忠実で、監督を助け、ハードワークを厭わず、自己犠牲精神があることを理解してくれたと思う。ダニエレに慰留されたけど、今のローマに馴染めるように私が支えるのは当たり前のことだけど、どんなに頼られても、決断は変わらないと伝えた」

モウリーニョ監督の解任についてお聞かせください。

ピント「誰にとっても難しい一日になった。私はまだ若く、もしもこれがベテランで経験豊富なスポーツディレクターだったら異なる方法があったのかどうか・・・それはわからない。ただ、スポーツディレクターとして、監督に解任を告げなければならない瞬間、それは私自身の死も意味していた。監督が去るということは、私にも原因があったということなんだ。この日、私は感情が高ぶり、大きな不安を抱えていたが、この決定が2年半の私とジョゼの仕事や人間関係の総括ではないとも思っていた」

4-1で敗れたジェノア戦後、あなたはモウリーニョ監督の解任の危機を救ったと言われています。この噂は真実でしょうか?

ピント「ジョゼとは時に異なる考えを持っていたけれど、シーズン中の監督とスポーツディレクターの間では常に大きなプレッシャーが存在するためにそのような相違、混乱が生じるのはお互いわかっていた。私は最後まで会社、監督、プロジェクトと一緒に働いていた。考え方が違ったとしても、芯の部分が同じならば一緒に仕事はできる」

ジェノアについては答えてくれないのですね・・・

ピント「(笑)シーズン中、クラブには色々なことが起こるし、上手くいかないときの評価も必要だが、下される決断は全て私個人ではなく、常に組織としての判断だ。ジェノア戦後にローマを指揮し続けたのも同じだよ」

どの選手が加入するのか、そういった情報は常に監督と共有されていたのでしょうか?

ピント「モウリーニョ監督が知らない間に選手がローマに来たことはない。もちろん、加入した選手が全員監督のファーストチョイスだったと言えばウソになる。良い結果を出したから、活躍できないから、それが私の呼んだ選手か、監督の欲しかった選手か、クラブが連れてきたのかという区分は存在しない。少なくともジョゼが欲しがらない選手は誰も加入していない。もちろん公平を期すならば、彼が欲しい選手も全員獲得はしていない」

ディバラとスヴィラルをパラメトロ・ゼロ(移籍金ナシ)で連れてきたことに誇りを持ちますか?

ピント「いい質問だね。ディバラ獲得に貢献したことは私にとっても幸せなことだった。私がディバラをどれだけリスペクトしているか知っていると思うけど、彼だけでなく、スヴィラル、アワールといった1億ユーロの市場価値を持つ選手を3人自由契約で獲得できたことに誇りを持っている。色々な制約があったし、私自身の間違いもあったけど、今のローマには高い市場価値を持つプリマ出身の選手が2名。それに、ディバラに加えて、契約延長した選手たちもいる。イバニェス、ザニオーロは売却したが、毎年夏にベストプレイヤーを放出したわけではない。マンチーニ、クリスタンテ、ペッレグリーニ、エルシャーラウィといったチームの核となる選手を維持してきた。ディバラ獲得は嬉しい出来事だったけど、今はあまり自己中心的な考えでいたくはないが、スヴィラルが今この瞬間大活躍していることに満足している。彼は私とっていつまでも子供のような存在だ。ベンフィカに連れてきて、ローマまで一緒に旅をしてきた。このクラブで世界最高のゴールキーパーのひとりになるだろう」

ヨーロッパリーグ決勝の日を思い返してください。

ピント「あの48時間をマネジメントするのはとても難しい。我々はプロとしてすべてを注ぎ込んだ。決勝で負けるとは思わなかったし、負けるべきでもなかった。不公平だとも思ったし、悲しみ、恨み、葛藤、混乱、私のキャリアで最も強い感情の揺さぶりがあった。肉体的にも同様で、私たちは決勝の後、あらゆる疲弊から死んでいた。優勝できると感じていた。素晴らしい試合をしたと感じていた。ただ、サッカーとは往々にしてそのようなもので、時にディテールが勝敗を分けてしまう。加えて主審の問題もさらに決勝に物議を醸しだした」

ブタペストで退職を決意したのでしょうか?

ピント「あの決勝が私にとって決定的な瞬間になった。その72時間後にはスペツィアとの試合があり、そこでタミー・エイブラハムが怪我をしてしまった。そこでローマに来て初めて体力と精神の限界に達していると感じたんだ。どうにか夏の間は持ちこたえて、自分なりにメルカートを進めたが、それでも、もう私は去らなければならないと決心した」

もしあなたが現在もローマのGMであれば、デロッシを来シーズンも監督として起用しますか?

ピント「ダニエレは上手くやっている。特にこの仕事に対する意識の高さには驚かされた。時折監督になりたい偉大な選手たちと会うが、彼らはこの仕事がもたらすネガティブな出来事に対する準備ができていないように見える。でもダニエレはその逆だ。監督としての仕事を続け、さらに現在ローマを育て、結果も出している。彼の去就について私に発言する権利はないが結果と価値の面から、スポーツディレクターとして太鼓判は押す。あとは決定するかどうかはローマが決めることだ」

復職するならば再びイタリアのクラブで働きたいですか?

ピント「もちろん!でもどのクラブでもいいというわけじゃない。私はラツィオに行こうとは思わないからね。もちろん彼らもそれを望まないと思うけど(笑)」

<了>

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