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【メルカート総括記者会見】チアゴ・ピントGM「私はゴミでもなければ王でもない。仕事をするただの男」

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恒例となったメルカート後の総括記者会見が行われたので、そのほぼ全文をご紹介したい。非常に長い内容になったが、この会見からピントGMの仕事に対する姿勢、謙虚な人柄、そして静かに燃える闘志を感じることができるだろう。


契約満了を迎える監督とのシーズンにはリスクが伴います。今シーズンのローマは早くも難しい状況となりましたが、今後のチームと監督のプランについてお聞かせ頂けますか?

ピントGM「まずは今日の会見について説明したい。ローマに入社してから私は自分が口下手だと言ってきた。それでもメルカートの終わりにはみなさんの前で市場の総括を話している。無論移籍以外のことでみなさんが質問をお持ちなのは理解しているが、今日午後に来たのはメルカートについて話をする為だ。現状について述べるならば、ローマにいる全員がいま起こっている事を正しく認識しており、インターナショナルブレイク後に立て直す為のやる気がみなぎっているのを感じる。自分たちの長所を理解しているし、最良の結果を引き出す能力があることを知っている。クラブが直面する様々な問題は適切なタイミングで、適切な人物により、適切に処理されるだろう」

ここ数年はリスクを承知でベテラン野獲得を軸にチームを構成してきましたが、再び若手に投資し始めました。このプロジェクトについてご説明頂けますか?

ピントGM「メルカートでは3つのプランを考慮する必要がある。ひとつは技術プランで、監督、マネジメントチーム、オーナーが協力して、以前より強いチーム作りを目指す。個人的には退団した選手と加入した選手を比較すれば今のほうが強いチームだと信じている。選択肢が増えたからね。次に財務プランだ。私たちはファイナンシャル・フェアプレー制度(以下FFP)の和解協定により、今後2年間クラブ収入の70%までしか市場に使うことができない。だから、他のスポーツディレクターが夏休みの間、私はこの範疇に留まるための財務計画に時間を費やした。そして最後に戦略プランだ。この状況から抜け出すためには、私たちはスポーツ面と財政面で結果を出す為の将来有望な若手と契約する必要があった。もしもエンディカとアワールに2000万ユーロ支払っていたらあなたの質問は違っていたはずだ。この3つのプランの間でバランスを取ろうとしている。そして和解協定を遵守しながら優れた若手選手を獲得するのは容易ではないとあなたも理解できるはずだ。モウリーニョ監督が来てから下部組織の重要性が増したことも付け加えておきたい。積極的なプリマ起用は監督が考えたことで、この2年で何人もの若手をトップチームに引き上げた。ボーヴェとザレフスキはいまやスタメンでプレーしており、現在も何人かのプリマ選手がトップチームの練習に参加している。こういった背景の中で、外部から選手を5人レンタルで獲得するようなクラブであればそれはあまりにも目先に囚われ過ぎだろうが、エンディカとアワールのケースが示しているように、この夏の移籍では今申し上げた3つのプランをすべて満たしたんだ」

モウリーニョ監督にチャンピオンズリーグ出場権を狙えるチームを与えたと思いますか?

ピントGM「今日この会見が終わり、みなさんが帰るときに「ああ、ピントと監督は仲が悪いんだな」という感想は持って欲しくないし、実際にそうならないと思っている。私たちは同じ言語を話し、お互いに自身の考え方を説明し合う。私たちはローマのプロジェクトを前進させて、チームにとって最善を尽くす決意を持っている。それがまず最初に言えることだ。このクラブに来た時から、オーナーの狙いがチャンピオンズリーグだと理解していたし、それは私の、そして私たちの目標でもある。それを達成できるかは別問題で、達成する義務があるかは私が話すことではないだろう。監督と私では発言の内容が異なれども、意見が食い違うことはない。そして、これはロマニスタやクラブに対して失礼な言い方になるかもしれないが、我々はマンチェスターシティではないはずだ。クラブによって移籍市場は異なる。私がシティで働いていたらデクラン・ライス欲しかったかもしれない。もうひとつ説明しておくと、モウリーニョ監督が来てから、それまで多くの問題を抱えていたザニオーロ、ディバラ、スモーリングといった選手たちのフィジカルコンディションを取り戻すことに成功したのは、コーチングスタッフ、メディコ、フィジオ、ドクターの仕事のおかげだと思っている。彼ら全員の協力体制はこのチームの財産だ。そして、最後にこれだけ言わせてほしい。レナト・サンチェスの獲得が失敗だった場合、その責任はすべてこのチアゴ・ピントにある。私はベンフィカで彼を獲得したかったし、ローマでもずっと獲得したいと願ってきた。それが今は実現した。彼はこれまでフィジカルに問題を抱えてきた。今後もそのようなことがあれば、リスクを承知で獲得に踏み切った私の責任だ。しかし、先ほどお話した私たちの協力基盤があれば、レナトのポテンシャルを最大に引き出せると確信している。だからこそ、出場機会によってレンタルから完全移籍に切り替わる契約にサインした。彼は素晴らしい選手だし、ローマに連れてくるというチャンスを逃したくはなかった」

ジャンルカ・スカマッカ、マルコス・レオナルド、ルーカス・ベルトランにアプローチして、最後はルカクが加入しました。さまざまな年齢の選手をターゲットにした理由について説明していただけますか?また、ベルトランとフィオレンティーナで何が起こったのか説明できますでしょうか?

ピントGM「オーケー、私は38歳で、バツイチ、子供もいない。だからノーと言われることには慣れているのさ。だからいろんな選手にアタックしたんだよ!というのは冗談で、今名前が挙がった中でローマが興味を示したのは二人だね。スカマッカとは交渉をしていたが、皆さんもよく知る理由で契約できなかった。マルコスは長らく追っている私たちのターゲットだ。だが、サントスのような歴史あるクラブが降格して、テクニカルコーディネーターのファルカオが解任された。監督も変わり、若手を数人売却したことでサントスはチームのベストプレイヤーである彼を残すことに決めた。残念ながら私たちはそれを尊重するしかない。彼は20歳ですでに150試合に出場して50ゴールを決めている。これからも彼の動向を追うだろう。少し質問から逸脱するが、この夏が、どのクラブにとってもストライカー探しに苦労したメルカートだったことに異論はないはずだ。資金力のあるクラブでもストライカーを探せず、また市場の終わる最後の数日でとんでもない資金を費やした。本当に難しい夏だった」

ネマニャ・マティッチとの関係修復は本当に不可能だったのでしょうか?

ピントGM「みんな私の失敗について話すのが好きなんだろうね。とはいえ、マティッチについては何も語りたくない。彼に関する2週間は本当に意味不明だった。だがね、あなた方はネガティブな面だけを見るが、私はポジティブな要素もあったと思う。私たちはワールドカップを制覇したレアンドロ・パレデスを獲得したわけだからね。モウリーニョ監督はマティッチが移籍の真相を話したいなら勝手にすればいいと言った。だから話は以上だ。私たちローマはこんな話題にエネルギーを浪費したくない。単なる移籍あるあるだし、前を見た方がいい。マティッチの話には何一つ価値はない」

この夏、ダヴィデ・フラッテージを獲得できる可能性はありましたか?

ピントGM「以前からフラッテージが気に入っていると言ってきた。本当に好きな選手だよ。でも結局は誰もが好きに選択できるんだ。だからフラッテージやスカマッカの選択を尊重しているし、後悔はしていないよ。もちろん彼らについていたセルオン条項で私たちに収益がもたらされたからでもある」

FFPについてご説明いただけますでしょか?

ピントGM「質問してくれてありがとう。これは私の仕事の領域で、自分が説明すべきことだね。ローマはUEFAと4年間のFFPの和解協定を結んだ。ひとつは2年間は収益の70%しかチームに使えないという内容だ。オーナー、新CEOのリナ、ブランド責任者のマイケル・ワンデルは、6月末までに3000万ユーロの予算達成に向けて努力した。私は和解協定を遵守しながら移籍市場で働いた。そこにセルオン条項の売り上げも含まれている。フラッテージ、カラフィオーリ、アントヌッチ、ウンデル・・・彼らのセルオンで1500万ユーロを得ることができた」

そしてザニオーロも。

ピントGM「いや、アストンヴィラはレンタルだからダメだね。我々は1500万を稼いだが、それは移籍の資金としては計上されないんだ。その他、ミッソーリ、ヴォルパト、タヒロヴィッチで1800万の収益を得たが、彼らも和解協定の条件によって移籍金の残高としてカウントされなかった。つまりローマはこの夏のメルカートで大きな制限を課されていたんだ。もうひとつ例を挙げよう。PSGからパレデスを連れてくるために私はルイス・カンポスと1週間も争ったんだ。彼と私でまったく異なる数字を出していたからね。最終的には移籍金250万に、80%の試合出場で200万がボーナスとして支払われる、総額450万ユーロの契約となった」

ローマに来た当時と今の写真を見比べたことはありますか?あなたはとても疲れているように見えます。

ピントGM「疲れは隠せない。これが自分の仕事だと理解していても、3ヵ月このレベルのプレッシャーにさらされて、食事も睡眠もとらずに不安な生活を送ってきたからだ。幸運にも私はそういったプレッシャーで必要以上に影響を受けたりしない性格だが、プロジェクトを成功させたければこのくらいの披露は当たり前のことだ。実はこの記者会見が終わったらポルトガルに飛ぶ予定だ」

GKの補強についてどのように考えていますか?

ピントGM「どこかの代理人が私から問い合わせがあったというのであればそれは嘘だ。ルイ・パトリシオについては心配していない。彼はカンファレンスリーグで最高のGKだったし、昨シーズンのクリーンシート数はセリエAでもトップを争うくらいだった。チームが期待されるレベルのパフォーマンスができず、その理由として彼の資質が疑問視されている。しかし、私たちは負ける時は全員で負ける。良いプレーで勝利すれば、それは全員で勝ったんだ。私はローマの選手を100%信じている」

最も困難だった交渉は?

ピントGM「2年前の夏だね。ジェコがインテルに移籍した後、家から出ることすら困難だった。どの交渉が難しいというよりも、まずお金や契約よりローマが重要なクラブだと感じてもらうことが大切なんだ」

ディバラを失うリスクはありましたか?彼にもローマの重要性を理解してもらったのでしょうか?

ピントGM「いや、心配はしていないよ。それに、ディバラの代理人とは良好な関係だ。ディバラ本人の考えも知っている。彼は素晴らしい選手であり、素晴らしい人間であり、プロフェッショナルでもある。だからみなさんにはディバラがいるローマを楽しんでもらいたい。そう、これから2シーズン、ディバラを楽しんでもらいたいね!その去就については適切な時期に話をするだろう。私の将来もそうだし、監督もそうだ。時期が来ればすべてはっきりする。多くのメディアがディバラの退団を報じたが、なぜこのようなことが書かれたのか顧みる必要がある。結局、彼は残留しているし、クラブとも良い関係だ。もし出て行こうとしても全力で引き留めるよ」

ルカクが獲得可能だと感じたのはいつですか?またどのようにチェルシーを説得したのでしょうか?

ピントGM「いつ感じたかを話すのは私のためにならない(笑)私には多くの欠点があるが、嘘つきじゃないからね。だから3ヵ月前から狙ってた、とは言えないわけだ。もちろん、彼の周囲の人たちとは良い関係だからルカクの状況は以前より知っていた。それが私の仕事なんだ。7月にはルカク獲得は不可能だったけど、誰かに期待を抱かせないように口に出さずに選手たちを追い続ける。そしてチャンスが来ればそのタイミングを最大限生かすようにしなければならない。ルカクのケースでは、監督の貢献も重要だった。そして、フリードキン会長、副会長が交渉に直接関わってくれたのもプラスに作用した。秘訣はいつも同じ、素早く実行することだ。ルカクは4,5日、ディバラも5日で決めた。あまり話が長引くとチャンスを失ってしまう」

ミラン戦の後、誰もメディアに話をしなかったが、今ローマでは何が起こっているのでしょうか?

ピントGM「負ける時は全員で負けて、勝つときは全員で勝つ。リーグは35試合残されており、まだ3試合が終わったばかりだ。慌てるような時間じゃない。この3試合はメルカートが開いている難しい状況で行われ、多くの混乱、問題があった。自分たちに何ができるか理解しているし、インターナショナルブレイクの後は改善するためのすべての条件が整う。アズムンを獲得した日にインスタグラムには「ローマから出ていけ」「おまえはゴミ野郎だ」という何百ものメッセージが届いた。そしてルカクを獲得すると私はローマの王だと言われた。実際のところ私はゴミでもなければ王でもない。自分の仕事をしているだけのただの男なんだ。試合結果だって同じさ。上手くいかなければ多少はイライラするけど、まだ試合は残されている。選手にはクオリティがあり、監督はジョゼ・モウリーニョだ。調子が落ちているのは認めるが、この問題を落ち着いてポジティブに変えていこう!」

<了>

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