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【旧ロマ速記事】緊急企画:PK研究 なぜジェコは決められないのか編

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注:本記事は2017年12月に旧ローマ速報に書いた記事です。このシーズン、ドン引きするほどジェコがPKを止められていました。3年ぶりにPK蹴ってまた決めれなかったので掲載しておきます。今やこれらの考察が完全に正しいとは思わないけれど、一応記念に置いておきますね。

また先程の試合を含むジェコのPK失敗リストを本文最後に収録しておきます。


緊急特番『おいおいジェコさんよ、そりゃないじゃないか』を改題してお送り致します。

今年2月のクロトーネ戦後にジェコ先輩から「次のPKは誰か他の人に蹴ってもらった方がいい」という名言を頂いたわけですが、今日終わった(敗退的な意味でも)コッパ・イタリアで、再びジェコがシレッとPKを蹴って止められるというユニークなことになっていました。

なんでそんなことになったのか、GIF画像を1億回ほど見たんだけど、そういやぼく素人だし、わかんないやってことで学究的探究心から調べることにしました。なので、本職のキーパーや、キーパーコーチからすれば「いや違うよ」「そんなの基本だよ」「最新の指導ではそうじゃないよ」とか色々あるかと思うけど、まあそれはそれとして、あくまで個人ブログ上の如月個人の勉強と覚書として書いておきたい。

まずゴールマウスを赤マス、黄マス、緑マスの信号機スタイルで分けます。
1

キーパーは、このマス目のとこかに飛んでくるボールを防ぎます。そのために事前に相手キッカーの傾向を調べたり、挙動からコースを読んでストップを試みます。

その成功例を挙げるならば、残念ながら先日のカリアリ戦でしょうか。
カリアリのGKクラーニョはペロッティが蹴ってから動き出し、見事にこれを止めました。本来ペロッティのPKは、ゆっくりとボールまで歩き、じれたキーパーが体重を掛けた瞬間に、すかさず逆の方向に切り替えるというテクニック。後出しジャンケンに近い手法なので、自分がミスキックしない限り必ず決まるという利点があります。その代わりにデメリットも大きい。インパクトの直前で方向を変えねばならなず、浮き球や、速いボールがなかなか蹴れないのです。カリアリはそこを研究してきました。
ペロッティからしても相手が動かないので内心驚いたでしょう。ただでさえコロコロPK一択なのに、さらにコントロールが甘くなり、黄マスのグラウンダーとなりました。おそらくはそういったペロッティの失敗もあって、トリノ戦のPKではジェコが蹴ることになったのだと思います。

相手キーパーからすると、あれ?ジェコ出てきちゃったよ。ペロッティはコース絞れるけど、ジェコじゃどうかな、15分の1の確率か・・・てなわけで、速いボールで蹴られたら基本防げない左右の赤マスはひとまず選択肢からバッサリ除外して、黄マスと緑マスのどこかに山を張ります。

それ以外でも、立ち足(軸足)の置き方や、足の開き方なんかでコースを予測できるらしいのですが、果してヨーロッパの第一線でプレーするストライカーが、そのような判りやすいヒントを与えてくれるのでしょうか?そうなると次は助走位置が重要そうです。
2

右足で蹴る選手が、左45度から助走をつけたとき、かなりの高確率で左に蹴るそうです。ガーって助走に勢いつけて、スピードに乗せてズドンと蹴るとなんかふかしそうなイメージありませんか?それよりは腰を回して遠心力で足を振った方が、制御の効いた速いシュートが打てるというわけです。
pk_3

ジェコ先輩は既に左45度の位置にスタンバイしていますよね。この法則が正しければ、とっても・・・危険です・・・。でもヨーロッパの第一線でプレーするストライカーが、そのような判りやすいヒントを・・・

そして・・・
PK_4

踏み込んだ時点ですでにGKミリンコヴィッチ-サヴィッチが左足に体重を掛けて、右足を浮かせているのが判るでしょうか?完全に読まれてしまいました。

でもですよ、ここまで書いてきたことを否定するみたいですけど、実際のところキーパーって今回みたいに思い切りよく飛べるものなのでしょうか?

ジェコは、抜け目なさ、狡猾さといった泥臭さとは真逆の、どちらかと言えばプレーに品があるタイプなので、確かにその点では一般的な統計やセオリーがまるっと当てはまる予測し易い選手だと思います。PKには不向きかもしれませんね。

そこで、ぼくが最も気になったのは、最後の画像で確認できるように、踏み込みと同時に左腕を上げたことです。これはインステップで蹴る際にバランスを取る動作です。つまり、ジェコが左に決め打ちするのは、腕が上がった時点ですでにGKからは決定的だったのではないでしょうか。
仮に助走位置やその他の挙動から左に蹴るよとミスリードさせておいて、トリッキーなアウトフロントや、インサイドキックで右を狙うのであれば、このくらいの距離からは左腕はたたまれることが多いです。

といった事柄から――
1)ジェコは最初からGKお構いなしで左に蹴るつもりだった。
2)速いボールでシビアなコース(赤マスの真ん中辺り)を突くつもりが黄マスに飛ばしてしまった。

という推論が立ちます。
ですので、今後ジェコ先輩は『ローマ在籍の間はPK禁止』で!

しかし、そんなことよりも、
3)ミリンコヴィッチ-サヴィッチが第二GKとは思えないほどの最高のプレーをした。
これを忘れちゃいけませんよね。

余談。
左腕を上げると言えば、ロマニスタはトッティの美しいキックを思い浮かべることができる。
GettyImages-602414346

この画像のリゴーレは、昨シーズンのサンプドリア戦です。このときもキーパーは立ち足や腕の振りを見て(トッティから見て)セオリー通り左に飛びました。
ただカピターノの凄いのは、助走を殺さずになおかつ同じキックモーションで右に蹴ったんです。当時は「決まった!」以外なんとも思わなったけど、今となってはとてつもない度胸と技術を感じます。これは自分のフォームを知り尽くした上で蹴り分ける練習をしなければできないことです。成熟したワインの様に、その努力と才能の軌跡をぼくは楽しむ事ができる。引退したのに、まだまだぼくにとっては未知の領域の多い選手ですね。

てなことをバーッと書き殴りましたけど、改めて申し上げておくと、これは自分が調べた事を記録しているだけで、ここに書かれている諸々が絶対正解なわけではなく(間違いないと思ってはいますが)くれぐれも誤解なきように。

せっかくだから最後に豆情報書いておきますね。
前述のカリアリ戦で着用した胸ロゴ入りオーセンティックユニフォームのチャリティー落札額は日本円にしてだいたい7万円くらいだそうです。ではまた!


ジェコはローマで5回もPK外してます。キッカーは相手GKに研究されちゃうので、回数多く蹴ると読まれやすくはなりますが、今回サンプもジェコに関しては準備していなかったはず。これで止められるというのはなかなかなものです。

Serie A Sampdoria-Roma 02/mag/2021 2:0
Coppa Italia Roma-Torino 20/dic/2017 1:2
Serie A Crotone-Roma 12/feb/2017 0:2
Serie A Udinese-Roma 15/gen/2017 0:1
Champions League Barcellona-Roma 24/nov/2015 6:0

コメント

  1. 周死氏 より:

    ちなみにGKアウデーロは今年ついに初めてPKストップするまで、過去2年間フルシーズン、サンプでレギュラーを戦って1本もPK止める事が出来なかったぐらいPK下手です(笑)

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