昨夏、ペトラーキSDと代理人ミノ・ライオラの協力でイタリアに到着したヘンリク・ミキタリアンは、カンピオナート27試合、9ゴール、6アシストと大活躍で、ローマのヨーロッパリーグストレートインに大きく貢献した。ハビエル・パストーレを完全にベンチに追いやり、フォンセカ監督の新しいシステムの中心となった。
大胆かつ繊細なボールタッチは、14世紀のフラスコ画の緻密な筆さばきのようであり、それはまさにローマのルネサンス(再生)を象徴しているようだ。ローマには昔から自然現象のようなストライカーが欠けていたが、そういったフェノーメノだけでなく、トッティやエルシャーラウィのようなローマらしいテクニカルな選手も少なくなっていた。ミキは、そのどちらも持ち合わせた現代型のインテンシティを持ちつつ、実にローマ的なテクニックに溢れている。それでいながら、トップスピードの中ですべてを表現しきってしまうビルボードソングのようなポップさもある。
次のシーズンもぼくたちはミキの素晴らしいイマジネーションを楽しめるだろう。第一子がこの街で生まれ、先日はアルメニア代表の召集を辞退してトリゴリアに残ることを選択した。彼はもうすっかりローマ人のようだ。
*日本ではMkhitaryanをムヒタリアンと表記するのが一般的ですが、ローマ速報ではイタリア語、英語の現地の実況、インタビュー、ニックネームに合わせて、ミキタリアン、またはミキと表記しています。
昨シーズンはレンタルでプレーをしていましたが、これからは晴れて正式なメンバーとしてローマでプレーすることになります。これでよりサッカーに集中できるようになったのではないでしょうか?
ミキ「いいや、移籍についてそれほど気にはしてなかったよ。それよりも良いプレーでチームを助けることだけを心掛けていた。そのうえで、シーズン終了後にアーセナルとローマが合意できるかどうかを考えていたね」
そしてあなたは正式にローマの一員となりました。そのことによって気持ちの上で変化はありましたか?ロッカールームの立ち振る舞いの変化は?
ミキ「何も変わらないよ。レンタルだろうが完全移籍だろうが、自分は同じ人間で、同じサッカー選手で、同じ野心を持っている。だから変わらないんだ。レンタルでも完全移籍であっても、毎日真剣に仕事に取組み、トレーニングと試合でベストを尽くせるように努力を続けるだけ。クラブに持てるすべてを与えられるようにね」
今年のプレシーズンはこれまでとは異なります。短い休みでどのようにリフレッシュしましたか?またフォームを維持するためにどのようなことをしましたか?
ミキ「 確かに、これまで夏休みは5月か6月から始まっていたけど、その点ではこれまでとは違うよな。でも、少しでも休んでから新シーズンを迎えるのは、コンディションを整えるためにメンタルにもフィジカルにも良いと思う。トリゴリアに帰ってもっと良いトレーニングができると思うよ」
プレイヤーとしての安定性についてお伺いします。昨シーズンはセリエAが始まってからの加入となりましたが、今季はプレーシーズンの準備期間からチームに加わっています。それは選手としてどのようにプラスに作用するのでしょうか?
ミキ「確か開幕のジェノアと次のラツィオに間に合わなあったと思う。もちろん新シーズンは開幕節からプレーしたいと思っているよ。しかしどの試合に出るというよりも、常にコンディションを維持して、どんな試合でもゴールやアシストを決めることが大事だと思うんだ。やっぱりチームが勝利した時に、その勝利に結果で貢献できたら嬉しいからね」
あなたは昨シーズン、定期的に試合に出場し続けて、ゴールも量産しました。今季もそれを続けることは可能でしょうか?
ミキ「そうなることを願うね!状況は常に変化するからどうとも言えないけど、その中でぼくたち選手に言えるのは、一生懸命仕事に取組み、その結果何かを得ることができるかどうかなんだ。ぼくはゴールやアシストの為にプレーしている。もちろんそれが最も重要ではないのも理解しているさ。別に得点やアシストをマークしなくても、素晴らしいパフォーマンスでチームの勝利に大きく貢献することだってできる。より重要なのは、ピッチですべてを出し切って、チームとして勝利するということ。そのうえでぼくは昨シーズン以上のデータを上回る結果を出してやろうって思ってるんだ」
今のチームにおける選手の姿勢はどのようなものでしょうか?再開後のカンピオナートでローマは間違いなく強いチームでしたが、最終節ではそのメンタリティを忘れている選手がいたと思います。
ミキ「まあ・・・そうだな。でも、 今はもう新しいシーズンで、その始まりではポジティヴに考えていた方がいい。今季は何かを達成できるか見ていきたいんだ。すべてのチームが同じことを考えているから簡単ではないけど、今のローマならば昨シーズン以上にその力があると思っているんだ」
イタリアのサッカーの印象は?
ミキ「完全に過小評価されていると思う。ローマに来る前、多くの人がセリエAはイマイチ、選手もイマイチだって話すのを聞いた。だけど、彼らは完全に間違っているよ。初めてプレーしたサッスオーロ戦で、この国のサッカーはみんなが話しているようなものとは違うぞって気が付いたからね。なによりも選手の質の高さだよ。本当に衝撃を受けたんだ。どのチームも引いてカウンターではなく、ポゼッションを高めてアタックしようとしていた。受け身でいることよりも、サッカーを楽しみ、ポイントを手に入れようとしていたと感じたね。少なくともぼくは、全てのチームがこれほどまでに優れているとは想像もしなかったから、そこは印象に残っている。ぼくはイタリアでプレーするのが無茶苦茶楽しいし、いろんなチームとマッチアップするのもワクワクしてるんだよ!」
そしてあなたに次いでプレミアからチェルシーを退団したペドロが加入しました。彼の能力はローマになにをもたらすと思いますか?
ミキ「偉大な選手で素晴らしい人だよね。まだそれほど会話したことはないけど、これからたくさんコミュニケーションが取れると思ってる。それに、ぼくが言わなくても、ペドロが最高の選手だって誰もが知っているよ。バルサ、チェルシー、そしてこれからはローマで、ぼくたちの目標のために大きな貢献をしてくれるはずだ。その為にはやく彼自身落ち着いてローマで生活する必要があるけど、ペドロのような選手が一緒なら、良いシーズンを過ごせるって確信しているんだ。それにロマニスタのサポートもある。ここにきた初日から、ぼくはティフォージの愛情を感じることができた。スタジアムや街や、レストラン、SNSで彼らは常にクラブに対して情熱的だった。そういったファンがローマに大勢いる事を嬉しく思っているんだ。彼らのおかげでぼくたちは気持ちよくプレーできているのだからね」
ミキの完全移籍については、これまでロマ速で何度か触れてきましたが、これがアーセナルのファンからはどう捉えれているのだろうという関心を持っていたところ、ミキの移籍について書かれたフェアで愛のあるArsenal FunFun!というアーセナルのファンブログを見つけたので、ここに紹介してみなさんと共有したいと思います。
【ローマ手強し】ミキタリアンを売却したいアーセナル
【契約解除の衝撃】ヘンリク・ミキタリアン、アーセナル退団
アーセナルがなぜミキとの解約解除を選択したのか、また彼の市場価格の変動など、データやコメントを交えて、とても読みやすくまとめてあります。何よりも選手の貢献に対する感謝、愛情が文章ににじみ出ていてとても感銘を受けました。この記事を執筆されている湯煎とるこさんはツイッターもやっておられるので、アーセナル情報を仕入れる際はぜひ積極的にご活用下さい。
以下はnote版ローマ速報に投稿した有料記事です。プロ選手だった父との別れ、そしてその父から受け継いだサッカーセンスなどを知ることができます。こういうバックグラウンドを知ると、より愛着を持って応援できるのは間違いないので、未読の方にはおススメです。以前購入されたからも改めて読み直して新シーズンの準備としてください。
note版ロマ速。プロ選手だった父との死別、その父から受け継いだプレーなど、ミキについて多くの事を知ることができます。以前購入した方もそうでない人もぜひ読んでみてください。
大人のローマ速報 ミキタリアン「ローマでずっとプレーしていたい」 @roma_sokuhou #note https://t.co/6CRdXV538t
— ASローマ速報⚡ ROMANISMO official (@roma_sokuhou) September 5, 2020
コメント
向こうではミッキーと書かれてましたね。
いまやムヒタリアンの方が違和感です。
うてませんさん
英国ではメディアもmicki、イタリアはmikiとも書きます。日本はムヒでしょうかね。
向こうにドヤ語弊がありましたすみません。
貼っていただいてたガナーズのを向こうと表現しちまったでござる💦