2019年夏の就任以来、フォンセカ監督のローマはユヴェントス、インテル、ミラン、ラツィオ、アタランタ、ナポリの主要6クラブに対して3勝、7分け、12敗と満足な結果を残していない。今シーズンはユヴェントスをはじめとした強豪の取りこぼしに助けられて、チャンピオンズリーグ出場圏内に留まる奇跡を見せていたが、その間にポイントを積むことのできなかったツケを支払う時がきた。
ローマは不思議なチームで、このように上位には勝てないのに、何故かそれ以外のチームからポイントを荒稼ぎしていた。スタッツという論拠に足る数字の上でローマは全く取りこぼしをしなかったのである。しかし、それも0-2で負けたパルマ戦までの話。ここで初めての取りこぼしがあり、今節のナポリでは統計通りに負けた。つまり、これはただの連敗ではなく、異なる質のもの、坂口安吾風ならば『不連続連敗事件』だ。
ローマ速報はフォンセカ監督と同じデータサイトを見ているぽいので、この負けの質の違いなど彼らはとっくに理解している。フォンセカ監督は、パルマ戦の取りこぼしから発奮したチームがナポリ相手に良い戦いをすると期待していた。しかし、実際には為す術なく負けた。試合後に監督が口にした「選手のモチベーションを上げることができなかった」という発言は、自責の念であり、同時に「お前らの自発的なやる気に期待した俺がバカだった」とも聞こえる。さらにフォンセカ監督は敗戦を振り返り、戦術ではなく選手のアティチュード(姿勢)の問題と発言。これに対して、カピターノであるロレンツォ・ペッレグニーニは「アティチュードには問題はない」とコメントをして、この内紛めいたやり取りにローマ系メディアは飛びついた。
フジテレビnextで観戦された方ならば、風間解説員がジェコをはじめとした前線がプレッシングしないことでラインが下がっていると指摘したのを覚えているだろう。この観点は正しく、多くの有識者が問題点として挙げていた。ペッレグリーニはこれについて「ハイプレスせずに重心を下げるのはチームプランだった」と発言している。要は、言われた通りにやったのに非難なんてたまったもんじゃないというわけだ。ただ、残念ながら後半に修正が加わってチームが様変わりした事を考えれば、いまのローマには戦局を読みながらプレーできるインテリジェンスの選手など居ないのだろう。ただボールの扱いが上手いだけのジョカトーレが2ダース程度ロッカールームを占拠しているだけだ。
フォンセカ監督の代理人マルコ・アブレウは、ローマの態度に疑念を抱いている。信頼しているならなぜ契約を延長しないのか?だが、フリードキン(ナポリ戦で首を横に振る姿がカメラに抜かれた)は焦ってはいない。チアゴ・ピントGMは、アッレグリ、またはライプツィヒのナーゲルスマンにリンクを貼っている。だが、ヨーロッパリーグ出場ではアッレグリの興味を惹くのは難しい。昨日、彼は2年の充電期間を経て6月に現場復帰すると公言した。その中で、かつてレアル・マドリーは自分に声を掛けてくれたと話している。いまその話をする意味とは?
ところで、何故か元ユヴェントスのタッキナルディ(名選手でしたね)が、ローマの監督人事にコメントしている。
タッキナルディ「私はフォンセカ監督が好きだよ。批判は馬鹿げてるね。ヨーロッパリーグではチームを勝ち進めているじゃないか。彼のチームはしばしば深く守り、戦術的に苦しむが、それでも素晴らしい監督だと思うよ。ローマにアッレグリ?ローマには異なるアイデンティティがあるように思う。ナポリの方が合うんじゃないかな」
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