Atalanta | Saturday, 18. December 2021 | AS Roma |
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1:4
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goals | |
0 : 1 | Tammy Abraham 1. / right-footed shot |
0 : 2 | Nicolò Zaniolo 27. / left-footed shot (Jordan Veretout) |
1 : 2 | Bryan Cristante 45. / own goal |
1 : 3 | Chris Smalling 72. / right-footed shot (Jordan Veretout) |
1 : 4 | Tammy Abraham 82. / right-footed shot |
前任者パウロ・フォンセカ監督から現在まで、リーグの同格以上の相手に一切勝利がなかったローマ。当然メディアは、その話を繰り返し報じた。ロマニスタ以外の誰もがアタランタが勝つと思っていた。それもそのはず、今シーズン、7敗のうち5敗は敵地で喫した結果だ。誰だってなけなしのコインならアタランタに賭けるだろう。
しかし、前日会見でモウリーニョ監督はこう断言した。
ひとつだけ信じて疑わない事がある。それは明日ローマが勝利するということだ
そしてこの試合でローマは、今のメンバーでやるべきことを限りなく完璧にピッチで表現したのである。
primotempo
試合は開始1分で動いた。自陣深くからクリスタンテがダイレクトで前線にパスを供給すると、DFを背負ったザニオーロがヒールでフリックして前を向いた。そして、ワンツーで裏を抜け出したタミー・エイブラハムがドリブルでゴールに迫る。スプリントで追いついたハテブールがスライディングで進路を塞ぐも、1拍早くつま先で浮かせたボールがネットを揺らした。ザニオーロとの親密さを感じる崩しからの得点はローマに勇気を与えた。直後、アタランタも反撃を試みるが、ルイ・パトリシオが完全にゴールに閂をかけてしのぎ、前半27分には再びローマが得点した。
これも1点目と同じメソッドで、前線へのフィードをザニオーロがヒールでフリック、ヴェレトゥからの戻りを受けてゴールへ運んだ。追いついたベラト・ジムシティに手を掛けられたが、屈強なフィジカルで抑えたザニオーロがゴールニアに鋭いシュートを決めた。ぼくは前日のモウリーニョの言葉を思い出して泣いてしまった。
明日はザニオーロの日になるとは言わないし、彼が試合を決めるとも言わない。だが、ニコロは明日プレーをして、良い結果を残すと信じている
ただ前半良いプレーをしたのはザニオーロだけではない。スモーリング対サパタ、イリチッチ対イバニェスは戦術由来のマッチアップで、序盤にはミキタリアンとハデブールの意地の張り合いのようなヒリつくマッチアップもあった。特にサイドに流れるイリチッチをほぼ完ぺきに封じたイバニェスの貢献度は高かっただろう。しかし、0-2の直後にムリエルを投入すると、前半アディショナルタイムに、そのムリエルのシュートがクリスタンテのオウンゴールを誘い失点してして折り返す。
この試合の平均ポジションは図のようになっていて、やはり全体的に自陣で構えるローマに対して、ほぼミドルサードを制圧したアタランタという構図。
左サイドは、ヴィニャが第一防御線となり、それをイリチッチが抜けたときにイバニェスが止めに行くという約束事があった。イバニェスがマッチアップで負けたのは前半終了間際の1度だけで、あとは完全に抑え込みに成功。これにより、ハーフタイムでガスペリーニはイリチッチを下して、マリノフスキを投入している。
secondotempo
72分、ヴェレトゥのやや遠目からのフリーキックをスモーリングが決めて待望の追加点。その10分後にザニオーロに替わって入ったショムロドフのセンタリングをヴェレトゥがシュート。これは相手DFに防がれるが、こぼれ球をタミーが鮮やかに決めてさらに引き離した。これで事実上ゲームクローズ。その後もティフォージの声援に背中を押されたアタランタは、攻撃の手を緩めずに襲い掛かるが、ローマも追加点を許さずに追加時間3分を消化して試合終了。暫定的に5位に浮上している。
感想
この試合はなんといっても前半早々に先制したことが大きい。得点という意味でもそうだが、2度同じ崩しで追加点を得て、DFジムシティの自信を喪失させたという点でも重要だった。また、相手の戦術プランをことごとく抑えに来たモウリーニョ監督の読み勝ちも見事だった。マリノフスキの投入は、香車がだめなら桂馬でという発想だったと思うが、そこでヴィニャとイバニェスが上手く連携を取り続けたこと、チームがラインを維持し続けたことで、次にアタランタはロングボールで最終ラインを動かそうとするのだけれど、ここら辺の攻防というか、足りないものを変化で補う姿は、サッカーって有機的な生き物のようだなと思った。それがスマートにできるという意味で、アタランタは勝敗に関係なく、連携の取れた熟練したチームなのだろうと感じた。個人的にもこの4年くらい彼らに持っていた苦手意識は晴れた。
モウリーニョ監督は、自分たちがアタランタのようなトップクラブにどこまで戦えるか知りたいと話したが、そこで言えば、対等に戦う事が可能だとわかったし、なによりもこの勝利でローマは一皮剥けたかもしれない。
本当に素晴らしい試合だった。あらゆる面から今シーズン最高の出来だと断言できる。ローマは必ずしもすべての試合に勝てるチームではないが、それでも誰にも未来は判らない。ちょっと前まで音楽関係の仕事してたのに、なぜか今、サッカークラブという異業種中の異業種で働いている自分が言うのだから間違いない。未来はわからないのだ。ただ共通して、未来を決めるためには希望を持ち続けることが重要。信じるというのは、年を取れば、経験を積めばそれだけ難しい。失敗体験をすればするほどなおさらな話で、その状況で自分に賭けることはリスキーだと感じることもある。それでも自分のプロジェクトを信じるということが、すなわちモウリーニョ監督の説明したエンパシーなのだろう。
本当に美しい試合だった。とにかく今夜はチームを信じ続けたぼくたちの勝利だ。
おまけ。サレルニターナ戦の翌日、鬼でおなじみエディン・ジェコがこの試合を観戦していました。
ちなみにこの試合、エディン・ジェコがスタンド観戦していました。理由はかつてのチームメイトのプレーを観たかったからだそうです。 pic.twitter.com/WI4JycqP82
— ASローマ速報⚡ROMANISMO official (@roma_sokuhou) December 18, 2021
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