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【ローマのカピターノ】エディン・ジェコ、残留へ

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この1週間、ジェコがまだ在籍しているにも関わらず、すでに去ったかのような論調で白旗を上げるロマニスタの発言を散見して、ぼくはずっとフラストレーションを抱えていた。ジェコが選手として重要だからではない。それはまた別の話、サッカーの話であって、確かに出ていくかもしれないが、それでも、まだいるという事実を無視して、出ていった前提で話し始めた人たちに対してひどくシュッとしない気持ちだったのである。ぼくは以前から言ってきたはずだ。そんな奴らの仲間には死んでもならないと。​どんな応援のスタンスがあってもいい。でも応援しないという逆説的な応援の仕方は受け入れられない。そう考えながら吉報を待つ1週間は長かった。

ローマにとって、ロマニスタにとって、ジェコの放出はある種の負けではあるが、本当に負けていない以上まだ負けちゃいない。今認めるのは、試合が終わっていないのに敗戦を見たくなくてスタジアムを後にするような行為だと感じていた。周囲にはまだ応援している人がたくさんいるはず。なぜ彼らと、いやローマ速報と肩を組んでくれないのか?負けるなら一緒に負けたらいいじゃないか。

開幕のヴェローナ戦にフォンセカ監督はジェコを招集した。ほぼ8割方ユヴェントス移籍が決まっているにも関わらず、その進捗次第で出場させることが出来たからである。フォンセカもジェコに期待していたのだ。しかし、その間も交渉はトリノ方向に進展して、試合の前日にジェコは自身を温存するように頼み、チームミーティングも欠席した。自分の健康に1500万ユーロ(先日ユヴェントスによって1800万ユーロに引き上げられた)という値札がつき、それが自分だけの力ではないと知っているならばプロとして当然だ。5年前にローマに来るときも、ジェコは夏のインターナショナル・チャンピオンズ・カップ出場を断っている。

ユヴェントスのピルロ監督はジェコの獲得を切望していた。ロナウド、ジェコ、ディバラ、ピッチで誰かが寝ていても点を獲るトリデンテだろう。そして、ローマはジェコの高額年俸や世代交代を考える時期に来ていて、その点ではロマニスタの気持ちはさておき、両クラブの狙いは合致していた。

ローマがナポリのミリクをリンクしたのは8月20日頃。それから水面下で交渉を続け、9月17日13時30分、ナポリのカステル・ヴォルトゥルノで代理人を介してクラブ間合意に達した。その日の夜にミリクはナポリの選手たちとお別れの食事会を開いて、翌朝9時30分にローマが用意したプラベート機でチャンピーノ空港からスイスに向かった。サン・モリッツにGeorg Ahlbäumer医師の勤める最先端医療施設があり、そこでローマのチームドクターと一緒に過去2年で故障した両方の前十字靭帯のチェックを行うためである。余談だが、このスイスの病院は、フリードキンが紹介したもので、本当はザニオーロの左前十字靭帯再建術もこの病院で行う予定だった。

ローマとしては、この両膝の状態が大きな懸念であり、またもうひとつミリクの肖像権という問題にも直面していた。これは、ナポリとミリクの間の問題で、ミリクは自身の経営する飲食店に、自分の写真を商用利用したとして、クラブから罰金を払うように言われていたのである。この罰金を未払いのまま移籍させるのはチームの規律に関わるとクラブは考えていた。そもそもこの罰金がミリクの契約延長を妨げたのだという。一方ローマサイドも、スイスで実施した検査結果に不安を感じていた。

*これがミリクのレストラン

当初買い取り義務と言われていたウンデルのレスター行きが単なるオプションになったこともあり、ローマはキャピタルゲインの関係から、ナポリにディスカウントもしくは、1年のレンタルを申し入れた。昨年夏にマノラスのディスカウントを拒否されたナポリがこれを呑むとは思えない。また、映画人でもあるデラウレンティス会長は肖像権にとても厳しい。ナポリのメルカートで肖像権が問題になったのはこれだけではない。こうしてクラブ間の交渉は一旦ブロックされた。

そして、ローマは異例の公式声明を発表する。ざっくり書くと、ミリクはナポリの選手であり、他のクラブの選手のコンディションについて、ローマが口を出したり関与はしていませんよという内容。加熱する報道を抑止するためのものである。これを受けて、ユヴェントスはパラティチSDが「ジェコだけが選択肢ではない」と、事実上プランBへ移行する獲得断念のコメントを発表。これにより、ジェコのローマ残留は決まった。

ぼくがここで言いたいのはひとつだけ。まだ負けていないのに、勝手にタオルをリングに投げ入れるなということ。今のチームは確かにワールドクラスやアイコンとなり得る選手がいなくて、トッティ、バティ、デ・ロッシ、モンテッラを懐かしむ層にとっては閉塞感のあるチーム。でもぼくは一番新しいチームが毎年一番好きだ。なぜならば、未来への可能性を持つのが唯一今のローマだから。過去のローマはどれだけ懐かしんでもスクデットやチャンピオンズリーグは獲得してくれない。
ぼくは意識して、ジェコの移籍について一切書かなかった。理由はたったひとつだけ。ぼくはローマを信じることが何よりも得意だからだ。ジェコは出ていかない、そう思ったからジェコについて書く必要はないと考えた。元ローマの中田英寿は「人生で最も無駄なことは?」と訊かれてこう答えた。「起こっていないことを心配すること」だと。

ジェコの奥さんは生まれたばかりの子供と一緒に開幕戦を見て、SNSにその姿を投稿した。Daje ROMA、とローマ弁で書かれた画像は、ぼくをとても勇気付けた。

ユヴェントスにはモラタがいるが、ぼくたちにはジェコしかいない。

コメント

  1. カサビアン より:

    お久しぶりです。
    朝から最高のニュースをありがとうございます。
    前回のインテル時と違って奥様がローマに染まってきてたのもあったのでしょうか。
    ドキンちゃんの今後にも期待です。

    あと遅くなりましたが17年目突入おめでとうございます!

    • 如月(ローマ速報) より:

      カサビアンさん
      こちらこそいつもありがとうございます!

      ジェコってインテル移籍もそうだし、その前はチェルシーとの交渉もあったし、なにより本人が移籍しそうな傭兵顔しているし、なにかと摩擦のありそうなヤツなんですよ。でも、それだけ真価を認められている選手でもあり、ローマはこれだけ評価の定まっている選手をフロレンツィに次いで放出してはいけませんね。

  2. TWR より:

    1番新しいチームが毎年1番好き、ほんとに新加入の選手に期待したり、ワクワクするって意味では自分もほんとにそう思います。バルサから来たジュリ、オランダ代表GKスケテレンブルク、イングランド不動のSBコール、そして皇帝アドリアーノ…
    悲しいこともあったけれどジェコのこのニュースは嬉しいです!今年もローマを盛り上げて行きましょう\(^o^)/

    • 如月(ローマ速報) より:

      TWRさん
      その輪にマイコンとケイタも入れて欲しいです笑
      今季はペドロだし、真価を発揮し始めているミキもそうですね。ジェコのメンタルはどうなのかわかりませんが開幕のユヴェントス戦楽しみです。

  3. 通りすがりのロマニスタ より:

    ジェコの奥さんって素敵ですよね!笑
    ジェコは、今年もローマで育児もカルチョも頑張れー

    • 如月(ローマ速報) より:

      通りすがりのロマニスタさん
      イタリアのローマ系サイトではジェコの奥さんはローマ人みたいな書き方ですね。
      ローマのファーストレディとしてこれからもチームをバックアップして欲しいです。

  4. うてません より:

    大人の事情や幽閉って文言を前段に使ってあっての今回の書きっぷりはやだなぁ

    残ってもらえるのは嬉しいけども

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