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旧ロマ速サルベージ企画:ニコロ・ザニオーロ「トッティと同じ道を歩みたい」(2019年インタビュー)

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プレシーズン旧ロマ速サルベージ企画。2019年2月にご紹介したニコロ・ザニオーロのインタビューを再編集して掲載します。この1年間でザニオーロについて興味を持ったサッカーファンは多い。しかし、彼について書かれたものは、せいぜい『未来のイタリアを背負うヤングプレイヤー』といった企画記事が関の山で、彼個人について知る機会はそれ程ない。このインタビューで、少しでもザニオーロという人間を知って頂けたら嬉しい。それではどうぞ。


今回のロングインタビューシリーズ「私の履歴書」は現在ブレイク中のニコロ・ザニオーロです。

数年後に振り返って「そういやザニオーロって今どこにいるんだっけ?」とかならないようにローマの主軸になるべく頑張って欲しい!

――さあ全ての始まりを伺いましょうか。サッカーとの出会いは?

ザニオーロ「まだサッカースクールにすら通ってない3、4歳の頃には既にストリートで何かしらを蹴ってたらしいよ。その後、プロ選手だったお父さんのプレーをスタジアムで観てハッキリと情熱を実感した。日曜日にみんなでスタジアムに集まりゴールを祝う、その雰囲気が好きだったんだ」

――子供の頃父イゴールのプレーはどこで観たのでしょうか?

ザニオーロ「父さんは幾つものクラブを渡り歩いた。一番覚えてるのはカッラレーゼ時代。なぜって家の近くだったからね。あとはチスコ・ローマ(現アトレティコローマ)も覚えてる。ローマまで観戦に行ってたからね。お父さんがゴール決めてむちゃくちゃ興奮したの覚えてるんだ」

――子供の頃のアイドルは?

ザニオーロ「カカ。情熱的なプレースタイルで彼がボールを持つ度にワクワクしたものさ」

――いつ自分がプロになれると感じましたか?

ザニオーロ「わからない。ぼくはずっと楽しみながらボールを蹴っていただけ。ユースチーム時代も確信めいたものはまるでなくて、どちらかと言うと失望ばかりしていた。手応えなんて感じた事すらない。これは本当に正直にあなたに話してるんだけど、今でもそう感じてるんだ。ぼくただトレーニングをして、ただプレーしたいだけだ」

――キャリアのスタートを教えて下さい。

ザニオーロ「最初はジェノア、次にフィオレンティーナのユースに入った。U-13でスタートして、U-15の夏にはプリマのトレーニングにも呼んでもらえるようになった。でもプリマに上がる前に、ここにぼくの居場所はないと告げられた」

*2014年ジョヴァニッシミのザニオーロ。ボールが大きく見える。

――正直傷ついた?

ザニオーロ「・・・うん、かなりね。フィオレンティーナには7年いて友達もたくさんいたし、家族のように感じていたから・・・。あのときのぼくは1週間冷たいシャワーを浴びながらずっと泣いてた。だからエンテッラに移籍したんだ。家から近いし、家族も側にいてくれたからね。そこから全ては始まった」

――もうプロのサッカー選手にはなれないと感じた事はありますか?

ザニオーロ「まさにエンテッラに入って1ヶ月はそんな気持ちだった。試合に出せてもらえなかった。加入したタイミングで既にプレシーズンが終わっていて、ぼくはチームに馴染む必要があったのだろうけど・・・。その頃、お父さんは引退してラ・スペツィアでバール(*Bar=カフェ)を経営していた。ぼくは気がつけばその店で泣いていたように思う。ある時ぼくは泣きながらこう言った。「父さんどうしよう、エンテッラでプレーできなきゃ、自分の人生で何か他のことを見つけなきゃいけない」って。父はこう返した。「ニコロ、先週学んだ事をもう一度やりなさい、なにも考えずに全力で。絶対に上手く行くから」ぼくはお父さんに言われた通り諦めずにそれを続けた」

――あなたは2017年、そのエンテッラでセリエBデビューを果たします。しかもまだ17歳でした。その瞬間を覚えていますか?

ザニオーロ「今でもつい最近の事のように思い出せるよ。あれは時が満ちている感覚だった。チームはヴィチェンツァに遠征して、その試合を0-1で先行していた。監督はぼくにこう言った。「ウォームアップを始めろ、出番があるぞ」残念ながらその試合はディフェンスを入れて守りを固めたので持ち越しとなった。その後、父の誕生日の前日におこなわれたベネヴェント戦でデビューした。本当に信じられない気持ちでいっぱいだった。フィオレンティーナをクビになってまだ1年経ってなかったのにプロになれたなんてね」

*2017年。明らかに規格外の恵まれたフィジカルに成長したことがわかる。

――それから18ヵ月後、インテルを経てローマに入り、レアルマドリーとのチャンピオンズリーグでトップデビューを果します。その時のお気持ちは?

ザニオーロ「試合当日の午前11時からテクニカルミーティングがあった。そこでのスタメン発表はなかったけど、話があるとミステルに呼び止められた。ディフランチェスコ監督は「今夜は出番がある。準備は出来ているのか?」そう言った。その後、夕方までずっと眠らずに、自分の部屋の天井を眺めて過ごした。スタジアムについた時には、とにかく自分にやれることをやろうって気持ちになっていた。それが今自分が唯一考えるべきことだろうって」

――チームメイトの助けはありましたか?

ザニオーロ「デ・ロッシ主将がきて、リラックスして自分にできるプレーをツータッチ以内でやりなさいと助言してくれた。その後トッティさんまで来てくれて同じ話をしてくれた」

――その後どう変わりましたか?

ザニオーロ「周囲から注目されるようになったけど・・・でもその話はいいや。ぼくはサッカーについて語るのが好きだからもっとたくさんサッカーについて話したい。今シーズンは超嬉しいし、これをまだまだ続けたいんだからね」

――それが2018年9月の話です。それから5ヶ月であなたはチャンピオンズリーグ決勝トーナメント初戦でポルト相手にドッピエッタを決めています。

ザニオーロ「なにがあったのかなんて説明できない。まだ落ちついて心の整理もできていないし・・・。ぼくがやるべきはとにかくトレーニングだけ。再びあの夜の感動を体験する為には、今すべきはひたすらトレーニングに集中するしかないよ」

――あなたは新しいトッティ、またはイタリア代表の希望の星と呼ばれています。そう言われる気持ちは?

ザニオーロ「トッティさんにはまだぼくは遠く及ばない。同じ文脈で語られるのは光栄だけど、ぼくはまだ何も達成していない」

――あなたは先日テレビカメラに向かって「キャリアの最後までローマに残りたい」と言いましたよね。ツイッターなどでロマニスタたちは歓喜しています。あれはどういう意味なのでしょうか?カメラの前のリップサーヴィス?

ザニオーロ「デ・ロッシ主将やフロレンツィとプレーしたり、トッティさんの偉業を見ていれば、彼らと同じ道を歩みたいと夢見てしまうよ。だけど、今はトレーニングと試合にだけ集中したいかな」

――トッティとのエピソードはありますか?

ザニオーロ「ぼくはシャイな性格だから自分から話しかけるなんて一度もないけど、トッティさんからは最近よくぼくにアドヴァイスをしてくれるよ」

――コラロフはあなたのサッカーに取り組む姿勢が好きだと言いました。またそれが変わった時は最初に注意しにいくのは自分だとも。

ザニオーロ「アレクスは本物のプロ。経験豊富な凄い選手で、彼は浮足立った若いサッカー選手にどんな事が起こり得るか知ってる。もしぼくがそうなったら、アレクスがぼくの目を覚まさせるのは当然だと思う。彼はピッチの内外で模範になる人物。正しい言葉だよ」

――毎日のトレーニングで誰からどのようなことを学ぼうとしていますか?

ザニオーロ「ローマには素晴らしい選手が大勢いる。その中でもデ・ロッシ主将、ジェコ、コラロフ、マノラスといった最も経験豊富なベテランを見てる。将来的にああいう風になりたいと思うからね」

――あなたがこれまで受けた助言でもっとも大切なものは?

ザニオーロ「お父さんの言葉かな。「すぐに頂上に行く事もできるが、それよりもっと早く落ちる事も出来る」最近は思い上がるなとも言われてる。あとはフィオレンティーナを去った時の気持ちを忘れるなとも」

――ローマはあなたに絶大な信頼を置いていますね。

ザニオーロ「夏はイタリア代表としてU-19でユーロに出ていたから、キャンプもUSツアーも参加しなかった。合流したときは9番手のミッドフィルダーだった。その状況でレンタル移籍というアイデアは確かにあったと思う。でもミステルとクラブはぼくに賭けてくれた。その信頼に感謝して、期待に応えたいと思って頑張ってる。ミステルはピッチの内外に問わず、毎日ぼくに多くのアドヴァイスをしてくれる。彼が与えてくれた多くの機会には本当に感謝しかないんだよ」

――ロッカールームにはデ・ロッシやエンゾンジといったワールドカップ王者がいます。そういったワールドクラスのスターを見て自分もそうなりたいと感じますか?

ザニオーロ「丁度昨日デ・ロッシ主将からワールドカップの優勝の話を聞いて鳥肌が立ったんだ。彼らはぼくが刺激とインスピレーションを受けるべき選手。いつか自分でもその気持ちを体験できるようになりたいよ。ただ、今はまだそこまで何も考えてないけど」

――元選手の中には、若い選手たちがなんでもかんでもソーシャルメディアを使うことに批判的な人もいます。

ザニオーロ「ぼくはSNS世代だから使わないのは難しいね。とても楽しいけど、確かに注意が必要だよ。5年前の発言まで掘り起こされちゃうわけだからさ」

――ニコロ・ザニオーロの典型的な一日とは?

ザニオーロ「朝起きてママと朝食を摂り、ママの車でトリゴリアに行き、練習が終わったら迎えに来てもらう。たまにローマに来てから付き合い始めたガールフレンドと会ったりもするよ」

――テレビゲームは?

ザニオーロ「しないね」

――サッカー以外の趣味はありますか?

ザニオーロ「友達と出かけて冗談言い合ったり、お喋りしたりとか」

――自分が有名人だと自覚していますか?

ザニオーロ「有名じゃない。注目を浴びているだけ。自分がまだ若いと知ってるし、ビッグクラブで上手くやれているから、今後もそれを上手く続けて行きたい」

――友達付き合いはどうですか?昔と変わらず?

ザニオーロ「同じ仲間とつるんでる。年末年始は旅行には行かずにラ・スペツィアに帰って友達たちとご飯を食べて楽しく過ごしたよ」

――サッカー界の親友は?

ザニオーロ「クーネオでプレーしてるジュゼッペ・カソ(*フィオレンティーナのプリマ出身で今シーズンからレンタルでクーネオにいる)だよ。ものすごく小さい頃、カナレットで一緒にプレーしていたんだ。その後フィオレンティーナで再会したんだよ」

――あなたを支持するロマニスティに一言。

ザニオーロ「日々のサポートに感謝しています。これからも今まで同様に努力し続け目標を達成できるように頑張ります!チャオ!」

<了>

ほらでもガールフレンドって女の友達って意味だから・・・

補足しておくと、どこのクラブのユースコーチも当時を振り返ってザニオーロの能力は認めています。同時に誰もが性格を問題視していた節はある。あれだけのスキルのある選手でありながら、ヴィオラのプリマに上がれなかったというのは、つまりは『手に負えない』もしくはリスクと感じたのでしょう。
それがターニングポイントとなり、エンテッラで異例の17歳トップデビューをするのだから、正しい素行を続ければちゃんと資質は表現できるわけです。なのでヴィオラやインテルに見る目が無いわけではなく、その別れを経て適切なタイミングでローマと出会ったのかなとぼくは思いますね。

それよりも、ほんの数ヶ月でザニオーロのスケール感を見抜き、チャンピオンズリーグに大抜擢したディフランチェスコ監督のセンスは凄いです。並みの監督ならチョリッチという選択肢だったと思います。というかチョリッチもっとプレーさせてくれ!

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