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世界中のロマニスタたちへ:ジェームス・パロッタ会長

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デ・ロッシの退団が決まり、ローマは混沌の渦の中に放り出された。多くの人たちが怒りと悲しみを感じた。もちろん我々日本のロマニスタもそのうちの一人だ。その小さな怒りの粒が、ほんの数週間で世界に広がり、それは歪な形でローマを叩き始めた。

それがどういったものなのか、気になる方も多いだろうが、これまで如月が書いてきたように、ローマ速報は、ローマについて愛のない記事やゴシップを一切認めてはいないし、そのようなものを取り上げることを、自分の僅かばかりあるジャーナリズムの大きな敗北と考えている。なので、非常に悩んだが、唯一ロマニスタが知っておくべきものとして、先日ジム・パロッタ会長が公式サイトに発表した声明文をここに簡単にではあるが掲載しようと思う。そして、今後はもうローマ速報ではこの件について論じない。

原文はこれよりも長いのだけれども、そこは作業的理由から適度に間引いた。これまでローマ速報では、ジム・パロッタの言葉に独自のキャラクターを持たせていたが、そういった色づけは一切止めた。やや保身や責任の押し付けに感じるセンテンスもあるけれども、それをアメリカ人特有のニュアンスと感じるか、日本人的な謝罪文化の視点で受け取るかは読んだ人たちの判断に委ねる。

改めて書いておくが、このローマとローマを愛するものたちの団結を歪めるゴシップについての言及はもう終わりにしたい。この騒動は世界中のファン一人一人のローマ運営に対する不満が巨大化した事件だ。つまり、ぼくとあなたにも責任がある。逆を言えば、ぼくたち世界のロマニスタがローマの正しい未来を願うならば、きっとそれはいつかひとつの実像となるだろう。


世界中のロマニスタたちへ

この数週間、私は沈黙を守ってきた。
しかし、現在は幾つかの問題に対処する必要を感じている。まずは私たちの大きな過ちについて謝罪したい。それはサッカーとしての大きな過ちだった。私のキャリアで最も大きな過ちだったとも思っている。その責任は最後には私が負わねばならないものだ。

今、ローマが直面している問題にはもう少し時間が必要だろう。そう聞くと「何度同じ話してるんだ」と思うかもしれないが、私たちは、おそらくはもっと早くに解決すべきだった問題の為に働いている。私たちはローマが本来の場所に戻るために、私たちに手を貸してくれる才能豊かな人材を惹きつけるクラブ作りに取り組んでいる。大きなステージで、タイトルを争い、ファンが誇りに思えるようなクラブに。

ばかばかしいとお考えの方々には思い出してもらいたい。今シーズン以前、少なくとも、過去5シーズン、我々は常に勝利を目指す競争力のあるチームだったということを。

私たちはコンスタントにチャンピオンズリーグでプレーした。時に幾つかのクラブの新記録を更新したが、それだけではトロフィーをもたらすことはできなかった。それが私の最も大きな後悔であり、将来トロフィーを獲得して、ファンの誰もが誇りに思えるクラブを作る、それがここに私が残る意味だ。

私たちが、自分たちの力で階級上の相手に勝つ努力をしていないという意見を私は受け入れられない。私たちは投資家と共にこれまで何億ユーロもの投資をしてきた。すでに数年前に承認されるはずだったスタジアムにもすでに9000万ユーロ近くを投入している。

これまで何万回も話したが、ローマが勝つためには、ヨーロッパ最大のクラブと常に渡り合うのは自分たちのスタジアムが必要だ。イタリアサッカー界の恩恵を、この街の恩恵を、ASローマである事の恩恵に授かるスタジアムが必要だ。

ましてや、私がローマを使って金儲けを考えているという考えはさらに間違ったものだ。なぜならば、私はローマの仕事で給料を受け取ったことがないからだ。このチームから、1ペニーも貰った事はない。選手の売り買いで私が何かを得ることもなければ、ユニフォームが売れても、私には1セントの収入もない。

そして、クラブがさらに大きくなっても、私の人生が、価値観がこれより変化すことはない。あなたが満足していないのは私も同様だ。スタジアムとインフラストラクチャーが私的資金でカバーされ続けていながら、まだスタジアムが完成していない事にも、サッカーの結果にも満足していない。

木曜日、私は朝5時に目が覚め、すぐにラ・レプッブリカの記事の一部を目にして、おもわず「でたらめだ!」と叫んだ。その後、記事を全て読んだ。幾つかは真実であり、同時に幾つかは明らかに間違っている部分があった。これは私の不徳の致すところである。

その記事には、ダニエレ・デ・ロッシのイメージを貶める悪意ある文章が綴られていた。それは18年間ローマで戦った男に対してアンフェアな内容だと感じた。私は常に彼を尊敬していて、ダニエレは尊敬に値する男だ。

彼のキャリアの終わり方について、確かに私とダニエレとの間には意見の相違があった。それがどのようなものかはここで共有するつもりはない。私たちの話だ。

彼は常にローマを考え、魂を込めてプレーした。私たちは18年間その姿を観てきたと思う。彼はローマの為にロッカールームで感情をさらけ出してきた。それができるからこそ彼は偉大なキャプテンになったのだ。そして、その言動は全てクラブを良くする為のものだ。

記事に書かれていたように、ダニエレは自分の代わりの選手を獲得したことに気分を害したのだろうか?それは事実か?イエス、その通りだ。しかし、それはモンチから、自身のポジションを確約された後に起こった出来事だからだ。しかし、その数日後、ダニエレは自身の立ち振る舞いについて謝罪をした。

また、記事のなかで、ダニエレがディフランチェスコ監督を辞めさせようと働きかけたという話も、私と彼の会話の中で100%否定する。事実はこうだ。シーズン終了まであと12試合残っているとき、私に直接電話をかけ、シーズンの終わりまでディフランチェスコの下で戦わせて欲しいと頼んで来たのは、他ならぬダニエレだっだ。
ゆえに、ダニエレがディフランチェスコを辞めさせようとしていたと誰かが言うならば、それは極めて真実からは程遠い。

しかしながら、私にミスがあるとすれば、12月にチームの刷新を決意しなかったことだろう。これまでの私は、決断すべきときは躊躇なく変更を加えていた。その優柔不断がなければ今頃チャンピオンズリーグ出場権を得ていたかもしれない。

デ・ロッシが違うならば、コーチに辞任するように言ったのは他の誰なのか?ジェコか?マノラスか?またはコラロフか?そんなミスターXはここにはいない。彼らは直接にも、間接にもそのような事は言ったりはしなかった。

この論争は外部から持ち込まれたもので、誰かがローマに火をつけたがっているのは明白だ。彼らはローマをファックアップしたいのだ。チームや真のファン についてではなく、自分たちの土俵で語るのに夢中だ。それが彼らが、ロッカールームの下世話な噂話や、誰が昇進するか辞任するかどうかなど、ネガティヴな話題をスキャンダラスに語る理由なのだろうと思っている。

私は長らくスポーツビジネスに関わってきたが、この程度の事は、どんなロッカールームでも起こり得る。間違いなくアメリカのあらゆるスポーツで起こる事だ。私は世界中に多くのアスリートとオーナーを知っている。25人しか登録できないアスリートグループで、そういった議論、口論は日常的な話だ。そしてそれは、彼らがチームを良くしたいと考えているからに他ならない。

だが、紙面によると、何人かの選手が監督やトッティを辞めさせたかったらしい。ダニエレはチームに対して、必要とあらば常に言葉にしてきた。それはフランチェスコ・トッティも同じだ。20年間特別な関係を築いてきた彼らが、意見の相違はあったとしても、争っているなどナンセンスだ。

私は木曜日にフランチェスコがディレクターとして成熟する姿を見た。彼の専門知識と洞察は、他の誰の言葉よりも私とグイド(フィエンガ社長)にとって参考になったよ。

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私は毎日、自分に関する否定的な記事を目にするが、多くのファンが私がこのクラブに入れ込んで、情熱を持っているとは思っていないことにがっかりしている。


前にも言ったが、私たちが持っているものを考えれば、私たちは過去5年良い仕事をした自負がある。フィナンシャルフェアプレーは私たちにとって現実だ。皆はあまり耳を傾けないが、ローマにはこれまで精算すべきものがあった。

私個人の見解だが、幾つかのクラブはこのFFPを真剣に考えてはいないだろう。数年前、ACミランがやっていたことを見て、私は彼らになぜそのようなお金の使い方ができるのか尋ねたが、結局彼らがどうしたのか、私には理解できなかった。

あの時、間違っているのは私の方だと多くの人たちがそう言った。だが、現在、彼らに対しては調査が入り、おそらく何かしらのペナルティが課されるであろう。しかし、そのようなクラブはヨーロッパには他に幾らでもある。では、ローマも同じ事をすればよかったのか?

いいや、そのようなリスクを冒すわけにはいかない。

私はサラーを売りたかったのか?ノー。彼はプレミア挑戦の夢を持っていて、契約の終了を願い出た。

私はアリソンを売りたかったのか?それも違う。しかし私たちはFFPに対処する必要があった。

私たちはFFPに対処していくクラブだが、それ以外はチームの為の売却だ。直ぐに違いを感じることは難しいだろうが、将来に繋がる売却だと考えている。

それを私たちは時々見誤るか?イエス、しかしどのクラブも間違うときはある。

昨年の夏は多くの過ちがあったか?イエス、それも間違いはない。

昨年の問題は売却ではなくて購入だった。ただ、クオリティの高い選手を連れて来たのは間違いない。
問題は選手自身ではなく、それをディフランチェスコの望むシステムに適合させることができなかったことだろう。

モンチは彼の権限で多くの選手を連れてきたが、チームはエウゼビオのシステムにフィットしなかった。彼は全権指揮を望み、私は彼にそれを委ねた。これも後悔のひとつだ。メルカートの終わりに、これは失敗するのではないかと思ったよ。そして、ディフランチェスコが厳しい立ち居地にあると感じた。

そしていよいよチームが立ち行かなくなったとき、エウゼビオは私たちにこう言ったんだ。「ぼくはロッカールームを失ってしまったのかもしれない」と。彼は常に超一流の監督で、本物の紳士だ。私たちが厳しい決断をしたとしても彼は文句を言う男ではないんだ。彼は私の考えを受け入れ、クラブを去った。その傷は後悔の念として私たちの中に残り続けている。

フランコ・バルディーニについても書いておきたい。
フランコは親友であり、私個人の大切なアドバイザーだ。そして、これまでクラブの不利益になるような発言をしたことはない。

仮にあなたが、フランコがクラブ運営の大部分に関与していると思うならば、それは完全に間違っている。今誰かが彼に関してトラブルを引き起こそうとしているのは明らかだ。一連の抗議運動を見ていると、彼があたかもダニエレの人事に関わったかのように思われているが、それは事実ではない。この2年間のダニエレに関する議論は、私たちローマの経営陣だけで行われ、彼は一切口を挟んだりはしなかった。

私たちは、周囲がそれを好むかどうかに関わらず、チームを良くする為に決定をしなくてはならない。一人の人間で伝統と文化を勝ち取り、偉大なクラブを作ることはできない。

ダニエレについて、私たちは今シーズンが彼のラストイヤーになると考えていた。それはとても難しい決断だった。それをこれから説明したい。

このチームにダニエレともう一人の守備的ミッドフィルダーがいるとしよう。24人で構成されたトップチームに2人の守備的ミッドフィルダーがいて、もしも開幕早々にそのうちの一人が長期離脱したらチームはどうすればいいのだろうか?

ダニエレは次のシーズン、ローマで10~15試合プレーしたいと提案してきた。しかし、シーズン中、彼がそれくらいしかプレーできなければ、先の状況に陥った場合、チームはどう戦えば良いのだろうか?次の1月までメルカートは開いておらず、17、18歳のプリマの子供をいきなりセリエAでプレーさせるのは、彼の代役として考えたら不可能だ。
私たちがチャンピオンズやヨーロッパリーグにいる場合、週3試合の過密スケジュールが待っている。これはダニエレ・デ・ロッシ本人が認めるように年間10~15試合しか出られない選手には物理的に無理だ。ダニエレをチームに入れたいが、(登録人数に上限がある限り)ポジションは二つしかない。そのうちひとつがダメになったらローマは混乱してしまうだろう。それだけのことなんだ。

ではアタッキングミッドフィルダーを守備にコンバートするか?いいや、彼らは攻撃の専門職であり、それはできない。これがダニエレと契約をしなかった私たちの論拠であり、現実的な判断だった。それは競技として、チームとしての決断だった。

ダニエレはローマに忠誠を誓い、またローマも彼に忠誠を誓う。何人たりとも私たちの忠誠に疑問を持つ事はできない。私たちはこう言った。「ダニエレ、あなたの残りの人生を私たちはローマの一員として迎えたい」とね。決して、オーケー、幸運を祈るよ、じゃあまた。元気でね!そんな雰囲気ではなかった。私たちはダニエレがこのクラブの一員であり続けて欲しいと願っている。

私は彼の退団セレモニーに出席しないという大きな決断をした。それは私がスタジアムに行くことで、彼をお祝いするための素晴らしいセレブレーションに水を差したくなかったからだ。

彼とは木曜日の朝にメールのやり取りをした。
その内容はプライヴェートなものとさせて頂きたい。私はそのメールで、彼にヴァケーションが終わったら、ぜひ私に会いに来て欲しいと、一緒にしばらく過ごさないかと誘ったよ。だから私たちが断絶している、もしくは話すつもりがないとみなさんが感じているならば、それは大きな間違いだ。フランチェスコも同様だ。私は彼に、家族と一緒にボストンに遊びにきなさいと誘った。そうなることを願っているんだ。

ご存知の通り、私は今シーズンローマに行かなかった。
私は昨年の8月以降、現場のオーガナイズに非常に動揺を覚えていたので、私が行ったところで何の助けにもならないだろうと考えてしまった。しかし、それは重要な過ちで、次のシーズンはもっとローマにいるはずだ。

私は、もっとそこにいるべきだったのだ。

私たちはここローマでもっとよりよいものを作りたいと考えている。日々ここで働く人たちも同じように考えている。ファンのみなさんも同じ気持ちだと思う。ローマにはとても一生懸命な職員が大勢いて、クラブが混乱していると聞いたら彼らはみな傷つくだろう。

ローマと私に対して、ロマニスタたちを扇動しようとする人物がこの都市にいるならば、それは恥ずべきことだ。

申し訳ないが、私はどこへも行くつもりはない。

私たちの関心は偉大なローマの成功であり、その目標を諦めさせるなんて、他の誰にもできないのだから。

Forza ROMA.

Jim


ANSAを通じて、デ・ロッシからも声明が出されています。ぼくはこの声明を、立川の昼下がりの餃子屋で読んで、不覚にも思わず泣いてしまった。前進しているつもりが、何を信じて良いのかわからなくなっていたのだと気がついた。まだぼくの中で、デ・ロッシは超絶なキャプテンシーを放ち続けていた。

デ・ロッシ「俺はこの事実を歪められた、一部完全に間違ったレポートに対して、怒りを覚え、自身の立ち居地を表明しなくてはならない。俺だけでなく、ローマに全てを捧げる有識者たちもこのレポートが非常に低俗だと言及している。俺がローマを去ったのが、クラブの再建計画だと言う意見はとても醜い。俺はCEOと共に仕事をするという非常に重要で繊細なディレクターの仕事を打診された。俺はまだプレーがしたいという、みんなの良く知る理由で辞退したが、その申し出は名誉に感じている。これらのレポートを俺に対する重度の名誉既存に相当すると感じている。付け加えるならば、誰かが俺とフランチェスコの友情を傷つけようとしたのはこれが初めてじゃない。俺はそいつらにこういうよ。だったら、まだまだ努力が足りないぜってな」

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