ローマは3月20日のデルビーに先立ってスペシャルユニフォームの販売を発表しました。上の画像がそのダービーキット。そして下が今シーズンの通常のキットです。
どこが違うか熱心なロマニスタのみなさん判りますか?
既にサイゼリアの間違い探しくらい微妙な差に、多くの方は「えーと、インテルの選手が混ざってる事かな?」と戸惑っているかと思います。確かにジェコはインテル所属であり、クリスタンテが偉そうなのも確かに間違いなのかなって感じですが、最も異なるのは胸のエンブレムのデザインなのです。ダービーキットでは2000年スクデット期のものが採用されています。しかし、これはロマニスタにとって単なるレガシーではありません。
エンブレムの遍歴についてはこれまで多くの議論がありました。それについては、以前のテキストを引用しておきます。
パロッタ期の2013年に、エンブレム下部の設立当初から採用してきたASR(Associazione Sportiva Roma)のロゴからROMA1927に変更になり、軍神マルスの子供でオオカミに育てられたロームルスとレムス兄弟の伝説を表現したエンブレム上部はインレイが簡略化されて、より商業デザイン化が進みました。さらには2016年に配色も変更になりました。ほとんどの人がエンブレムの2色を黄色と赤だと思っていますが、本来はローマ市の紋章である金色と赤が変化したものです。ですがパロッタはこの金色から転化したオレンジを、ローマのニックネームであるジャッロロッシ(黄色と赤)に寄せて完全に黄色にしてしまいました。外国人に都市のシンボルカラーに由来するエンブレムをすっかり変えられてしまったのです。
フリードキンがローマに滞在すると知ったティフォージは早速バナーを掲げて、都市の紋章を元に戻して欲しいと訴えかけました。そして、クラブはこれを聞き入れたのです。
このバナーに気が付いたフィエンガ社長(当時)は、インターナショナルマッチウイークに入ると、すぐに顧問弁護士とクルヴァスッドの代表者をトリゴリアに呼び話し合いを行いました。両者の落とし所として、来季のセカンドユニフォームに以前のエンブレムを採用することで話をつけたのです。
こんなことは世界中のどんなクラブでも起こったりはしません。エンブレムが変えられたことを、自分たちのアイデンティティの喪失だと多くのロマニスタが考えていたのです。これがトッティやデ・ロッシも手を焼いた厄介さであり、また同時にロマニスタの愛なのでしょうね。この帰属意識の高さこそがROMANISMOなのかもしれません。
ということで、限定商品に滅法弱い自分ですので、このダービーキットはぼくにとってもマストバイな一品となりました。これを着て日本からあんたたちとデルビーを応援したいと思っているわけですよ!(サンボマスターぽく)
ということで早速購入したいと思います。ちなみにオーセンティックは競技用にタイトに作られているので、ワンサイズ上のものを買うと良いとのことです。こういうのってエンブレム違うだけじゃん?と言えなくもないのですが、ローマとラツィオの歴史があってこそ成り立つもので、仮にこの闘争の歴史が単なる10年程度のものであれば、このユニフォームにはそこまで価値はないのです。このエンブレムが胸に縫われたそのストーリーを理解して、はじめて大きな価値を生むものだと思います。
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