セリエA中断が正式に決まりました。ですが、コロナの話ばかりしていても負けた気持ちになってしまうので、それは他に譲って、セリエA中断期間は、ヨーロッパリーグ(これはやります)や、昔のローマ速報のテキストをリミックスしてお届けしたいと思います。
そう決めたものの、何を書こうか考えあぐねいていたところ、テレビを点けたら、民放でシャペコエンセの悲劇を取り上げていました。これは2016年にブラジルのサッカークラブ、シャペコエンセの選手や首脳陣を乗せた飛行機が墜落した、一般的にはラミア航空2933便墜落事故と呼ばれている近年のサッカー界で最も大きな事故です。折しも明日で東日本大震災から9年目。どちらも風化させてはいけません。
話を戻すと、この墜落事故で選手はほぼ全員亡くなり、残った選手も現役続行できない程の後遺症を負います。そのなかでクラブは存続の道を選び、事故からおよそ8ヵ月後の2017年8月には、バルセロナと親善試合を行ったというのが、この番組のハイライトでした。メッシを筆頭とした世界的なスターと戦うシャペコエンセの選手たち。素直に頑張って欲しいと思いました。そして同時にこうも思いました。
その一ヵ月後に、ローマだって、シャペコエンセと試合やってるんですけどぉ!?
しかもこっちはチャリティマッチ。でもあまり言い過ぎると、いやらしいので別にいいですけど、ローマも試合をしたということだけは、このコロナ蔓延の暗いニュースのご時勢、一服の清涼剤的な感じでみなさんには覚えていただきたい。しかも、こっちはチャリティなんですからね!(いやらしい)
実はこの試合は、我々ロマニスタにとって、単なるチャリティマッチではなく、フロレンツィが2度目のじん帯断裂を経て、10ヶ月ぶりにピッチに立った待望のカムバック戦でもありました。
AS Roma | Friday, 1. September 2017 | Chapecoense |
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4:1
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ROMA: Lobont, Florenzi, Castan, Ciavattini, Juan Jesus, Nainggolan, Gonalons, Gerson, Perotti, Defrel, Antonucci. (Subs: Romagnoli, Greco; Ciofi, Cargnelutti; Pezzella, Valeau, Meadows; Riccardi, Keba, Corlu, Cappa, Schick). All. Di Francesco.
CHAPECOENSE: Artur Moraes, Diego R., Grolli, Fabricio B., Roberto, L. Marques, Dodô, Lucas M., Alan Ruschel, Perotti, Julio C.
GOALS:
29′ Florenzi (R), 38′ Perotti (R), 42′ + 51′ Antonucci (R), 56′ Alan Ruschel (C)
以下は、旧ローマ速報の当時の記事。
ローマはシャペコエンセ支援のチャリティーマッチを行いました。試合後のフロレンツィのインタビュー。
――ようやく帰ってきましたね!今夜はファンの大きな声援がありました。
フロレンツィ「そうだね、でも今日はシャペコエンセを支援する事が目的だった。あの悲劇に彼らは苦しんでいた。でも見事に立ち上がった。個人的にはピッチに戻れて嬉しいよ。あまりにも休みすぎたけどね(笑)」
――今夜75分プレーをしました。フィットネスコンディションはどうでしょう?
フロレンツィ「スーパーマンを気取りたいけど、まだ100%とはいえないかな。でもチームに貢献できるのは良いことだよね」
――ディフランチェスコ監督とポジションについて話し合いましたか?
フロレンツィ「ぶっちゃけ話していない。監督からのオーダーは、まずはフィジカルを考慮しながら試合に馴染むようにというものだった。ぼくが聞きたかった言葉さ。監督はぼくの適性をチェックしただろうし、ぼくは監督が使ってくれるならばどこでもやれるよ。以前ルチアーノ・スパレッティはぼくを3.5列目だと言っていた。これからのキャリアでぼくは同じ質問にそう答えていくだろう。ただし重要なのはチーム全体で同じ方向に進むこと。ぼくは自分の事を考えずにローマについてのみ考える。ぼくたち全員がそうやってローマに集中すれば、必ず他との違いを生み出せるはずだよ」
――いまやカピタン・フトゥーロ(未来のキャプテン、デ・ロッシのこと)は本物のカピタンになりました。あなたが新しいカピタン・フトゥーロなのでしょうか?
フロレンツィ「正直リハビリに集中していて、そういうことを考える余裕はあまりなかったかな。シャペコエンセ戦の前にダニエレと話をしたんだ。彼はぼくの幸運を祈ってくれた。ダニエレほど素晴らしい人物はそうはいない。じん帯をやった時、ぼくの両親に故障の事を説明したのもダニエレだった。試合が終わってから、午前4時に病院に駆けつけてくれた。この10カ月は苦難の道だったよ。対面的にはよく笑って冗談も連発してたけど、それがぼくの対処法というか、心の底では常に悲しんでいて、復帰したいと強く願い続けた。そしてそれは今成功した。ぼくはピッチに戻ってきて、できるだけ長くここにいたいと思ってる」
――シックがやってきて、ディフランチェスコ監督は4-3-3の呪縛から解き放たれるのでしょうか?
フロレンツィ「そういったことは監督本人に訊いて欲しいかな。ぼくらの仕事は監督のアイデアをプレーで形に変える事。フォーメーションに関わらず、ぼくらのポテンシャルを見せれるかどうかは、ぼくら次第なんだよ」
上西小百合議員という完全にブスとも言い切れない丁度いい感じのブスいるじゃないですか。彼女の名言で「他人に自分の人生乗っけてんじゃねーよ」「くたばれレッズ」というのがあるんだけど、これは要約すると、自分でプレーしているわけでもないのに、サポーターは自分でなにかやったつもりになっている、それおかしくね?という、ひとつサッカー愛好家には耳が痛い話で、ぼくもどちらかというと、他人に自分の人生を乗せている一人である。
これまでぼくは幾度となく、ローマの選手たちのプレーや言葉、またはバルザレッティやフロレンツィ、トッティが怪我と戦い、撥ね退けてピッチに戻る姿に勇気づけられてきた。ぼくは現在非常に体調が悪くて、日常生活もままならないわけですが、こうやって目標を持ってそれを成し遂げた選手の姿には、がんばれば未来は変えることができるという光明が射している。
そのかすかな明かりを頼りに、自分の人生を乗っける事のどこが悪いのであろうか。そして、この親善試合における両チームのプレーは、多くの人に生きる希望と勇気を与えたと思う。選手に自分を投影させることの、いったいどこが悪いと言うのか。それが民衆の代表者である代議士の発言なのは、さらに政治に対する不信感が募るばかり。
人間関係、社会、病気、学業、金銭、誰しも様々な悩みがあって、フロレンツィが言うように、そういった困難に対抗する方法のひとつは笑顔と冗談である。この一週間、ぼくは多くの人とヘルニアについて、面白おかしく話せたことで深刻になり過ぎずに済んだ。そしてみなさんのコメ欄の応援にも感謝しかないわけで、そういう対人のコミュニケーションを円滑に諮れない人が、上西議員のような、つまりは「心ない」発言をするのだと思う。でも丁度いいブスではある。政策秘書に怒られて拗ねるやりとりは、なんかマンガみたいで微笑ましい。
(旧ローマ速報9月2日の記事より)
カンピオナート中断ということで、3年前の記事をリミックスしてみました。今改めて読み直すと、案外いろいろ当時の状況を思い出せて懐かしい。それに、今のローマに、フロレンツィがいないというのもなんだか不思議な気持ちになります。
少し前の更新で、戦争や病気に対抗するもうひとつの手段がユーモアだと書きましたが、3年前のこの記事でも同じこと書いていたのはちょっと驚いた。そろそろ自分という人間をもうちょっと信じてあげても良いのかなとも思いました。あと、上西小百合ネタは使い過ぎてますね。もうやめよう。
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