「まあそんなでね、おばちゃんになった今でも、たまにだけど自分でコンサート開いて歌ってるの」「人集まるんですか?」「あらいやだ。如月くん、私のことバカにしてるでしょ。こう見えてもちょっとは人気あるんだからね」「ごめんなさい。でもYUKIさんが音楽やってるなんて意外です」「昔はバリバリのバンドマンだったのよ」「バリバリって、また古いな」「そう?ナウくない?」「・・・年齢バレますよ」「もう知ってるくせに」「何をです?」「ほらそうやってすぐ惚けるんだから。年齢の話してたんでしょ、今」「別にいいんですよ。年齢なんてなんの意味もない。ぼくはYUKIさんにYUKIさんである事以上のものを求めてないし、むしろ早くあなたに追い付いて、大人になりたい、くらいです」「・・・ス」「はい?」「キス。キスすればちょっぴり早く大人になれるかも・・・」
こうして、ぼくたちは、人類初のタイムマシーンを手にいれたのである。
・・・ちゃん!」「ハッ!」「きーちゃんどうしたのずっとテレビの前で固まって。とっくにDAZN終わっとるで」「あれ?YUKIさんは?」「誰それ?そもそもここ自分の部屋だよ。私以外誰もいるわけないじゃん」「いや、俺がぼーっとしてる間にYUKIさん来たのかも」「きーちゃん、まだ寝ぼけてるの?だから、きーちゃんが部屋にいる間、誰も来なかったって言ってるじゃん」「そんなのわからないだろ」「わかるよ!」「なんで?」「だってさ、きーちゃん、明け方サッカーの試合見終わってから固まって、微動だにしないの私ずっと横で見てたもん」「ずっと?」「そう。かれこれ12時間くらい見てた」「怖い!」「ひどいよ。愛する夫を見守る健気な若妻ってやつだよ」「12時間凝視されてたと思うと震えるね」「12時間固まってた方もどうかと思うけど?」「まあ、否定はできないな」
ということで、早朝の試合に特に感想はない。今季、主導権を握る状況で先制を許すという展開を何度も観てきたけれども、今夜はアタッカンティと、彼らをリカバリーしていくボランチには良さがあり、そのような混沌とした時間は過去のものと思っていた。
前半アディショナルタイムにベロッティが、マンチーニのぬるい守備を全く無視した鋭いシュートでトリノ先制。その後マンチーニとマッチアップしても、空気扱いでいないものとしてプレーしたベロッティのコンセントレイションはさすがである。
後半86分には、スモーリングにハンドがあったとして、トリノにリゴーレが与えられて、これを再びベロッティが決めてエースのドッピエッタでゲームクローズした。
ローマが放ったシュートは31本。内7本は枠に飛んだが、その7本を素晴らしいセーブではね除けたシリグはこの試合における最大の功労者だろう。
主審についても触れておこう。ボックス外のイッツォのハンドに2枚目のカードを出すのは重すぎて、VARのお墨付きがあれば、あの重要な場面でスモーリングのハンドによるリゴーレも辞さないというディベッロ主審のレフェリングは、これなら将来的に全てコンピューターで裁く時代が来ても不思議ではないと思わせるのに十分なものだ。近い未来、コベルチャーノの地下室で、審判がクリックでカードを出す日がやってくるだろう。
何度も重要なファウルをスルーして、最後にはとうとう客席からブーイングを浴びていた。彼はピッチで最も目立つ主役の1人となった。
もちろんローマにも大きな疑問はある。特にセンターバック2人は最初から不安定で、ここを猛攻で隠しきれなかった。今季、3バックのチームに勝てないというジンクスはまだ生きている。
ちなみにウンデルと交代で、直接ロッカーに引き揚げたザニオーロは、お腹の具合が良くなかったのだとか。まだ下を向く時間じゃない。最高も最低もまだこれから。ぼくは負けっぱなしが嫌いだ。次こそ勝利で、つまらん夜にさよならするのである。
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