CSKA Sofia | Thursday, 9. December 2021 | AS Roma |
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2:3
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goals | |
0 : 1 | Tammy Abraham 15. |
0 : 2 | Borja Mayoral 34. |
0 : 3 | Tammy Abraham 53. |
1 : 3 | Hamza Ćataković 75. |
2 : 3 | Yanic Wildschut 90. |
この試合は一般的には地味中の地味だが、ぼくにとってはチャンピオンズリーグ以上に観る価値のある試合だった。なぜならば、今夜のローマは、まずCSKAソフィアにしっかり勝利して、更に他会場でグループ首位のボデが負けることを期待しなければならない、いわゆる『最終節同時開催』のヒリつくシチュエーションだったからだ。
ローマは巨匠モウリーニョの前日会見通り、主力と控えの混合チームで臨んだ。システムは3-4-1-2で前線にエイブラハムとマジョラルを置き、驚くべきことにその下にエドアルド・ボーヴェを据えた。これは明らかに仮想ペッレグリーニとしての配置だ。そして、ボーヴェは堂々としたプレーを見せてこの役割をこなした。
開始から攻め続けるローマは80%のポゼッションを握り、ほとんどハーフコートでプレーを続けていた。先制はローマ15分。マジョラルがボックス中央で粘って出したパスを右のカルスドルプがダイレクトで中央に折り返して、詰めたタミー・エイブラハムが押し込んだ。こういった触れるだけ的なゴールをしっかり決め切るエースの安心感がタミーに出てきた。しかし、この先制弾の後、相手の攻撃にラインを下げ過ぎたローマは前に出ることが難しい時間帯を迎えた。
その停滞したムードを破ったのがボーヴェで、33分に右サイドをドリブルで突破すると、ゴール正面に詰めているタミーにクロスを送る。このボールは精度を欠き流れたが、逆サイドで受けたマティアス・ヴィニャがグラウンダーで折り返すと、それをマジョラルがバックヒールで沈めた。
さらには、後半に入り53分にタミーが追加点を決めて試合を決定的にした。その頃、もうひとつの試合、ゾリャ対ボデは、ホームのゾリャが先行していた。時間の経過とともに、いよいよローマ逆転通過の可能性が現実味を帯びはじめていた。
巨匠はここでボーヴェに替えてヴィジャールを投入。彼は体力の限界まで走った。65分にはスルーパスにタミーが抜け出すも伸びたボールに追いつけず。疲労が見え始めたこのプレーの直後に、すかさずタミーとマジョラルを下げて、ザニオーロとショムロドフを投入。モウリーニョの采配から、将棋盤に決定的な一手を指す駒の音が聞こえた。
雪の積もる陸上トラックを歩いてベンチに戻るタミーが、スタンド席で『エイブラハム、ぼくたちコブハムからあなたのシャツの為に来ました』と微妙に韻を踏んだメッセージボードを出すファンを見つけてユニフォームをプレゼントするという、緊張感漂う中で一時(いっとき)ほっこりするシーンもあった。
この試合の目的は勝敗からすでに追加点と無失点に移っていたが、75分にあっさりと失点してしまう。そして、同じタイミングで、ボデがオウンゴールにより追いついたという情報が入ってくる。遠征で明らかにローマの運動量はは落ち始めていた。息を吹き返した相手に、ローマはプレスをかけずにブロックで守り始める。しかし、83分には交代投入のザニオーロが内ももの付け根を痛めてダルボエと交代するアクシデント。ダルボエは5-4-1の中盤右に入った。
後半追加時間は4分。消耗戦はすでに始まっていた。しかし、相手の攻撃を防ぎきれず、またしてもホームチームにきれいに決められて2-3まで詰められたが反撃はそこまで。得点差に助けられて敵地で辛くも逃げ切った。その直後、ボデがドローで終えたというアナウンスが入り、ローマの首位通過は決まった。
【感想】
結果だけが重要な試合ではあったが、復調するためには内容も必要だったはず。そういった意味では、65分までは完璧なプレーをしていたが、相手が勢いづく中でザニオーロの交代という不測の事態にチームの動揺がパフォーマンスに現れてしまい、内容の面では物足りなさがあった。つまり、まだこのチームは90分をコントロールしきれないメンタリティのチームなのだと実感した。ただ、その一点にフォーカスする前に、もっと良かった面がたくさんあったので、ロマニスタとしてはその部分を評価していきたい。
まずは何といってもボーヴェに助けられた。彼がプレーレベルになければトップ下にザニオーロを置いただろうが、ボーヴェが使えたことで主力を温存はできた(その後怪我したけど…)。また苦しい時間帯に度々ドリブルで持ちあがったマンチーニにも助けられた。クリスタンテも中盤底でうまく支配権という手綱を握った。
前節の後、SNSで『ボデは落ちそうにない』的な書き込みを見た。悔しかったが、ロマニスタでなければそう言い切れるだろうなとも感じた。しかし、それが誰であろうと、ぼくたちは夢こそ見れるが預言者ではない。その時点で落ちないと誰が決められただろうか。サッカーではすべてが起こり得る。事実ボデは取りこぼした。これはローマを信じたひとたちの勝利だとぼくは思った。
今夜、ブルガリアので行われたのは、世界で最も地味で、誰も関心を持たない試合だったに違いないが、それでもぼくにとってはチャンピオンズリーグ決勝よりも重要な勝利だった。
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