信じられないかもしれませんが、ワンダ・ナラにインタビューしました
受話器を置いた後、ぼくは俄に現実を受け止められずにいた。あの世界的セレブタレント、ワンダ・ナラが自身のブランド『WN』のアパレル展開と日本進出を突如発表して、そのインタビュアに如月が指名されたのである。
指定された場所は、六本木グランドハイアット東京のスイートで、フロアから部屋までの間、屈強なSPがぼくの前後を固めた(おそらくヴィダルとナインゴラン)。彼女がリアルセレブであることを遅まきながら実感した。部屋に近づくにつれ、吐きそうなほど強まる香水の匂いがナラのイメージを確固としたものにする。ぼくがジャケットの裾で鼻の辺りを押さえるとヴィダルがこう言った。「こんな匂いでおっ立つ野郎なんているのかね」横でナインゴランのモヒカンが微かに揺れるのが見えた。部屋に入るとナラはすでにソファにくつろいでいた。そして、ぼくを見るやいなや、開口一番にこう聞いてきた。
ナラ:馬と半裸、どっちがお好きかしら?
トッププレイヤーは休まる暇がない
如月:ナラさんは旦那さんが有名なサッカー選手マウロ・イカルディで、ナラさん自身、彼の代理人を務めているということなので、まずはイカルディの話から聞かせてください。
ナラ:ええ、いいわよ。なんでも答えるわ。
如月:ではまずですね、あなたは2013年にマクシ・ロペスと離婚するわけですが、その原因はやはりイカルディとの浮気が···
ナラ:ヴィダル、彼のテープレコーダー止めて!
ここで1度インタビューが中断した。なんでも答えると言っていたが、さすがセレブは気まぐれ、ということなのだろう。
如月:では旦那さんについてお伺いします。
ナラ:旦那?
如月:あ、イカルディさんの方です。
ナラ:どうぞ。
如月:イカルディの代理人として辣腕を振るうあなたですが、代理人業で何が1番大変でしたか?
ナラ:やはり、マウロのメンタルケアよね。サッカー選手は気が休まる時間が少ないのよ。
如月:奥さんがこれじゃなおさらですよね、ハハハ。
ナラ:ナインゴラン!
如月:いや、すいません。ラジャ、痛い。ちょっと言い過ぎました。やはりイカルディはトップクラスのストライカーですから、注目される分トラブルも多いでしょう。
ナラ:そうよ。スポットライトが当たればそれだけ影も濃くなるの。
如月:その通りです。イカルディはインテルでキャプテンの座を剥奪されました。あの時クラブの内外からあらゆる噂が噴出しました。
ナラ:あの時、マウロは泣いていたわ。私もショックだった。カピターノの妻としてだけでなく、インテルファンたちの母としてもね。キャプテンマークを取り上げられた週、子供が水疱瘡になったのもあって本当に慌ただしかった。幸い義父がミラノに来ていて助かったのよ。
如月:批判のひとつにクラブをリスペクトしていなかったという意見もあります。
ナラ:マウロはそれだけ大きな存在だったのよ。
如月:しかし、元日本代表監督を務めたアルベルト・ザッケローニは、この件について当時「イカルディはトッティではない」と発言しましたが?
ナラ:ヴィダル!
ここで再度テープレコーダーが止められた。
彼がクレジットカードで買ってくれるものも全て愛してる
※話はいつしかテレビの討論番組のようにヒートアップしていった。
如月:あなたは750万人のフォロワーを持つInstagramの女王です。
ナラ:756万人よ。
如月:すいません。その756万人の、いわばインフルエンサーなわけですが、たまにポエムみたいなの書くじゃないですか?あれは何ですか?
ナラ:クリエイティブな気持ちがマウロへの愛と共に溢れ出すのよ。
如月:その中で気になるフレーズがいくつもあるのでそれを解説して頂ければと思いますが。
ナラ:構わないわ。
如月:とある年にインスタに貴方が書いたバレンタインの文章です。「セントバレンタイン!毎日愛を込めてあなたに料理を作るの。試合が終わった午前3時にはステーキのサンドイッチ、早朝ならシンプルだけど世界最高のチキンサンドを作るわ。そして午後にはデザートを用意して、ベッドでも最高になるの」
ナラ:···
如月:···
ナラ:···で、何が聞きたいのよ?
如月:午前3時にステーキのサンドイッチ食わせるんですか?
ナラ:どこが悪いの?私たちはアルゼンチン人よ。牛肉消費量世界トップクラスなのよ。
如月:いや、そうじゃなくて、アスリートに午前3時にそんな重い食事食べさせて、代理人としてもアスリートの妻としても問題あるんじゃないかと思います。あと最後のデザートのくだりも趣味悪いというか···
ナラ:あんたねえ、なにが言いたいのよ。マウロはナイトゲーム終わって帰ると午前1時とかになるのよ!そごがら夫婦で団らんしたっていいべさ!なんであんたなんがにわちゃわちゃ言われなきゃなんねえの。私たちのこと、なんもわからんくせに好き勝手言うなや。
如月:方言でてますよ。
ナラ:あ。
如月:あと、このポエムの最後に追記でこうも書いてますね。「愛してるマウロ、あなたがクレジットカードで買ってくれた物も含めて」なんですか?このルージュの伝言みたいな一昔前のトレンディな文章は?
ナラ:べ、別にいいべ。誰にも迷惑かけてねえべ。好きにやってるだけだべや。
如月:また方言出てますよ。
ナラ:···
如月:···
ナラ:···これ、記事になるべか?
如月:ええ、記事になるべ。
ナラ:おら、パリ・サンジェルマンのファンからアルゼンチンのブリジット・バルドーって言われてるんだべ。
※右がパリの恋人、女優ブリジット・バルドー。角度によっては確かに似てなくもない。
如月:インスタで1人だけそういうコメントしてる人がいるの見ましたが。
ナラ:シティーガールで通ってるべ。
如月:シティーガールは馬には乗らないべ。
ナラ:と、取引きさするべ。この記事公開しない代わりに、おらがさっきまで着てたTシャツやるがらそれで手を打って欲しいだ。頼むだよ。
如月:···それ、脱ぎたてですか?
ナラ:脱ぎたてだべ。まだホカホカだべ。
如月:(ゴクリ)分かりました。考えましょう。
〈了〉
インタビューを終えて
ということでシャツを貰ったのですが、別にフランス人やアルゼンチン人が読むわけじゃないからなーということで、本日1日だけ限定で公開します。貴重な回ですので、ぜひ祭りに参加した気分で読んだ感想をTwitterもしくはコメント欄に頂けると嬉しいです!
それにしても素顔のワンダ・ナラを見ることができて、ナラリスタとして大変満足なインタビューとなりました。え、本当に彼女の脱ぎたてのTシャツ貰ったのかって?疑り深いですね。仕方ないので証拠画像を載せておきます。
シャツからはシャネルの5番の香りがしました。
コメント
ナラの核心にここまで迫ったインタビューもなかなかできませんよね。続報期待してます!