これまでアイス、ビール、Tシャツ、壁画による観光地化と、首都はジョゼ特需で潤っていましたが、そろそろどんなサッカーを目指すのか知りたいところ。すべてを秘密裏に行う『フリードキンスタイル』の新生ローマですが、その全貌が徐々に明らかにならんとしています。まずは前回お伝えしたアーセナル、グラニト・ジャカの獲得ですが、これは現在多くのメディアがクラブ間合意目前と報じ始めました。最終的にボーナスを含む1800万ユーロのディールとなるでしょう。ジャカ自身、現在スイス代表のトレーニングでローマにいるのだとか。
モウリーニョはジャカを中盤強化の中心人物と考えています。彼の獲得は、ディアワラ、ヴィジャールの売却という財政面のオプションにでもあります。ジャカの到着により、ミッドフィルダー過多の状況であり、この二人の序列は現在低くなっています。彼らが移籍先を探す可能性は常にあります。
またスペシャルワンは既に来季の主軸と考える選手に電話をしました。ザニオーロ、スモーリング、ペッレグリーニ、マンチーニらは監督から連絡をもらい、来季への新たなモチベーションを燃やしています。モウリーニョが気に入っているクライフェルトに関しては、ライプツィヒが買い取らず、他の魅力的な売却先がなければローマで使いたいという考えを持っているご様子。
ということで、日々期待感高まる我々ロマニスタですが、英国の俳優ジェイムズ・コーデンとモウリーニョの対談を抜粋してお伝えしたい。事実上ローマについて言及した最初のインタビューとなります。
コーディン「こんにちは、ジョゼ。私はあなたの大ファンなんですよ」
モウリーニョ「私の?まさか!デイヴィッド・モイーズ(ウエストハム監督)の間違いだろ?」
コーディン「自身の新しいキャリアに興奮していますか?」
モウリーニョ「間違いないね。ローマの人々やオーナーとの繋がり、そういったものに共感を覚えている。つまり、彼らのために仕事をする、という感覚ではなく、彼らと共に働くという感覚だ。私はフリードキンズのアプローチがとても気に入ってるんだ」
コーディン「ローマについて現在1日どのくらいの時間を費やしていますか?」
モウリーニョ「人と会ったり話を訊くのは好きだが、電話をするのは…まああまり得意じゃない。でもZOOMのおかげでそれもかなり楽になったね(この対談もZOOMで行われている)。ローマはオーナーがテキサスにいることもあるだろうから。今はやるべきことが山積みなんだ。クラブの様々な部署の担当者と何時間も話をしている」
コーディン「以前、マンチェスター時代に私のショーに出演して頂きましたが、あなたはそのシーズンが上手く終わらないと感じているように見えました」
モウリーニョ「確かにマンチェスターユナイテッドで私は3つのトロフィーを手にしたが、君に会ったときには私はもっと多くを望んでいたから」
コーディン「あなたは選手が不足していると言い、私が彼と彼がいると話すと、それでは不十分だと言いましたね」
モウリーニョ「私はオプティミストだがリアリストでもある。ヨーロッパリーグと国内カップを制したが、次のステップに進むにはそれでは不十分だと理解した。今シーズン、ユナイテッドは2位で素晴らしいシーズンだったと言われている。だが、私からすれば2位なんて最悪だと言いたいね」
コーディン「なぜ2位で終わることが最悪だと?」
モウリーニョ「私はユナイテッドが好きだし、ファンも私に良くしてくれる。昨シーズン彼らは無冠で終わったね。トロフィーを手にできなかった次のシーズンこそポジティヴな結果が必要なんだ。それに私に対するメディアの期待度は他とは異なる」
コーディン「ユーロの話をしましょう。楽しみですか?」
モウリーニョ「いつだってサッカーに夢中だ。オフになると手持ち無沙汰で、夕食後にはなにをしていいものかわからなくなる」
コーディン「代表監督のオファーを受けたことは?」
モウリーニョ「チェルシーを辞めた時にイングランドから打診された。だが、私には早すぎると感じたんだ。マドリー時代にはポルトガルからオファーがあった。パートタイムの仕事にしては難しいと感じたね。でも代表監督はいつか自分がやる仕事だと思っている」
コーディン「サッカーがないとやることがないと言いますが、では実際何をして過ごすのですか?」
モウリーニョ「F1、テニス、いろんなスポーツにハマってるよ。ただ唯一クリケットだけは理解できないね。サー・ボビー・ロブソンの下で働いていた時、彼がなぜそんなにクリケットに夢中か理解できなかったね」
コーディン「以前からスーパーリーグ構想の存在を知っていましたか?」
モウリーニョ「ああ。プロジェクトが進行中で、そのうち発表されるのは判っていた」
コーディン「その崩壊の速度には驚いたでしょう?」
モウリーニョ「私はサッカーが好きだ。人々の反応は驚くべきものだった。そのリアクションに感動したよ」
コーディン「これまで指導したことのない最高だと感じる選手は?」
モウリーニョ「メッシ」
コーディン「これまでで最高の試合は?」
モウリーニョ「ベンフィカ対ポルト。私たちポルトガル人にとってはそれがすべてだ」
コーディン「好きな料理は?」
モウリーニョ「港町出身だが肉料理が好きだね。ビーフ・アンド・チップスかな」
コーディン「好きな音楽は?」
モウリーニョ「この曲が好き、という感じではないが、ブライアン・アダムス、ブルース・スプリングスティーン、U2なんかが好きだね」
コーディン「好きな街は?」
モウリーニョ「セトゥーバル。私の故郷だ」
コーディン「休日にやりたいことは?」
モウリーニョ「私に休日はない。サッカーを切り離して、電話を無視して過ごす日なんて考えられないから」
コーディン「最後に真面目な質問をしましょう。これまで多くのことを達成してきたあなたです。これで、ウエストハムの監督になるという夢に少しずつ前進していると感じていますか?(笑)」
モウリーニョ「それは私の夢じゃない(笑)」
コーディン「ばかばかしい話だから将来の夢ではないというなら理解できますが」
モウリーニョ「オーケー、ジェイムス。間違いなく私はワンクラブマンではない。これまで多くのクラブを渡り歩いてきた人間だ。だから、今はローマが私の未来なんだよ」
<了>
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