現在12位のローマにとって、最も必要な人物がやってきた。この夏に監督業を引退したラニエリの電撃復帰は目下我々ロマニスタにとって唯一の頼みの綱、一縷の望みである。ローマは、今年73歳を迎えた老将にすべてを託し、再び自分たちの価値を証明しなければならない。新監督の記者会見はギソルフィSD同席のもと行われた。
ギソルフィSD「私たちASローマにとって非常に重要な1日となります。今、クラウディオ・ラニエリをみなさんに改めて紹介する必要はないでしょう。彼は誰もが知る人物で、今こそ私たちは、彼の経験と原点回帰を必要としている。ラニエリ監督はローマを知る国際経験豊富な人物です。また、将来的に彼はフリードキンファミリーのこのプロジェクトの経営陣に加わる予定でもあります」
ラニエリ監督「質疑応答の前に、幾つかのことを明確にしておきたい。私は昨シーズンで監督業を引退したが、夏にはレスターでプレミアを制したときよりも多くのオファーがあった。嘘のような本当の話だ。でも、すべてにノーと言い続けた。私の仕事は終わったのだと思っていた。もしも復帰するとしても、ローマとカリアリしかあり得ないと何人かには話していたよ。でも、運命が私を呼んだ。運命は私が家に帰ることを望んだ。2022年にカリアリの監督になったとき、「カリアリで監督として始まり、カリアリで監督として終わる」と話した。しかし運命は、私が選手として最初にプレーしたローマで、監督としてのキャリアを終えることを決めたんだ」
ここ最近、あなたはインタビューでローマの現状について話して、苦言を呈しています。すでにフリードキンズとは直接話をしましたか。彼らは過ちからなにかを学んだのでしょうか。
ラニエリ監督「私を知る者であれば、私が正直に対話をする人間だと知っている。フリードキン会長と話をしたとき、彼の発言に驚いた。彼は私にこう言った。「ローマはカプート・ムンディ(世界の首都)であり、その名を冠したクラブの現状を見るに堪えない」のだとね。彼は大金を費やしたが、望んだものを手に入れることはできなかった。それが私を呼んだ理由だよ。そして今や将来は私次第だ。私の経験、私の方法で与えられたタスクを達成したい。会長からローマ復帰を打診されたとき、私には断ることができなかった。感謝しかない。私を家に呼び戻してくれた感謝しかないんだ。ロマニスタたちは私が目標の為にあらゆることをすると知っている。今は猜疑心をもたず憶測で話をするのをやめよう。それが今私が唯一言えることなんだ」
あなたの就任を発表したクラブの声明は今シーズンについてではなく、もう少し先の未来について言及し過ぎています。
ラニエリ監督「私たちは組織をピラミッドで見ることに慣れているが、アメリカ人は物事を水平に、より集団として認識している。したがって、すべての決定はすべての人たちの同意を得ている。私たちはローマを本来あるべき位置に戻すべく働く。ロマニスタはローマに夢を見ているんだ。私は会長に提案した。「あなたはたくさんのお金を費やしたが、その理由をロマニスタの前で直接話しませんか?そうしたら、街はあなたを愛すると思いますよ」会長は「良い時期がきたら」と答えた。今、彼はショックを受けている。大金を払い、結果はついてこない。彼は何かを間違えたし、おそらく間違った人間を選んだのかもしれない。少なくとも、正しい道は歩いていなかった。でもこれからは本来の道に戻ると信じたい。私自身、1人のサポーターとしてそう願っている」
ローマのシステムについて教えてください。
ラニエリ監督「まずは選手たちのコンディションを見たい。そのうえで、何よりもこのチームの為に血を吐きながら前進する選手が欲しい。私自身かつては選手であり、スポーツ愛好家でもある。その立場からティフォージには、ホームでブーイングを浴びながらプレーすることは世界で最も難しいのだと伝えたい。選手たちは全力を尽くしていたが、結果はついてこなかった。コミットメントの欠如ではないと感じている。彼らはいつでも頑張っていたが、機能していなかった。でも、目標の為に汗をかけば、それが運を呼ぶ。自分たちの運は、自分たちでつかみ取るものだと思っている。そのために結束したチームを望んでいる。チームとロマニスタたちに団結して欲しい。私たちはひとつの家族なんだ。クラブ、経営陣、コーチ、選手、道具係、メディカルスタッフ、グラウンドキーパー、みんなで協力しなければならないと話をした。もう間違いを繰り返す時間はない。この後、美しくも困難な3試合が待っている。私たちはサポーターと共にスタジアムで戦い、仮に勝てなかったときでさえ、ローマは最後の最後まで戦い抜いたのだと、誇りをもってスタジアムを後にしてもらいたい。みなさんにとって、再び誇りに思えるチームになることを約束する」
フランチェスコ・トッティをローマに呼び戻しますか?
ラニエリ監督「正直言うと、私はその可能性を除外しない。ただ、現在重要なのはトッティを戻すことではなく、チームを元に戻すことだ。でもフランチェスコと話をすることは悪い選択ではない。もしも彼が私たちの力になるのであれば、それを除外する必要はないんだよ。だが、それは「トッティが将来ローマに戻る」という意味ではない。私はあなた方がこの話をどのように切り取るか知っているからね。先日、私がローマの現状について「絶望的な状態」と言ったことになっているようなものだ。そんなことは言っていない。その記事を書いた人物が私に質問する際に使った表現だ。そう訊かれて、私は「もちろんだ。だから私が呼ばれた」と答えた。それは、ローマが首位なら私を呼ばないだろう?という意味だった。その人物がANSA通信で働いているとは思わなかった」
ダニエレ・デ・ロッシと話をしましたか?
ラニエリ監督「私たちは話をしたし、また数日のうちに色々話をすると思う。私のかつての教え子でもあり、素晴らしい人物だよ。チームに関しては、代表に合流して不在の選手も多い。短期間で2人の監督が変わるのは誰にとっても簡単な事ではないだろうね。一方はこうプレーしたいが、また別の選手は違うプレーを望んでいる。最初は難しいだろうが、同じ方向を向くことを望んでいる」
アンヘリーノのセンターバック起用はもうないと約束できますか?
ラニエリ監督「約束する」
マティアス・スーレとパウロ・ディバラの同時起用は?
ラニエリ監督「一緒にはプレーできるがそれは確約はしない。なぜなら正しいと思わないからだ」
フリードキンズは自身の過ちに気がついたのでしょうか?
ラニエリ監督「イタリアではオーナーが近くにいて欲しいと望んでいる。オーナーは顔を見せなければならない。それが私がフリードキン会長に話したことだ。しかし、外国人オーナーはなかなかそういう機会を持たない。でも、彼らが私を呼んだということは、過ちに気がついたのだと思っている。会長は私に「ローマを高い位置に連れていきたい。だからあなたを呼んだ」と言った。他に誰かが何かを言う必要はあるのだろうか?すでに選手たちがいる。もう何も必要ではない。記者のみなさんはそうではないかもしれない。多くの人物が登場すればそれだけ紙面を埋めることができるのだからね。その立場も理解しているし、リスペクトもある。ただ、ローマのナンセンスな記事を書くならば、私はあなた方の敵になる」
将来的にあなたが経営陣に加わったら、デ・ロッシを監督として呼び戻す可能性はありますか?
ラニエリ監督「素晴らしい質問だ。ただ、今のところは私が監督なので、その仕事に集中しているし、誰も呼ぼうとは思わない。もちろんオーナーとも話をしたことはないね」
ディバラの起用法は?
ラニエリ監督「それが最初に私が会長に尋ねたことなんだ。ディバラを使うかどうかは自分で決めて良いか訊いた。彼が契約で特別な条項を持っているかどうかは知りたくない。私はこう言った。「私はディバラをチームから外すつもりはない。だが、会長がそれを望むのであれば、あなた自身が公にそれを説明する義務がある」とね。でも結局この夏にディバラは移籍しなかった。会長は売却しなかった。私は使いたい選手を使う。会長はそれを受け入れてくれた。スケジュールを見ると、今後毎週2試合が予定されている。彼が全てに出場できるかは分からない。ただ、分かるのはディバラが別格ということだ。彼がフィットすれば、チームを勝たせることができる。私がサンプドリアの監督をしていたとき、ディバラが1点決めて、ロナウドがもう1点決めたことを思い出したよ。サンプドリアは好調だったのに、彼らは驚異的なプレーをして試合を変えた。ハーフタイムが終わり、ピッチに戻る前に二人に声を掛けたよ。特にパウロはトッティのような強烈なボレーを決めた。もちろんディバラがプレーするかどうかは私次第だが、希望だけで言えばすべての試合フル出場できる。でも実際にそれが可能かは疑わしい。少なくとも私は彼を外すつもりはない」
1月の補強はありますか?
ラニエリ監督「いや、まずはこの既存メンバーが何を与えることができるかを理解する必要がある。すべてのスポーツにおいて、監督に逆らってプレーする選手は存在しないということだけはハッキリさせておきたい。時々、選手の波長に合わせて、120%のポテンシャルを引き出す監督はいる。監督と選手の波長が合わなければ選手は80%の力しか発揮できないが、ローマでは80%では十分じゃないんだ。だから全員が120%を出さねばならない。そうでなければ、彼らはピッチの外から試合を観ることになる。主力選手への批判も目の当たりにしたが、私は彼らが全てを捧げて走っているように見えていた。もしかしたら、上手く走れていなかったのかもしれないが、それでも常にローマに魂を捧げていた。今後はもっともっとこのチームの為に走って欲しい。そして、ロマニスタたちはチームにブーイングしてはならない。むしろ、私たちを助けるべき存在のはずだ。その必要があれば、試合終了の笛が鳴った後でやればいい。その時、私がクルヴァスッドに行くからいくらでもブーイングしてくれて構わない。ただ、試合中にはするべきではないんだよ」
<了>
コメント
今まで断片的な情報ばかり入ってましたが、ロマ速さんの記事ですごい理解できました!ありがとうございます!