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【パジェッレ&戦術分析】セリエA第8節インテル 1-2 ローマ

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・Rui Patricio 5.5

勝ったからこそ少し気持ちに余裕をもって辛口の採点が出来る。失点場面は何とかパンチングで枠外に飛ばして欲しいところではあった。

・Mancini 6.5

絶好調のDimarcoを最終ラインで処理しなくてはいけない役割でもあったため、絶妙なバランス感が求められたが、最少失点に留めながらも攻撃に加わる姿勢を示し続けることで2点目獲得の契機を作った。

・Smalling 8.0

守備面もほぼ完璧。完全に裏をかき得意のヘディングでゴールを突きさし逆転と、文句なしの活躍だった。昨年から出場が安定してきており、その中でのパフォーマンスもほぼ高位安定なので。本当にRomaになくてはならぬ存在。

“彼は何もミスせず、特に空中戦でエリアを支配した。さらに彼は自分のヘディングで試合を決める最高の満足を味わう。唯一無二のかけがえのない存在。” (by Messaggero)

・Ibanez 6.5

自陣エリア付近でのDumfriesの処理はほぼ彼に任されていたといっても過言ではない。その中で取り消しになったDzekoのゴール場面等危なっかしい場面もあったが、なんとか試合に食らい付き続けた。

・Celik 5.5

失点に絡んだ為少し厳しめの評価にはなってしまうが、とにかく攻守に顔を出す為に良く走った。Manciniも積極的に最終ラインを飛び出しプレスをかけるタイプなので、瞬間的なスペースの穴埋めが必要な瞬間も多くタスク量自体もそれなりに多かった。

・Matic 7.0

巧みにポジションチェンジを繰り返すBarellaと対峙しながらも、機を見ては前線へのドリブルでラインを上げ、視野の広さとその攻撃センスで敵の最終ラインを下げる楔のパスを供給した。 試合終盤まで涼しい顔で走っている彼が僕はもう怖いです。

・Cristante 6.5

試合序盤どっちつかずのプレーが多くゲームへの入りに苦しんだが、失点を機に攻撃的なプレー・ボールを呼び込むプレーが増え、結果的にMaticとの上下を入れ替えてプレスを外しながらスペースを生む連携が改善していった。効果的なロングボールも何本もあり十分な活躍では。

・Spinazzola 7.0

試合開始から暫くは同サイドで対峙するDumfriesに対し攻守において際立つことがなく、昨シーズン末の復帰から続く本調子とは言えないプレーが危惧されたが、同点シーンのボール奪取と鋭いクロスは完全に本来の彼の姿であった。他にも敵陣エリア付近で輝きを放つ瞬間もあったので、徐々に調子を取り戻しつつあるかもしれない。

・Zaniolo 6.0

結果的には無得点に終わったが、チームに対して献身的なプレーに徹し、独善的なプレーが減ったことの裏返しでもある。彼がボールを持ちドリブルをするだけで、敵の中盤2人を引き付け走らせることが出来るのはそれだけで十分な仕事。

・Pellegrini 6.5

フラットな3-4-3の3Top中央という普段とは異なる役回りで、特にファイナルサードではボールの扱いに精彩を欠く場面もあったが、巧い事Acerbiを放置しながら、Asllaniへの目を光らせる役割は全うした。逆転を演出したFKは完璧の一言。明らかにセットプレーは年々巧くなってきている。

・Dybala 7.5

安全を期しての途中交代とはなってしまったものの、彼がフィールドにいる時間帯明らかにこのチームが彼のチームである時間帯があった。身体の角度を寝かせた状態で利き足をコンパクトに振り抜きダイレクトボレーを決めるまでの一連の流れは美しすぎる。

“Intelはメルカートでの選択を後悔し、RomaはAtalamta戦での欠場を悔やんでいる。必ずしも万全の状態ではない中で、国際試合の為に大陸間飛行を行ったにも関わらず、再度決定的なゴールを決めた。2つの世界のヒーローで、こちらの半球ではJoyaに賛美歌が捧げられている。” (by Il Romanista)

・Belotti 6.0

まだ本調子ではないのだろうが、それでもチームに対して献身的に時間を使いながら前に持っていくことができる。試合数・プレー時間を重ねながら徐々に調子を戻してさえくれれば、大きな戦力になる日は遠くないはず。

・Camara 6.0

果敢にシュートにまでもっていこうとする姿勢と、直後に猛ダッシュで自陣まで帰還する姿勢は見ていて清々しい。交錯プレーが大きなけがにならなくてよかった

・Abraham 6.0

もう少しBelottiへのサポートが欲しかったり、もう少しプレスをかけて欲しい場面もあったが、FWとしての良い動きは出来ていたか。ローテーション以外の目的で初めてスタメンを外れたこの悔しさを次以降に生かして欲しい。

・Foti 7.0

ボスの仕込んだ戦略を巧く試合に落とし込めた。昨年に引き続きの代行監督としては3勝目と、Roma的には勝利の女神。交代のタイミングも選手の状態を考慮しながら適切だったのではないか。とにかくInter相手への勝利は大きい。

総評

まず長年辛酸を舐めさせられていたInter相手の勝利を素直に祝いたい。試合自体もRomaらしさのある得点での勝利であった。
今節Romaはカウンターという一番の軸を残しながらも普段とは大きく異なる戦い方で敵地に乗り込んだ。この点に関してはInterというチームへのリスペクトから、普段の戦い方を放棄せざるを得なかったのではなかろうかと感じた。

具体的には今シーズンのRomaは5-2-2-2のような布陣を取ることも多いカウンター時の中央速度を重視した構成で、敵の攻撃を適度に両サイドに追い込み・追い出してしまうような戦い方をするチームであるが、今節の敵Interは3CBの両サイドも含めて両サイドを広く使いながら、5レーンを完全に埋めてくるようなサイド攻撃が特徴のチームである。このようなチームに対して両サイドを明け渡して好き放題させることは、敵の強みを放置するばかりか助長するに等しいことをMourinhoとFotiは理解していたに違いない。そこで3Topの両サイドが敵の3CBの両サイドにしっかりと付きプレスをかけ、敵の攻撃の起点をサイドに作らせないという戦略の大枠が決まったのではなかろうか。

そうなると現状のRomaの手駒を考えると3-4-3の形自体は確定し、そこから3Top中央に求められる役割に議論が移るわけだが、Acerbiとお互いに徹底的マーク・プレスしあう関係になることが想定されるAbrahamではどうしても展開力に優れるAsllaniが中盤でフリーになってしまい、一足飛びに両WBへの展開を容易に行えてしまう。そのリスクを回避するために展開力では若干劣るAcerbiを放置してでもAsllaniを自由にさせない為にPellegriniが中央に選ばれることになる。当然カウンター時の攻撃面の安定感では劣るかも知れないが、Interに好き放題されることに比べれば容易い犠牲と言えよう。この敵の良さを消す戦術は実に良く機能したように思える。

更に組立て時には敵のBarellaがこちらの最終ラインにプレスをかけるタイミングで生まれるスペースをMaticが巧みにつかえていたのも主導権を渡さない良いアクセントになっていた。シーズンはまだ始まったばかりだが、この勝利はチーム全体に自信を与えたと思うので、今シーズンの良いターニングポイントになってくれる事を願っている。


採点者:くわしん

小学生の頃にバティストゥータに憧れ、丁度その時ローマに中田がやって来た為にローマに触れる機会が多くなりロマニスタに。好きな現役選手はDiawara。思い出の試合は2012年にオリンピコで観戦したコッパ・イタリア決勝でのラツィオへの敗戦。大学時代にF1のコースエンジニアを目指してイタリアに留学。イタリアにおける高卒認定相当の資格を持っている。好きな選手のタイプは稲場愛香みたいなタイプ。

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