スポンサーリンク

トリゴリア・トゥデイ:ジョン・テリー「モウリーニョのために怪我を押してもプレーした」

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

昼休み、自分の席で寝ていると、廊下の方から「如月!キ・サ・ラ・ギッ」と、幼馴染の本田翼の俺を呼ぶ声が聞こえた。やれやれツバサかよ、どうせまた勝手にお弁当作ってきたんだろ、と振り返ると、いつの間にか背後に立っていた翼が、俺の側頭部を迷いなくタワー型のゲーミングPC振りぬいた。薄れゆく意識の片隅で「あ、これ学校じゃなくてバトル・ロワイアルだったっけ…」と、今更ながら思い出すのだった。
ということで(どゆこと?)みなさんごきげんようローマ速報です。インスタの方にはちょっと書きましたが、クリエイターPCなるものを購入致しました。なんでお前がクリエイターPC買ってんだよ(笑)猫に小判どころか、木下優樹菜にタピオカミルクティーじゃねえかよ!とお考えのロマニスタ諸氏もいるかと思います(出方次第でこっちも事務所総出でやりますね~)。なので、冒頭からクリエイティブな文章を書くことによって、みなさんに「ああ、キサラギはこういうある種の幻想文学を書くためにクリエイターPC買ったんだな」と得心してもらえると思います。だったら殊能将之みたいな文章書いてみろよって話ではありますが。では早速本日のローマニュースをご紹介していきまっしょ!

ジェノア、サンプドリアカラーのバレンシアガにひれ伏す

チームを救うドッピエッタで、一夜にしてロマニスタのアイドルとなった18歳のガーナ人ストライカー、フェリックス・アフェナ・ギャン。モウリーニョは「彼がが怪物(フェノーメノ)とは思わない」と浮き足立つムードをけん制したが、フェリックスのSNSにはアフェノーメノ(アフェナ+フェノーメノ)と書き込む者まで現れた。この狂熱はもう少し続きそうだ。ローマ系メディアのみならず、昨日のラ・レプッブリカ紙の筆も乗りに乗っている。

ジェノアは、後にバレンシアガを履くことになるフェリックスの前に頭を垂れる、いやひれ伏した。ひとつめのゴールは簡単そうに見えるがそうではなく、ふたつめのゴールは傑作に見えるが、実際その通りなのだ!——La Repubblica

ジェノア戦後にモウリーニョ監督は記者に、フェリックスとの約束について話した。

モウリーニョ監督「ブランドは言えないが、試合前にゴールしたら800ユーロもする靴を買う約束をした。フェリックスはその約束を忘れないように言いに来ただけさ(笑)明日の午前中に靴を買いに行くとするよ。明日は確かプリマの試合があったね。デ・ロッシ監督には申し訳ないが、フェリックスがもう(プリマヴェーラで)プレーすることはないだろう」

監督は約束通り、翌日に少年が欲しがっていたスニーカーを本人に渡し、その模様はSNSを通じてあっという間に世界中に拡散された。この800ユーロの正体は、バレンシアガのSPEED2.0で、ジェノアのライバルチーム、サンプドリアのチームカラーだったのは偶然にしては出来過ぎだ。

ただし、このショート動画は公開されると厄介な物議を醸し出した。フェリックスがシューズの箱を開ける際に画角外から「中にバナナが入っているぞ」という声が聞こえたのだ。バナナを好んで食べる動物は、人間よりも下等であるという人種差別的な意味として解釈されたのだ。そのは声は思わず漏れた独り言のようなトーンで、フェリックスと監督は、気が付かなかったか、気に留める素振りもなく、やり取りに集中していた為に動画公開に至った。慈善団体を持ち、差別に反対する活動をしているローマなので、これには多くの批判が寄せられて、せっかくの感動的な動画は水を差されてしまう。しかし、ゴール前同様にフェリックスは落ち着き、SNSに自分の考えを投稿した。

フェリックス「ぼくと監督の特別な瞬間を撮影した動画が公開されています。届いたたくさんのコメントを読ませて頂きました。そこでみなさんにお約束したいのは、この場所でぼくが差別を感じたり不快な気持ちにはなっていないということです。発言に人種差別的な意図はありません。ぼくがここに来た初日から、みんながぼくを家族の一員として迎え入れてくれました。ぼくがバナナを食べるので周囲ではジョークになっているんです。だってぼくはバナナが好きですからね!」

いじめとは、いじめられたと感じるからいじめなのだという。だが、人種や宗教、性別、倫理、様々な認識のギャップが生み出す差別を、いじめ同様に「本人が違うと言えば差別じゃないよ」と代入することはぼくには難しい。なぜならば、いじめらている側は常にいじめを認識できるが、差別は自分が気が付かないだけで差別している、されている可能性があるからだ。

だが、この動画が伝えたいのは差別ではない。ここにあるのは、父が子供にプレゼントを与える家族の親しみなのだ。フェリックスはそう説明したのである。この2分にも満たない動画の中の1秒程度の発言は、拡大すればする程薄まって、十分な議論の為のリソースとはならない。そう考えるのは自分だけだろうか。

むしろ、このような1秒の発言よりも強い本物の差別は未だイタリアのスタジアムに残っている。改めてこういった問題について考える良い機会とぼくは解釈した。

冬の選手不足

ローマが冬に異常な数の故障者を出すクラブだというネガティブなデータをみなさんご存知だろうか?モウリーニョ監督もこの問題に対して改善方法を探さればならないと話しているが、ではこれまでの監督、スポーツディレクターが改善を試みなかったかといえば無論そうじゃない。 トレーニング施設の芝を張り替えたり、何回もチームドクターや理学療法士の首を挿げ替えた。ディフランチェスコ監督やフォンセカ監督はどのクラブよりもローテーションを採用していた。それでも冬に選手が怪我を負ってしまう。この5.6年で何人がじん帯断裂したのか数え切れない。

しかし今季のローマは、これまでよりも少ない20人前後のソリッドなグループでトップチームを構成する事にした。 しかしここにきて、左サイドバックが3人とも全滅で、エルシャーラウィをウイングバックとして起用する緊急事態となっている。ペッレグリーニの左膝はまだ痛みが少し残り、ヴェネツィア戦では鎮痛剤を使っての強行出場となった。ザニオーロも万全ではない。タミー・エイブラハムは代表戦で足首を痛めてから、明らかにフォームを落とした。それでも彼らは、休みたいと言わない医者泣かせで、監督には有難い選手たちだ。
ひとりのファンとして、選手には無理をして欲しくない。でも、無理を押してプレーする選手にどうしようもなく愛情が湧くのもまたロマニスタだ。かつてコラロフは足の指の骨折を隠してプレーした。彼が批判にさらされたとき、黙っていられずにその事実を話したのはダニエレ・デ・ロッシだ。 こういう話はサッカー史の教科書には載らないが、口伝えで次世代に語り継がれる。それはローマに限らないようだ。

先日、チェルシーのキャプテンだったジョン・テリーのロングインタビューがラ・ガゼッタに掲載された。そこで怪我について話している部分を抜粋してお伝えしたい。モウリーニョ監督が人心掌握、カリスマの一片が垣間見えるエピソードで興味深い。

テリー「私のキャリアで最高の監督?ジョゼ・モウリーニョだよ。彼の為に怪我を押してプレーしたことがあるんだ。その時私は、足首を痛めて20日間の離脱が告げられていた。モウリーニョ監督は治療室に入ってくると、周囲の人たちと話をして出ていった。見事に私を無視してね。その時こう感じたよ。カモン、俺はチェルシーのキャプテンだ。休んでなんていられるかよ。そしてドクターに言った。「足首に鎮痛剤を打ってくれ、明日のピッチに立ちたいんだ」ってね。彼らはきっと私の頭がおかしくなったと思っただろうね」

<了

コメント

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました