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ルチアーノ・スパレッティは本当に悪いのか?

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トッティの自伝のなかで、ルチアーノ・スパレッティは、バルディーニと並んで、トッティの指輪物語を妨げるラスボスのような扱いを受けている。しかし、彼が2度、低迷していくローマを元のコースに戻したのは紛れもない事実だ。2005年には「いつか孫にあのトッティを指揮したことがあると自慢したいんだよ」と話していたスパレッティだったが、2016年、2度目の就任時には、トッティを一切特別扱いしない姿勢を見せることで、短期間でグループの規律を引き締めた。
翌シーズン指揮をしたインテルでも、イカルディのキャプテンマークを取り上げてチームから外している。長い年月は人を冷たくも懐かしくもする。ロシアの凍てつく寒さのなかでスパレッティが見つけ出したやり方なのだろう。

鬼才同士惹かれ合うのか、ワルテル・サバティーニ(元ローマスポーツディレクター)は、スパレッティをこう評した。

サバティーニ「スパレッティは天才だよ。ローマの次にインテルでもポイントを積み上げたのだからね。そして、天才には狂気的な側面もあるのさ。今はトスカーナでサッカーを振り返りながら生活しているが、いつか現場に戻ることを願うよ。彼はナインゴランをゴールから30メートルの位置にコンバートして成功させた。またエメルソン・パルミエリの才能にいち早く気づいたのも彼だ。スパレッティは真の天才で、偉大なるプロフェッショナルであり、私の大切な友人でもあるのさ」

その秘訣について。
スパレッティ「まずは選手と話し合う。彼らが活躍できそうな良さを引き出すのが私の仕事だ。私のサッカーにはパスの質が必要で、パスが違いを生み、美しいサッカーを作り出した。ゼロトップで思い出すのがシモーネ・ペロッタだ。キエーヴォ時代のペロッタは守備的ミッドフィルダーだったが、私は彼が常に適切なタイミングで前線に出てくるのを見ていた。それに、ミドルレンジのシュートも打てた。ナインゴランのようなね」

スパレッティについて、ここで如月の推察を加えておきたい。なぜ2度目のローマ就任時にトッティと揉めたのか?

2015年1月に成績不振からガルシア先生が解雇されて、スパレッティ監督が復帰した。そもそもガルシア先生は、2013年にサバティーニSDが連れてきた人物で、この起用によりサバティーニはトリゴリアでゼネラルマネージャー(GM)同等の権力を持ち、一方で本当のGMだったバルディーニはクラブを去っている。
2015年の冬に話を戻すと、スパレッティは窮地のローマの誘いを受けたが、もはや当時のフロントは誰もいない状況で、誰が誘ったのかが重要なポイントとなる。当然サバティーニではない。なぜならば、ガルシア先生とは契約延長をしたばかりの一蓮托生の関係であり、そのガルシアの解任は、すなわち自身の引責問題に繋がっていたからだ。では、誰がスパレッティを呼び戻したのか?

フランコ・バルディーニに他ならない。

バルディーニがパロッタ会長に入れ知恵したと考えるのが自然だ。この時期、バルディーニはまだトッテナムのテクニカルディレクターだったが、同年9月に辞任して、その後いつの間にかちゃっかりパロッタ会長のアドバイザーに就任した。
バルディーニはセンシファミリーを支えてきた人物であり、現体制で唯一スパレッティを呼び戻す事ができた人物だ。そして、サバティーニの失脚は、バルディーニの復権を意味していた。この翌年、サバティーニはローマを去り、新しいSDモンチがやって来た。モンチも結局はバルディーニと揉めるのだが・・・

トッティの自伝では、スパレッティとの確執のエピソードこそあれども、その根本の理由には言及していない。だがそれは、トッティと対立していたバルディーニがスパレッティを呼んだのだとすれば、点と点は線で繋がる。7年ぶりにローマに戻ったスパレッティはかつての盟友バルディーニからローマの実情を聞かされた。ローマのバンディエラと呼ばれる男は、今や老害であり、クラブの規律を乱しているのだと、アイツとはもう契約延長はない、ルチアーノ、ローマ人に遠慮なんかするなよ、そう聞かされたと考えるのはさすがに飛躍し過ぎだろうか。

ルチアーノ・スパレッティは、そのやり方はどうであれ、ローマをチャンピオンズリーグに連れていくというミッションを見事達成した。そこは正当に評価していきたい。デ・ロッシはトッティとスパレッティの確執をこのように表現している。

あまり関わりたくないね。両親から、お父さんとお母さんどっちが好きなのって聞かれているようなものだぜ。

2019年6月。ローマを去るトッティは報道陣の前で自身の抑えきれない気持ちを吐露した。

トッティ「バルディーニとの関係?そんなものは最初からなかったし、今後もないね。俺が去るという事実は、クラブとの間になにかあったのだと考えるのは自然だ。2人のうちどちらかが出て行かなければならなかった。俺を追い出そうという力が勝り、俺ははじき出された。トリゴリアでどんな議論をしようと、常に答えはロンドンからやってきた。現場でこれが間違っている、こうした方がいいという話には誰も耳を傾けなかった。ロンドンの神託を待っていたからだ。時間の無駄でしかなかった。俺は引退したとき以上に傷ついている。まるで死んでるみたいに感じるんだ。むしろ死んだ方がまだマシだろうとも思う」

コメント

  1. たにし より:

    如月さんこんにちは。
    トッティの自伝を読んだ限りでは誰かが一方的に悪いとは思いませんでしたし、お互いにリスペクトは絶対にあったんだとも思えました。トッティはその場の感情で喋るからあんな感じですけど。(笑)
    本来はとっくにスタジアムが完成していて、そうすればもっと余裕のあるチーム作りができたし、デ・ロッシもローマで引退できたかもしれないと思うと、悪いのはイタリアの政治家なんだと思うようにしています。
    ザニオーロの移籍話が出るのも、レンタル組を買い取るのに苦労しているのも、みのりんが不倫するのも政治が悪いのです。もう信じられるのは井澤詩織さんだけです。

    • 如月/kisaragi 如月/kisaragi より:

      たにしさん
      信じられるのは井澤詩織だけという偏った思想にびっくりして放置してしまいました。申し訳ございません。トッティの自伝は時間がたって当時の発言と比較すると少し美化されている部分もありますね。そこを含めてのファンタジーアだと感心しています。

      それにしても最も不倫しそうな茅野愛衣が無傷とは不思議な気持ちです。

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