【直接対決直前SP】セリエA第17節：インテル戦・プレマッチレビュー

インテルとの相性は？

上位対戦は、インテル戦を残して2敗2分、未勝利となっている。ミラン、ユヴェントスとの引き分けに関しては、チームの成長を感じる部分も多少なりあったが、ナポリ、アタランタには派手にオーバーキルされた。おそらく、次節インテル戦に勝利しても、この印象は払拭できない。しかし、勝利という明確な結果が我々には必要だ。どんなランナーでもスタートラインとフィニッシュテープは見えていた方がいい。

まず、インテルとの対戦成績を調べてみた。過去5シーズンで以下の通り。

2勝2敗6分、全くのイーブンなのである。しかも得失点もまったく同じ。つまり、次の試合を制したクラブがこの因果に終止符を打つ。

インテリスタに訊いてみよう

ここまで色々書いてきたものの、現在のインテルの状況を知るには、やはり相手チームのファンに訊いた方が良いということで、今回はインテル系データーマンとして、サッカー業界からも評判のTORAさんにお話を訊かせていただいた。虎と名乗るからには、さぞヴィダルとナインゴランを足して割ったような豪傑かと思っていたら、腰の低い穏やかな方でした。感謝！

自己紹介お願いします。

インテリスタのTORAと申します。98年W杯イタリア−チリ戦のロベルト・バッジョからクリスティアン・ヴィエリのゴールをきっかけにサッカーに魅了され、その後、彼らがインテルに在籍していたことでいつの間にかクラブそのものを応援するようになりました。 とは言え、シーズンを通して観戦するようになったのは06-07シーズンからですね。あの頃は良かったなぁ（笑）

*当時の代表選手の1人、インテルの若林豪ことルイス・フィーゴ氏

自身のサイトはありますか？

https://note.com/interamara インテルのマッチレビューがメインコンテンツですが、セリエA全体に関する記事もアウトプットしております。よろしければ是非覗いてみて下さい。

フォンセカ監督は常にスクデット候補にインテルを挙げています。インテリスタは今シーズンのチーム目標はどこにあると思いますか？

個人的には、目標は常にスクデットですが、今季こそは現実のものにして頂きたいと強く願っています。コンテ監督の年俸はセリエAで突出しているので、欧州の舞台から去った今、更にスクデットを目指して頂かないとコストパフォーマンスで割に合わないと言わざるを得ません。

チャンピオンズリーグ敗退の影響はありましたか？

なんといっても財政面の影響が甚大。インテルは選手の年俸も勿論ですが、なんと言ってもコンテ監督の年俸がえげつないので！(笑) Covid-19の猛威が未だ見通し立たない中、カンピオナートとコッパ・イタリアの順位を1つでも上げて少しでも折り合いをつけたいところです。

財政面の影響の話に付随して、このところラウタロ売却の噂がありますが、これは実際にはどの程度信ぴょう性があるのでしょうか？

現段階でインテルが求める移籍金は€100m以上かつ選手のトレード不可というのが通説です。サラテ&ヤケ代理人も、ラウタロを獲得したければ、先ずインテルとクラブ間合意しなければならないと語っています。ですが現在インテルは、ラウタロとの契約延長に乗り出していて、それが実現すれば、5年契約とブロック条項も付きますので、さらにハードルは上がります。それでも獲得に乗り出すクラブがあると報道されますが、具体性のある内容でなく、そもそも報じるメディアのソースが弱いこと（これは僕の主観ですが）、さらに一部メディアの報道で、代理人がオファーを即拒否したことなど、以上3点から「信ぴょう性がある」とは言えない段階にある、つまりラウタロの移籍報道は飛ばし記事だと考えます。

FFPの規制が緩和しているとはいえ、CL敗退で大幅減収が確実なクラブとしてどのように対処すると考えらますか？

当然選手の放出になる訳ですが、具体的な名前を挙げるとやはりエリクセンは避けて通れません。マロッタGMが明言するように、非常に残念ではありますが、エリクセンの放出は既定路線に見えます。ルカクと並び、750万ユーロのチームトップの年俸削減は小さくないインパクトになります。加えて、若手のホープで、人気銘柄でありながら、今季ほとんど出場機会を得られないピナモンティも、構想外として現実的な放出候補でしょうか。その他にも名前の挙がっている選手はいますが、Covid-19の影響は大きく、これらの選手の獲得に乗り出すクラブはなかなか現れないんじゃないかと思っています。

今季のインテルのシステムについて教えてください。

紆余曲折ありましたが、昨年同様の中盤構成が▽、所謂アンカーを置く3-5-2に落ち着きました。 中身は割とテンプレっぽく、良く言えば「王道」ですが、悪く言えば「目新しさはない」ですね。

故障者などを踏まえたスタメン予想を教えて下さい 。

クロトーネ戦で大黒柱のルカクが負傷交代。執筆時点で16節サンプドリア戦は欠場が濃厚、ローマ戦での復帰を目指している報道が最も信ぴょう性が高そうですがどうなっているでしょうか。 その他のメンバーはベストに近いと思います。GKハンダノヴィッチ。3バックにシュクリニアル、デ・フライ、バストーニ。中盤はバレッラ、ブロゾヴィッチ、ヴィダル。WBは右ハキミと左ダルミアン。前線はラウカク（ラウタロとルカク）が揃ってくれることを信じています。

ところで、ナインゴランはなぜ出ていったのでしょうか？

シンプルにピッチに居場所がなかったんだと思います。今季開幕のシステムであった3-4-1-2の1の部分しかポジションがなかった。コンテ監督が求めるタスクの水準を満たしていないとも考えられますが、何より3-4-1-2自体が頓挫してしまったことが決定打だったと考量しています。

インテリスタから見たナインゴランはどうでしたか？

個人的に戦術理解度は悪くありません。ただ、個のパフォーマンスは最後まで疑問を拭えませんでした。ローマ時代とは別人と言わざるを得ません。 しかし、私情全開なんですけど、僕にとってナインゴランは「インテルの選手に直接会ったことない」バージンを奪ってくれた選手なんです。ファンサービスも非常に良く、今でも鮮明に覚えています。 どこに行ってもずっと応援しますね。ハジメテの人は忘れません。

＊ラジャからサインをもらうTORA氏。タイトルは『優しいファンサに後光が差すナインゴラン』だそうです。（個人撮影の為転用はお控えください）

この試合で期待しているインテルの選手は？そして理由も教えて下さい。

両WB、特に右のハキミです。インテルは右重めのビルドアップですが、一方でローマは左重めと解釈してます。スピナッツォーラとのマッチアップの優位不利は試合のポイントになるのではないでしょうか（スピナッツォーラは出場できるのかな？）。 尚、インテルの左ファーストチョイスは現状ヤングだと思われますが、ローマの両WBはプレー強度とスピードの質的優位を兼ね備えているので今回はダルミアンの方がハマると思っています（本職は右だけど左でもプレー可）。ぜひ起用して欲しいですね。

 対ローマとしてどのような戦い方をすると思いますか？

中盤中央で奪われてのショートカウンターが最も怖いので、いつも以上に外循環でボールを前進させると睨んでます。シンプルなロングフィードも一定数放ってきそう。ポゼッションを捨てて効率的に攻めるんじゃないかと。ですが、その効率性の高いサッカーはローマのものではないか？という懸念もありますね。

ローマの選手でひとりだけ試合から外せるならば誰を選びますか？

ミキタリアンです。即決です。一択です。 彼はずっと過小評価されてるなーと思って見てましたが、今季は授かったギフトをさらに昇華させてますね。主役にもなれるし、汗をかいたり気を利かせたりで黒子にもなれる。めっちゃ良い選手！

*アルメニアの魔法使いと呼ばれるローマのミキタリアン

最後にインテリスタから見たローマの印象は？

ディテールやらバックボーンやら全部すっ飛ばした浅いイメージですが、フリードキン・グループオーナーの元、非常にポジティブに歩を進めている印象です。フリードキンオーナーは前任と違いスタンドにいるのが良きですね。 ロマニスタの中では未だ混乱もあるかもですが、フォンセカ監督のサッカーも成熟と進化を感じられますし、若手の台頭も著しい。確かな未来を期待できるオーラが出てると感じています。 セリエAを盛り上げ、欧州の舞台ではその格を上げてくれるチームだと非常に期待しています（ただし、インテル戦以外で）。あと、ロマ速さんが面白くて好きです。

〈了〉

インテリスタの貴重なお話はいかがでしたか？これを読んで、負けてもいい試合はもうどこにもないのだなと思いました。次節はローマにとってもインテルにとっても3ポイントを賭けたビッグマッチです。どっちが勝っても恨みっこなしよ。

最後に予想フォーメーションをお伝えしておきます。注：画像はラ・ガゼッタより。

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