ローマ、学校を作る！

今回この記事を特に読んで欲しいのは、お子さんを持つ世代や、仕事で小さなお子さんと接する人、もしくはなにかに打ち込んでいる10代のロマニスタなのかなと思っています。

先週水曜日、ローマは教育省から認可を受けた私立学校の発足を発表しました。デ・ロッシの故郷、オスティアにあるジョヴァンニ・パオロⅡインターナショナルスクールのトリゴリア校で、5学年制で現在すでに80名の生徒が在籍しています。

これまでローマは、下部組織のトップカテゴリー以外は他の場所でトレーニングしていましたが、今後はよりたくさんの選手の卵がトリゴリアに通うことになります。このような正式な教育機関や、レストラン、宿泊施設、トレーニングジム、練習コートを備えたクラブハウスはイタリアでは前例がないそうです。

これは国の認可、子供を扱うという問題から、スタジアム建設問題と同じ長期のプロジェクトで、今回の発表まで5年の歳月が掛かりました。イタリアに限らず、プロアスリートを目指す子供たちが世界中に存在します。ローマ速報の過去のインタビュー記事でも、多くの選手が親にトレーニング施設まで送迎してもらったエピソードを語っています。

例えばトッティのお母さんは、朝トッティ少年を練習場まで送り、近くのバールで働いて、午後練習が終わるまで外で待っていたといいます。同時にこの事実は、一種の青田買い問題でもあります。多くのプロクラブが世界中から才能のある子供を呼び寄せます。久保建英もそうですよね。しかし、子供たちは全員がトッティや久保にはなれません。ザニオーロですら、フィオレンティーナのプリマヴェーラには上がれなかったのです。

ローマの子どもたちは、片道切符でクロトーネに行き、呼び戻されて今ではキャプテンマークを巻くに至ったフロレンツィの伝説に憧れます。しかし、誰しもが彼のようにはなれません。彼らは、本来学ぶはずの物事を犠牲にしてスポーツに身を捧げますが、そのほとんどが夢に破れてピッチを去ります。そうやって成人した元選手たちはどうなっていくのでしょうか？クラブはそこまでの面倒はみません。

ですが、その子供たちが新しい人生を歩む為に必要な知識を学ぶ支援はできます。これは、パロッタ会長が就任してからずっと言い続けて来たことです。このトリゴリア校は、教育とスポーツの両道を目指すもので、ここでの素行や成績によっては子供たちは試合に出ることができないそうです。

子供たちを預るプロスポーツ組織が、こうして子供の将来についても考えはじめているのは良い兆候です。経営理念は、どこかで社会貢献と結び付く瞬間があるとぼくは思っているので、ローマがひとつ新しいステージに到達したのだと感じています。

最近カタール方面で「ローマを買収することは可能」という声も聞こえてきました。ですがパロッタがローマを手放すか、カタール資本になるか、それはぼくにはどうでも良いことです。パロッタ出ていけ、ゴーホーム、ローマを売って次のオーナーにスタジアムを建ててもらおう、その考えは個人の意見として尊重します。しかし、パロッタが、こういった社会的支援、ローマを通じた慈善事業、行方不明の子供を探す活動に力を入れている事実は、日本で応援するぼくにとっては気軽に足を運べないスタジアムよりも重要です。

ぼくは以前こう書きました。活躍すればフォルツァと言い、点が獲れなくなった途端お金に変えろと言う。そんなやつらの仲間にぼくはなれないのだと。あれから数年経ちましたが、今でも同じ気持ちです。むしろそれがぼくなりのロマニズモ、ローマを愛する方法になりました。だから気持ち悪いローマ原理主義には死んでもならない。怒りに任せて薄っぺらい発言で誰かを扇動するインフルエンサーにはならないです。

ぼくが思う最高にかっこいいロマニスタは、国籍や応援歴ではなく、ただチームの勝敗に一喜一憂してわくわくしながら応援し続けるやつなんです。そこに必要なのは絶対的な情熱だけ。情熱の傾け方を間違わないで下さい。怒りや不満よりも、笑顔と団結を持ってぼくはこの道を歩きたいのです。

シーズンは始まっています。心をひとつにすべき時期がやってきました。ローマを応援するためには同じ方向を向くべきで、パロッタがどんな人間なのか、バルディーニが善か悪害かを論じる時間は終わった。

彼らが何者かは、彼が出て行ったあとに裁かれるものです。

言い方を変えれば、子は親を選べません。すべての親がはじめから人格者でも大人でもありません。親だって子供と一緒に成長していきます。会長だってそうですよ。ロマニスタと一緒に成長していくと信じています。どうかみなさんもスクデットを信じる楽観主義者で、ローマがメガクラブになると信じる夢想家でいて下さい。そのまえにまずビッグクラブにならないとですね笑

閑話休題。

この夏、プリマのスター売却の噂がありました。特に大きな話題になったのがリッカルディをユヴェントスに売却するというものです。デサンクティス執事がこの件について話しています。

デサンクティス「リッカルディの売却を考えたことはない。ザン・セラル、デヴィド・ブア、リッカルド・カラフィオリも同様に考えたことはない、決して。クラブアカデミーに将来性のある子供がいるならば、適切なパラメトリを使用して共に将来を模索していくよ。これまで私達のユースチームにはローマ出身者やロマニスタで構成されていたが、現在はもっとグローバル化が進んでいる。ここに息づく理念ははっきりしている。仮に自分がローマ人だ、ロマニスタだと言うならば、（出身地ではなく）姿勢でそれを証明せねばならないだろう。それがローマユースセクターの厳格な基準となるんだ」

今回の下部組織一連の改革の中には、子どもたちの契約の見直しもあります。この夏、2001年クラスの有望株ジャンマルコ・カンジャーノをボローニャに奪われています。青田買いが起こった結果、プリマの選手ですら価格が高騰している現状、ローマは新たに設定したパラメトリで子どもたちを守っていく予定なのです。

参考資料：ジョヴァニーリ（ユースセクター）

ローマにはプリマヴェーラとは別に、これだけの世代別のチームが存在します。200名以上の10代の子供がプリマ昇格を目指して日々頑張っているのです。U-15にはトッティのご子息もいます。この中に未来のバンディエラがいると思うと素直に胸が震えますね。

Under 18

Coach: Mauro Fattori

Under 17

Coach: Fabrizio Piccareta

Under 16

Coach: Aniello Parisi

UNDER 15

Coach: Tugberk Tanrivermis

Under 14

Coach: Alessandro Rubinacci

Under 13

Coach: Antonio Rizzo

Under 12

Coach: Luca Santucci

Under 12

Coach: Gabriele Pallone

Under 10

Coach: Gianluca Caragiuli