ディバラ獲得の噂の発端はモウリーニョ監督である。監督がローマの予算を無視してディバラを求めた。確かに極上の女には良いドレスを、そして最高の監督には最高の選手が相応しいのだろう。
だが、フリードキンが世界有数の資産家であっても、FFPを前にこのリクエストに応えるのはとても難しい。それでもローマは、春先にホルヘ・アントゥン代理人と2度会談を行っている。その際、代理人から800万ユーロの3年契約に加えて、高額な仲介手数料と移籍ボーナスを要求されている。この金額でチアゴ・ピントGMは夢から覚めた。
しかし現在、ディバラを取り巻く環境は変わり始めている。代理人もディバラ自身も、あっさり決まると思っていたメルカートで、まだショーウインドウに残っている事実を自覚し始めたとメディアは報じている。インテルのマロッタはディバラに獲得を約束しているが、実際に獲得するには、前線を整理しなければならない。しかも売らなければならないのは、ディバラとほとんど変わらない年俸のジェコだ。ジェコをはじめとしたバックアッパーを売却することで、ポジションと資金を作りたいというのがインテルのプランだ。
そう考えると、資金力に乏しいローマはさらに苦しい。ここでようやくザニオーロの売却容認につながる。現在、ローマは23歳のアタッカー、ニコロ・ザニオーロを現金取引で売却することで、ディバラの獲得資金をねん出しようと考えているのだ。ザニオーロはそのポテンシャルは国内外で認められているものの、トップフォームならば誰よりも強く、気が乗らなければファウルを貰うだけの存在として、その価値を証明できずにいる。我々はあまり実感できていないが、10代のフェノーメノは現在セリエAでくすぶっているのだ。
しかし、ユヴェントスはザニオーロを高く評価している。この夏、レンタルで獲得して、シーズン後に残りを払うという得意技で彼をトリノに連れて行こうと考えている。これが実現すれば、ローマがディバラとの交渉を再開する可能性はあるだろう。
ぼくはザニオーロとディバラどっちが好きと訊かれたら、100%ザニオーロだと答えるが、ローマの未来を託せる選手とは思えない。未だポテンシャルを発揮しきれていない事、そして、フィジカルの強さだけで勝負している節があり、近い将来もう一度大きな怪我をするかもしれないし、どこかで伸び悩み、下の世代に追い抜かされる時期が来るような気もしている。23歳はサッカー選手にとって決して若い年齢ではない。クラブも本人も、ここを冷静に見極める必要があるだろう。もちろんぼくたちロマニスタもだ。
本質的な問題は、ロマニスタはバンディエラと共に船で沈む覚悟を持っているが、ザニオーロがバンディエラではないということだと思っている。
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