すっかりもう夏ですねー。夏といえば、高校生の頃、よく授業をサボって防波堤の上で寝ていた。夕方日が落ちてくると、潮風が少し肌寒くて、それで目が覚めて家に帰る、みたいなルーティンで過ごしたある日、いつものように目を覚ますと、寝ていた頭上の辺りに瓶の三ツ矢サイダーが置かれていた。最初は別段気にはしなかったけど、これが数日続き、さすがに不気味で仕方ない。バイト先で殆ど会話をした事のない先輩から、唐突に板ガムを1枚貰ったりしたので、もしかしてその先輩の仕業かな、とか考えたり。
それから数年して、ぼくは成人式に出席した。そこでかつての同級生との再会を果たして、ひと時の旧交を温めた。誰もがその場の空気(とお酒)に酔っていた。場もお開きといった頃合いで、当時クラスメイトだった女の子が「如月くんによくサイダー買ってあげたっけ」と言いながら、両手をぼくの肩に乗せてきた。その子とは学生時代ほとんど話した記憶はない。当然奢ってもらって記憶もない。
かつて、リーガエスパニョーラの試合で、実況家の倉敷保雄が「青春の喪失感は幻想」と話していたのを覚えている。そのシーズン、なんらかの理由からスタジアムを含む周辺地域が停電になり試合が中断することがあった。その試合も(ベティス対レアルマドリーだったか?)今よりも衛星中継の映像は荒く、不十分な光量の中で飛び交うボールを目で追うことは困難だったに違いない。彼はそれを目に見えないものを人は想像で補うと話して、その後に若い時の喪失感は幻想と続けた。まさに天才の名調子ここに極まれり、である。
話を戻そう。
おそらく彼女はぼくに三ツ矢サイダーを買っている。しかし、それを一度もぼくに手渡ししたことはないはずだ。なぜならば、彼女はいつも防波堤で寝ているぼくの頭の上辺りにそれを置いていたからである。その仮説を伝えようとしたときには、彼女はすでに離れた場所で他のクラスメイトたちと談笑していた。
相変わらず周囲では酒に呑まれた20歳たちがはしゃいでいた。既に人妻になった女の子が誰かとラブホテルに行きそうな雰囲気だった。近くで救急車のサイレンが聞こえた。店員が代わる代わるやってきては、他のお客様から苦情が入っているんです、できればもう少し静かに楽しんで頂けますでしょうか、と伝えにきた。居酒屋の窓からは警官たちの影が見えていたが、誰もが意に介せず、我が世の春を謳歌していた。そしてぼくは一人で傷ついていた。
数年前に終わっていた恋に喪失感を感じたその日、ぼくは20歳になった。かつて、エディ・コクランは「夏の憂鬱につける薬はない」と歌ったが、その日からずっと夏になると憂鬱な気分で病んでるぼくなので死にたいですどうもこんにちローマ速報です。このムードインディゴな気分も案外幻想なのかもしれません。倉敷さん、どうかぼくに教えてくれまいか。それにローマの試合ないしたいくつなんだぜ。ゆううつでたいくつ。
ということで、ローマは現在夏休みに入っています。フリードキンズはテキサスに帰り、チアゴ・ピントGMもポルトガルに帰国しました。なので、今週はこれといったニュースはないかもしれません。ひとつあるとすれば、英国の俳優キンバリー・コールデンのYouTubeチャンネル「The Late Late Show with James Corden」で今週金曜日、ジョゼ・モウリーニョのインタビューが公開されるそうで、ここでローマについて話が聞けるかも知れませんね。
選手たちも世界中に散っています。
まずジェコは故郷サラエヴォに戻った後に、ドバイで10日間バケーションを満喫しました。現地のチーム、ガルフ・ユナイテッドの練習にも参加したみたいです。その前にはチャンピオンズリーグ決勝観戦の為にトルコのイスタンブールに滞在したという話も聞きました。本当に旅行好きですね。先日契約更新が決まったヘンリク・ミキタリアンは、家族でモンテカルロにいます。こちらも結構長期滞在ですね。そういやアルメニア代表の選考から落ちて怒っていましたが、あれは何が理由だったのでしょうか?
また、マジョラルは彼女とマドリッド、マジョルカを経由して現在避暑地イビザで過ごしています。カルレス・ペレスはカタルーニャへ、イバニェスはブラジル、ヴェレトゥはフランスナントへとそれぞれ帰国。ユーロ招集リストから外れたジャンルカ・マンチーニはフォルテ・デイ・マルミに行き、エルシャーラウィは故郷サヴォーナに帰りました。二人目のお子さんが誕生したサントンはローマで過ごすみたいですね。
一部ロマニスタやメディアは、なぜまだモウリーニョはローマ入りしないのかと疑問を感じているみたいですが、新監督は、代理店NEWS UKと契約しており、ユーロの間、メディアの仕事をしなければなりません。The Sun、The Times、The Sunday Times、talkSPORTでモウリーニョは自身のコンテンツを連載します。
The Sunでは、試合分析、勝敗予想などのコラムを持ち、オンライン版ではイングランド代表の全試合を含む主要試合で解説をします。The Timesではポッドキャストにも登場します。
The Sun紙スポーツ部門責任者ショーン・カスティス氏はこう語ります。
カスティス「ユーロ大会の深部について語る人物として、ジョゼ・モウリーニョ以上の適任者はいないだろう。彼のことが好きでも嫌いでも、無視することはできないはずだ。イングランド、スコットランド、ウエールズを中心とした全出場チームに対する歯に衣着せぬ率直な意見は読者必読の内容となること間違いなしです」
The Times and Sunday Timesスポーツ部門責任レス・スノードン氏
スノードン「この度、ジョゼ・モウリーニョ氏を我々のライター&分析チームに迎え入れることができて光栄です。彼はビッグマッチ前のロッカールームを案内したり、トッププレイヤーたちの考えなどを紹介して、この夏を彩る大会に深い洞察を与えてくれるはずです。また購入者向けのイベントで、弊社のチーフサッカーライター、ヘンリー・ウインターとの対談も予定しています」
talkSPORT統括責任者リー・クレイトン氏
クレイトン「ジョゼによる電話インタビュー、トレーニングキャンプからの最新情報、ライブコメンタリーなど、ユーロファンのためのプラットホームを目指しています」
これらを仲介したNEWS UKによると、The Sun、The Times、The Sunday Timesの3紙は毎月1050万人のサッカーファンが購読をしていて、talkSPORTのオンラインラジオにも300万人のリスナーがいるのだと言います。つまり、このユーロの仕事を通じて、モウリーニョは再びヨーロッパで大きな注目を浴びる存在になるでしょう。
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