まさにローマでなければ起こり得ない奇跡をぼくたちロマニスタは見た。年俸総額3年で7600万ユーロ(120億円)のビッグオファーをパウロ・ディバラは断り、ローマでプレーすることを選んだのである。かつてバンディエラ、フランチェスコ・トッティは、レアルマドリーに移籍する弟分、アントニオ・カッサーノにこう言った。「100%安らげない世界のどこかで暮らすくらいなら、お金なんか稼げなくたって幸せなほうがいい」その価値観が全ての選手に当てはまるとは思わないが、少なくとも、ぼくたちはディバラと一緒に幸せになった方がいい。
移籍交渉が大詰めを迎えた昨日の長い一日を追っていこう。
8月22日
10:20
トリゴリアでのチームトレーニングを終えたディバラはチームメイトに別れを告げた。トリゴリアの正門には50人のロマニスタが集まっていて、ディバラはサインと写真撮影に応じた。
15:02
アル・カーディシーヤからクラブ間初の正式なオファーが届く。金額は600万ユーロ+ボーナス。これは7月の解除要綱を1200万ユーロで設定していたローマ側からは受けることのできない低額オファーであり、交渉は次のターンに移行した。
17:30
『Il Tempo』のロレンツォ・ペス記者から、中東クラブからは300万ユーロのオファーであることが報じられる。その間にディバラはティフォージに向けた感謝を伝える投稿をしている。ディバラの自宅前にも多くのロマニスタが集結した。
20:30
突如複数のメディアが、ディバラがローマ残留を決意したと報じはじめる。
20:35
ローマは中東クラブからのオファーを拒否した。
20:43
著名なアルゼンチン人スポーツジャーナリスト、ガストン・エドゥルもディバラの残留を報じる。
20:55
移籍専門記者ジャンルカ・ディマルツィオのサイトによると、ディバラはロマニスタの愛情とチームへの忠誠心から、7500万ユーロのオファーを断り、残留の意思をクラブに伝えたとのこと。
21:23
『calciomercato.it』のエレオノーラ・トロッタ記者によると、ディバラは中東に行きたくないという意思を示しており、すでに交渉の余地はない。その心変わりの最も大きな理由が、今日トリゴリアや自宅に集まったロマニスタだった。
23:07
Sky Sportがディバラ残留の裏話を報じる。当初、移籍を決断して、トレーニングの後チームメイトに別れの言葉を告げていたディバラだったが、ロマニスタのたった一つの大きな愛に触れた。それはボーヴェ、パレデス、スーレといった同僚からの遺留の声にも耳を傾けるきっかけとなった。
また、代表復帰を望むディバラにとって、中東に移籍することで代表復帰の機会が永久になくなるというアルゼンチンメディアの論調も悩んだ理由であり、オフザピッチでは家族の存在も大きかった。その結果、今夜ディバラは最終的な決断を下し、テーブルに乗り切らないほどの大金を積み上げたアル・カーディシーヤを拒絶したのだ。
その後、ディバラは自身のSNSで、2年前にFENDI本社の前に1万人が集まった入団セレモニーの動画を投稿した。そこには、我々ロマニスタに短いメッサージが添えられている。
『ありがとう、ローマ!日曜日に会おう!』
もう誰もディバラの10番を疑う者はいないだろう。これからもずっとローマでプレーして欲しい。本当に美しい勝利の一日になった。
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