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【パジェッレ&レビュー】セリエA第4節:ヴェローナ3-2ローマ

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忘れた頃にやって来ては塞ぎかかった傷口をえぐるくわしんさんの送るパジェの時間です。しかし、こうやって改めて各ポジションの問題をしっかり整理された文章で読み返すと、3ポイント失ったのは気持ち的には厳しいけど、これが次の改善に繋がりそうな気もします。それだけ課題が明確な状況とポジティヴに捉えることができるのでロマニスタのみなさんは明日のウディネーゼ戦にむけて必読ですぜ。kisaragi

・Rui Patricio 6.5

3失点した試合でGKに6点以上を付けることが異常なのだが、ここまで好き放題シュートを打たれてしまうと、逆に彼の身体能力の高さが際立って見えてしまった。

・Karsdorp 6.0

Pellegriniのミラクルゴールをアシストしたという点が無ければ、もう少し厳しい評価であったであろうが、最低限の守備と最低限の攻撃参加を果たした数少ない選手の一人か。Romaの右サイドではLaozovicの対応に追われCaprariへの対応がどうしても追いつかなかったが、これはシステム全体の問題と言える。十分な代役がいない為既に疲れもあるであろうが、辛抱の時間は続きそうだ。

・Mancini 5.0

ここ最近の彼のプレーの中でも良くない点が出てしまったなと言う印象。今シーズンこれまでセーフティーな守備が多く、大きく身を投げ出してのシュートブロックや、強めの敵への当たりなどが昨年に比べ少ない印象であったが、この試合ではそれが敵に容易にシュートを打たせ、そのシュートが容易にゴールネットを揺らす要因となってしまった。Caprariと対面する機会が多かったが捕まえ切れずズルズルとラインを下げてしまったのは今後の反省に活かしたい。

・Ibanez 5.5

Simeoneとの対面が多かったが中々前に出た守備が出来ず、Mancini同様にズルズルと最終ラインを下げてしまった。ゆっくりとラインを下げてのパスカットまたはボールをはじき出すような守備をしてしまうと、彼の特徴であるスピードが活きず、より対人戦に強みを持つSmallingの方が活きてしまうので、彼としてはこの様な守備の仕方は望ましくない様に見える。

・Calafiori 5.5

押し込まれることが多かったこの試合、結果的に主戦場とはならなかったRomaの左サイド側ではあったが、とにかく試合において目立たなかった印象。現状Vinaにも少し水をあけられている感じがしてしまう。Shomurodovとの連携も勿論未完成な部分が多いと思うが、攻撃と守備どちらでも効いていた印象がないので、出場機会のある今の内に一皮むけて欲しい。

・Cristante 6.0

これまでの試合同様に最終ラインのサポートに回ることが多く、各場面場面ではしっかりと対人戦においてピンチを処理できていたが、両サイドのLazovicとFaraoni、2Top気味のCaprariとSimeoneと左右に可能性を持たせてくる敵の攻撃に対して、SBとCBの間に入るべきか、それともCB同士の間に入るべきかと言った判断自体を迷わさせられる場面が多かった。

・Veretout 5.5

DFラインに降りてくる役目を負っているCristante のパス数50本とパス成功率78%に比べると、パス数27本とパス成功率は59.3%(チーム最下位)と、そもそもプレーの機会を満足に作れなかった上、彼らしくないプレーに終始してしまった。現状のRomaの調子のバロメーターの一つとして彼の攻撃・プレーへの参加強度が挙げられるが、敵・味方どちらの戦術的な意図であれ中盤をパスされてしまうと彼の良さが活きないので、その場合の活路を自身で見つけられるかが安定した結果を残せるかのポイントになりそうだ。あと、無駄に審判に突っかかってイエロー貰うのは勘弁してください。

・Zaniolo 5.5

自身がボールを持った際にゴールまで一人で完遂しようとしすぎる。これまでの試合の様にファイナルサードでボールを手にした場合にはまだ理解できるが、中盤でのプレッシングからボールを手にした場合一人でゴールに持ち込むのは無理があり、前線でタメを作れる選手も多いのでもう少し周りを信頼してボールを一旦預けて欲しい。このままだとスターターの座をCarles Perezに奪われてもおかしくない状況が続くが、まだチームとして彼がフィットするまで待つ懐はあると思われるので、その間に成長と飛躍を遂げて欲しい。

・Pellegrini 7.0

もう誰か他の選手やレジェンドとの比較で語る必要の無い選手になった。完全にRomaの中心として疑いの余地は無く、ミラクルなゴールとキャプテンシーだけでなく、シュート数4本とキーパス3本は共にチーム内最多とデータもそれを物語っている。強いて言うならセットプレー、特にコーナーキックでの得点チャンスをもう少し増やして欲しい。もう誰にも気を使う必要はないので背番号10をお渡しして契約延長で良くないですか…?
彼以外に特段読んで気持ちのいい総評も無かったので、いくつかご紹介。

“Mancini (元Romaのブラジル人ストライカーの方です)とBaggioをミックスしたような、あのバックヒールでのゴールは映画3部作のようだった。また、Ilicのオウンゴールを誘発し、Mourinho政権下のRomaにおいて絶対的な存在であることを証明した。” (by Leggo)

“走りながらバックヒールで素晴らしいゴールを決めた。拍手喝采。彼は再三シュートを放ち、Romaの選手の中で最後まで諦めないの人物だである。ピッチ中央におけるチームの案内役。” (by Messaggero)

・Shomurodov 5.5

折角の先発出場であったが残念ながらポジティブな結果を残すことは出来なかった。Mkhitaryanが先発出場困難な状況だったのも相まって普段とは違うサイドでの起用となったが、器用な選手とは言え連携面などで不慣れな面もあったかと思うのと、彼の特徴も考えるとシステムとの整合でちぐはぐな面が出てしまったかと思う。正直彼自身が何か大きな課題を抱えていたという訳でも無いので次節以降に期待したい。

・Abraham 6.5

シュートチャンスにもあまり恵まれず、苦しんだ時間が長かった。中盤にまでボールを貰いに下りてくるなど色々と試行錯誤していたが、最後まで良い結果には繋がらなかった。敵DFと守備的MFの素早い寄せにフラストレーションの溜まる場面も多かったと思うがギリギリのところで冷静さを保っていた様に見える。

・El Shaarawy 6.0

今節は既にチームとしてバランスを欠いた状態でのプレーとなったが、前への推進力と言う意味では彼らしさを出せたように見える。流石に毎試合得点による活躍を望むのは期待し過ぎというものか。

・Mkhitaryan 6.0

元々は出場自体が危ぶまれていただけに強行出場の可能性もあるが、彼がいないと中盤でのボールの刈り取り役と上に持ち上がれる役回りが十分でないことが顕著になってしまったような気がする。

・Carles Perez 6.0

現状Zanioloよりも安心して試合を任せられると感じるところまで来ている。ただチームとしてはZanioloを更なる飛躍に繋げたいところなので、今後の采配も悩みの種になりそう。彼が出てから右サイドにリズムが生まれ始めたので、もう少し早い段階で出して欲しかった様に思える。

・Mayoral 6.0

遂に巡ってきた出場機会であった事もあり、健気に頑張っていた様に映った。あまり上背がある方ではないが、必死に敵GKと競っていたのも涙ぐましい。ShomurodovとAbrahamの2Topでの4-4-2の試合は必ず訪れると思うので、絶対に必要な存在であることは確か。まずは今シーズン初出場おめでとう。

・Smalling 6.0

そもそもチームとしてここまで最終ラインを低くした戦い方を志向しているとも思えないが、その場合の2CBには対人戦で強みを持つ彼に1枠が必要そうに見える。想定外の形で急場の3バック採用もあり、やはり今シーズンもチームにおける重要なピースであることには変わりない。怪我からの復帰で自身の価値を改めて監督に示すことに燃えているらしいので、頑張って欲しい。

・Mourinho 5.5

チームを信じすぎたのか全く修正が出来なかった。個人的はZanioloを引っ張り過ぎたかと思うのと、結局最後までCristanteと4バックでどの様に相手の攻撃ユニットを抑え込むのかで明確な形に落とし込めなかった様に見えた。今節の反省点を今後のシーズンに活かしてくれる監督だと思うので、そこに期待したい。

“ShomurodovとAbrahamを初の先発同時期用。彼は試合を4-2-3-1でスタートし、その後3-1-4-2を選択した。Romaは苦労しながらわずか1時間の間試合を見守り続け、そして見事に諦めるに至った。敗戦時も勝利時と同様に、監督には常に責任の一端がある。” (by Messaggero)

総評

惨敗であった。Romaの目指す試合としては”ある程度”主導権を相手に握らせながらも、ショートカウンターの様な形で急所を突く事であったと思われるが、この試合では”完全に”主導権を握られそのまま好き放題にされてしまった。
素直な感想として予期出来ていたハイプレスに対しての対応も出来ず、かつ「Veronaは引き分けを良しとするのでは…」といった甘い考えにも足元を掬われた様に見え、試合の最後まで攻撃と守備の両方で明確なアイデアの無いまま試合が終了してしまった試合。
攻撃に関しては後方からのロングボールに固執した戦いを続けてしまい、その背景にはRomaとして敵のプレスを中盤で躱したかった、またはMkhitaryan不在の中中盤で戦いきるビジョンが描けなかった、前線に190cm越えの3人がいた為ハイボール処理で負ける気がしなかった、試合中の大雨の影響で芝も重くパス回しによる崩しを避けた等々…様々な理由があるように思う。ただあくまで後出しじゃんけんの結果論で申し訳ないのだがこれはまったくマらなかった。

守備に関してはまずもってハイインテンシティーでハイプレスを仕掛けてくる相手にたいして主導権を明け渡し過ぎたのが問題であるが、敵が攻撃時3-2-3-2とも3-4-1-2ともとれる形で、両WBの左右にLazovicとFaraoni、2Top気味の左右にCaprariとSimeoneとその下にBarakとユニットを構成していたのに対し、Roma側は4バック+Cristanteの形、そのCristanteにSBとCB又はCB同士の間に降りる役目を与える従来の戦い方に拘ってしまった。この時CaprariとSimeoneが夫々ManciniとIbanezに対して並走するような場面が多く、その時にKarsdorpとCalafioriの両SBも両WBから目が離せない状態。この場面においてBarakが体格を生かしてタメを作る、乃至は敵後方の守備的MFがボールを持った際に、Cristanteとしてどこにサポートに行くべきかが極めて難しい判断になってしまっていた。結果的にCaprariとSimeoneは多くの場面で、夫々KarsdorpとManciniの間、CalafioriとIbanez間とCBとSBの空隙を縫う形で走り込む、またはその中間にフリーのスペースを見つシュートを放つ等されてしまった。とは言えこの4節の段階で1つの崩壊のパターンが露わになったことはある意味怪我の功名。Mourinhoならば確実に対策を考え次には修正を施してくるに違いない。
代表戦への選手の提供と欧州カップ戦、そして国内リーグとカップ戦の両立。これを選手層の厚さによるターンオーバーでやり繰りすることは全ての上位陣に課された使命であり、これを言い訳にすることRomaを上位陣と自負する上で許されないので、システムの構築・浸透を早急に行い、その中に控えのメンバーを当て込んでいくことが今後求められるのでは。


採点者:くわしん

小学生の頃にバティストゥータに憧れ、丁度その時ローマに中田がやって来た為にローマに触れる機会が多くなりロマニスタに。好きな現役選手はDiawara。思い出の試合は2012年にオリンピコで観戦したコッパ・イタリア決勝でのラツィオへの敗戦。大学時代にF1のコースエンジニアを目指してイタリアに留学。イタリアにおける高卒認定相当の資格を持っている。好きな選手のタイプは稲場愛香みたいなタイプ。

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